肩こりに潜む命のキケン脳神経外科医による肩こりの原因解明と実践的な解消方法
肩こりの根本原因と解消法:脳神経外科医が解説
1. 肩こりの原因に迫る
肩こりは、現代社会で多くの人が経験する一般的な問題です。その根本的な原因は、様々な要素によるものです。肩こりの主な原因について見ていきましょう。
そもそも人間は、二足歩行をすると首や腰に負担がかかりやすい体をしています。
首から肩にかけての筋肉が姿勢を保つために緊張し、血行が悪くなって重く感じるのが肩こりです。
肩こりを引き起こす主な要因としては、筋肉疲労と血行不良、末梢神経の傷などが挙げられます。それらの要因が単独、または互いに関連し合いながら肩こりを引き起こします。
そして、日常の姿勢が肩こりに大きな影響を与えます。例えば、長時間デスクワークやスマートフォンの使用は、首や肩の筋肉に過度の負担をかけ、筋肉の緊張を引き起こすことがあります。特に前かがみの姿勢は肩こりの原因となることがあります。適切な姿勢を保つことは、肩こり予防の基本です。
人間の肩は重い頭と腕を支え続けているため、首と肩の周辺にはさまざまな筋肉があります。これらは重い頭や腕を支えて立っているだけで、緊張し続けています。緊張が続くと筋肉が疲れて疲労物質がたまり硬くなり、それが血管を圧迫して血液の循環を悪くしたり、末梢神経を傷つけたりして、コリや痛みを起こします。また、血行不良になると、筋肉に十分な酸素や栄養が供給されず、筋肉に疲労がたまってますます筋肉が硬くなってしまいます。
また、ストレスも肩こりの一因となります。現代社会では、忙しい日常や仕事のプレッシャーがストレスとして体に影響を与えることがあります。ストレスが高まると、交感神経が刺激されて筋肉が緊張し、結果として肩こりが発生する可能性があります。ストレス管理やリラクゼーション法の導入は、肩こりの軽減に役立つでしょう。
運動不足も肩こりの要因です。適度な運動不足は、筋肉の弱化や関節の柔軟性の低下を招き、肩こりを悪化させる可能性があります。運動を取り入れることで、筋肉のバランスを保つことが肩こり改善につながります。
また、日常生活における習慣も肩こりに影響を与えます。例えば、寝具や枕の選択が悪いと、寝ている間に首や肩に負担がかかり、肩こりを引き起こす可能性があります。適切な寝具の選択や寝る前のストレッチなどの習慣を取り入れることで、肩こりを軽減することができます。
肩こりの改善には、信頼性のある情報源を活用することが重要です。肩こりに関する情報収集においては、医学的な情報や専門家の意見を頼りにすることが大切です。専門家の助言を受けることで、自身の状態に合わせた適切な対策を見つけることができるでしょう。
2. ストレスとの関係性を理解する
現代の忙しい生活スタイルにおいて、ストレスは我々の健康に様々な影響を及ぼす要因の一つです。肩こりとストレスの関係性について、信頼性のある情報をもとに詳しく見ていきましょう。
ストレスと肩こりは密接に関連しています。ストレスが増加すると、交感神経が活発化し、身体全体の緊張が高まります。特に、肩や首の筋肉がこれに影響を受け、緊張が蓄積される可能性があります。このような筋肉の緊張が、肩こりの主な原因の一つとなります。
また、ストレスによる筋肉の収縮が続くと、血液の流れが悪くなり、酸素や栄養素の供給が不足することも考えられます。これにより、筋肉疲労や痛みが増加し肩こりが悪化する可能性があります。
さらに、ストレスが原因で分泌されるストレスホルモンは、筋肉の緊張や炎症を引き起こす可能性があります。このような生理的な変化が、肩こりの症状を強化する可能性があります。
肩こり対策の一環として、ストレス緩和が重要な要素となります。リラックス法や深呼吸、瞑想などの実践は、ストレスを軽減し、筋肉の緊張を解放するのに役立ちます。また、ストレスは単に身体的な症状だけでなく、メンタルヘルスにも影響を及ぼすため、総合的なアプローチが求められます。
ストレスマネジメントは、肩こりの予防と改善に向けて重要なステップです。ストレスを適切にコントロールすることで、肩こりの頻度や強度を軽減することが期待されます。信頼性のある情報源や専門家のアドバイスを通じて、ストレスと健康への影響を理解し、適切な対策を実施することが大切です。
3. 実践的なセルフケア方法
