認知症治療の新しい選択肢「ケサンラ(ドナネマブ)点滴静注」
アルツハイマー型認知症の原因物質に直接はたらきかける新しいお薬です。
大阪市城東区・京阪「野江」駅徒歩4分のいわた脳神経外科クリニックでは、脳神経外科・脳卒中専門医が診察・検査を行い、連携病院での治療開始後は、点滴の継続と経過観察をかかりつけとして担います。
もの忘れの相談を予約するケサンラ(ドナネマブ)とは?
ケサンラ(一般名:ドナネマブ)は、軽度のアルツハイマー型認知症およびその前段階(軽度認知障害/MCI)に使われる、点滴のお薬です(2024年9月承認)。
これまでの認知症のお薬の多くが「症状をやわらげる」ものだったのに対し、ケサンラは、アルツハイマー病の原因のひとつと考えられる脳内のたんぱく質「アミロイドβ(ベータ)」を取り除くことで、病気そのものの進行をゆるやかにすることを目指す、新しいタイプのお薬(疾患修飾薬)です。
「治す」「元に戻す」お薬ではありませんが、進行を遅らせることで、ご本人らしい生活をできるだけ長く保つことが期待されています。
従来の認知症薬との違い
| これまでのお薬(ドネペジル等) | ケサンラ(ドナネマブ) | |
|---|---|---|
| 主な目的 | 症状をやわらげる(対症療法) | 進行を遅らせる(原因へアプローチ) |
| はたらき方 | 脳内の神経伝達を補う | 原因物質アミロイドβを除去 |
| 使い方 | 毎日の内服が中心 | 4週間に1回の点滴 |
これまでのお薬は症状を和らげることが中心でしたが、ケサンラは原因物質そのものに直接はたらきかける点が大きく異なります。両者は目的が違うため、医師の判断で併用される場合もあります。
治療の対象になる方
- 軽度認知障害(MCI)〜軽度のアルツハイマー型認知症と診断された方
- 検査で脳内にアミロイドβの蓄積が確認された方
- 全身状態や合併症などから、点滴治療を受けられると判断された方
ご注意点
中等度以降に進行している場合や、アミロイドβの蓄積が確認できない場合は、対象外となります。また、ケサンラが適しているかどうかは、アミロイドPET検査または髄液検査での確認が必須です。当院では、まず診察と検査で適応を丁寧に見極めます。
効果と限界|知っておきたいポイント
「進行を遅らせる」お薬です
症状を改善したり、元に戻したりするお薬ではありません。
早く始めるほど効果が期待できます
神経細胞が保たれている早い段階ほど、治療の意義が大きいと考えられています。
すべての方に同じ効果があるわけではありません
効果には個人差があります。
臨床試験では、ドナネマブにより認知機能の低下が一定程度抑えられたと報告されています。一方で効果には個人差があり、副作用のリスクもあるため、メリットとリスクを医師とよく相談したうえで判断することが大切です。
副作用や注意点について
ケサンラで特に知っておきたい副作用が「ARIA(アリア/アミロイド関連画像異常)」です。これは脳のむくみ(脳浮腫)やごく小さな出血(微小出血)が、MRI画像上でみられる変化です。
- 多くは症状がなく、画像検査で見つかります
- まれに頭痛・吐き気・めまい・ふらつきなどが出ることがあります
- 特定の遺伝的体質(APOE4)をお持ちの方では、起こりやすいことが知られています
- 当院の安全対策
- 治療中は当院で定期的に頭部MRI検査を行い、ARIAの有無を確認します。当院は頭部MRIを院内で撮影できるため、通い慣れたクリニックで安全確認まで完結できます。
変化がみられた場合は、症状の程度に応じて、経過観察・一時休止・中止を医師が判断します。安全を最優先に進めます。
当院の認知症診療体制
当院では、認知症診療に力を入れる複数の医師が連携し、診断から治療・経過観察まで対応しています。
日本認知症学会に所属する医師も在籍し、ケサンラ(ドナネマブ)をはじめとする最新の治療にも取り組んでいます。
治療の流れ(当院の場合)
- STEP1 問診・診察[当院]
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もの忘れや生活のご様子をうかがい、診察します。ご家族の同席を歓迎します。
- STEP2 認知機能検査・血液検査・頭部MRI[当院]
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認知機能を評価し、全身状態や脳の状態を確認します。頭部MRIは当院で撮影できます。
- STEP3 連携病院のご紹介[当院]
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治療の対象となる可能性がある方を、ケサンラの導入が可能な連携病院へご紹介します。
- STEP4 導入前検査・ケサンラの導入(治療開始)[連携病院]
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アミロイドPET検査または髄液検査で適応を最終確認し、連携病院で点滴を開始(導入)します。
- STEP5 点滴の継続・経過観察[当院]
-
治療開始から約半年後以降の点滴と、定期的な頭部MRIによる経過観察を当院で続けます。4週間に1回の点滴を行い、投与開始からおよそ12か月を目安に、アミロイドPET検査でアミロイドβの除去を確認します。除去が確認できた時点で投与を終了します。除去が確認されない場合でも、投与は原則として最長18か月までです。
治療によって脳内のアミロイドβが減っていく様子を表しています。
※実際のPET画像ではありません。
診察・各種検査・導入後の継続治療は当院で行い、ケサンラの適応確認検査と治療開始(導入)は連携病院で実施します。導入後は、通い慣れた当院で点滴を続けられます。
費用・保険適用について
ケサンラによる治療は保険診療で受けられます(2024年11月20日に薬価収載・保険適用)。実際のお支払い額は、年齢・所得・自己負担割合(1〜3割)や高額療養費制度によって異なります。
お薬(薬剤費)の目安
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 薬価(公定価格) | 1瓶 350mg/20mL あたり 66,948円(年間の薬価は約308万円) |
| 使い方(用法) | はじめは700mgを4週ごとに3回 → その後は1400mgを4週ごとに点滴 |
| 1回あたりの自己負担 (薬剤費のみの目安) |
3割負担:約4万〜8万円/1割負担:約1.3万〜2.7万円 ※点滴手技料・各種検査の費用が別途かかります。 |
高額療養費制度で、毎月の自己負担には上限があります
1か月に支払う医療費が高額になっても、年齢・所得に応じた自己負担の上限額を超えた分はあとから払い戻されます。たとえば70歳以上・一般的な所得(年金収入のみ)の方では、毎月の自己負担が1〜2万円程度に収まることもあります。
- 高額療養費制度:1か月の医療費が自己負担の上限を超えた分は、あとから払い戻されます。
- 多数回該当:一定期間に何度も上限に達すると、上限額がさらに下がります。
- 医療費控除:1年間の医療費が一定額を超えると、確定申告で税の負担が軽くなる場合があります。
- マイナ保険証(限度額適用認定証):あらかじめ手続きをしておくと、窓口での支払いを自己負担の上限額までにおさえられます。
※金額はいずれも目安であり、加入する保険制度・年収・世帯構成などによって異なります。当院では、検査・診察・治療を含めた費用の見通しを診察時に個別にご説明しますので、ご安心ください。
出典:ケサンラ電子添文/中央社会保険医療協議会(2024年11月薬価収載)/厚生労働省「高額療養費制度」
ケサンラとレケンビの違い
どちらも脳内の「アミロイドβ」を標的とした、新しいタイプのアルツハイマー型認知症の治療薬です。
| ケサンラ(ドナネマブ) | レケンビ(レカネマブ) | |
|---|---|---|
| 投与間隔 | 4週間に1回 | 2週間に1回 |
| 投与期間の考え方 | アミロイド除去確認で終了(最長18か月) | 継続投与 |
| 共通の注意点 | ARIA(脳のむくみ・微小出血)に注意・定期MRIが必要 | |
どちらが適しているかは、病状・通院のしやすさ・体質などをふまえて医師が判断します。当院では、それぞれの特徴をご説明したうえで、ご本人・ご家族と一緒に検討します。
まずはお気軽にご相談ください
「もの忘れが増えてきた」「親の様子が心配」——その段階でのご相談で大丈夫です。治療を受けるかどうかを決める前に、まず現状を知ることから始めましょう。脳神経外科・脳卒中専門医が、検査の要否を含めて丁寧にご説明します。
当院は「もの忘れ・認知症の診断/治療」外来を行っています。本ページはその一環として「ケサンラ治療」をご案内しています。
よくある質問(Q&A)
本ページは、アルツハイマー型認知症治療薬ケサンラ(ドナネマブ)に関する一般的な医療情報の提供を目的としており、診断・治療効果を保証するものではありません。
治療の適応・効果・費用は、年齢・病状・体質・保険制度等により個別に異なります。具体的な判断は必ず医師にご相談ください。
記載の制度・情報は2026年6月時点のものです。