肩こりの症状を軽減するためには、日常生活に取り入れられる実践的なセルフケア方法が重要です。肩こりの改善に役立つ具体的な方法を見ていきましょう。
まず、肩こり緩和のために効果的なストレッチや筋力トレーニングを取り入れることがおすすめです。肩周りの筋肉をストレッチすることで緊張が緩和され、血流も促進されます。また、姿勢の改善も重要です。正しい姿勢を保つことで、肩や首の筋肉にかかる負担を軽減できます。特にデスクワークを行う際には、モニターやキーボードの位置を調整し、姿勢を保つよう心がけましょう。
デスク周りの工夫も肩こり改善の一環として考えられます。適切な高さや角度での作業環境の整備が、肩こりの予防につながります。さらに、リラックス法の実践も効果的です。深呼吸や瞑想、ヨガなどを取り入れることで、筋肉の緊張を緩和し、ストレスを軽減できます。ストレス管理も肩こり改善に欠かせません。ストレスを適切にコントロールすることで、筋肉の緊張が緩和される可能性があります。
適切な休息も肩こり対策に重要です。定期的な休憩や良質な睡眠を確保することで、筋肉の回復が促進されます。温熱療法も一つのアプローチです。温かいタオルや湿布を使用して、筋肉の緊張をほぐすことができます。ヨガやピラティスも肩こり改善に役立つエクササイズが豊富です。これらの運動は筋肉のバランスを保つのに役立ちます。
4. 5分でできるデイリーケア
忙しい日々でも、たった5分の時間を使って肩こりのケアを行うことは可能です。効果的なデイリーケアの方法を見てみましょう。
まず、ストレッチとエクササイズが効果的なアプローチです。毎朝起きたら、ベッドで行える簡単なストレッチを試してみましょう。肩や首の筋肉をほぐすストレッチは、血流を促進し肩こりを軽減する助けになります。また、5分間の軽いエクササイズも効果的です。例えば、肩甲骨を動かす運動や腕を回す運動を取り入れることで、筋肉の緊張をほぐすことができます。
正しい姿勢を保つことも重要です。デスクワークが多い人は、長時間同じ姿勢でいることが多いため、姿勢が崩れやすいです。5分ごとに背筋を伸ばし、肩を後ろに引いてみるだけでも、姿勢を意識することができます。
深呼吸とリラックス法も5分でできるケアの一環です。深呼吸を行うことで、体内の酸素量が増え、筋肉の緊張が緩和されます。リラックス法を取り入れることで、日常のストレスを軽減し、肩こりの症状を和らげることができます。
日常生活にデイリーケアを組み込むことも大切です。例えば、コーヒーブレイクや昼休みの際に5分だけストレッチや深呼吸を行う習慣をつけることで、肩こりの予防に役立ちます。また、寝る前にリラックス法を行うことで、質の良い睡眠を促進し、翌日の肩こりを軽減できるでしょう。
デイリーケアを実践することで、効果を実感することができます。しかし、続けることが大切です。5分という短い時間でも、継続的に取り組むことで効果が持続し、肩こりから解放される一歩となるでしょう。
医療機関での受診をおすすめする理由
1. 命を落とすほどの疾患が潜んでいる恐れ
治らない肩こりは、もしかすると首の後ろの血管が裂けているかもしれません。
椎骨動脈解離という病気は、数日で命を落とすこともある重い病気ですが、単なる肩こり頭痛や、ストレートネックとして見逃されることもしばしば見受けられます。
椎骨動脈解離が悪化するとくも膜下出血になるため、肩こりはくも膜下出血の前兆かもしれません。
また突然痛くなれば怖い病気かもしれないと思いますが、椎骨動脈解離はじわじわ痛くなることもあるため、いつもの肩こりだと思い込んで放置せず、一度医療機関を受診することが大切です。
痛みが強い、左右どちらか広範囲に起こる、肩こりの他に頭痛やめまい、吐き気、手の痺れなどがある場合は、すぐに医師の診察を受けましょう。他の疾患が隠れている可能性があります。
2. くすりで肩こりの痛みを抑える仕組み
肩こりによる刺激でブラジキニンやヒスタミンという痛みを起こす物質(発痛物質)が作られ、感覚中枢に作用して痛みを起こします。
この時、プロスタグランジンという物質も作られており、これが炎症を起こしたり、シナプス(神経終末)に作用して痛みを増強させたりします。
痛みがあるとその部分が緊張してしまい、また筋肉が硬くなってこりを繰り返してしまいます。
消炎鎮痛成分を配合した外用薬(シップ薬など)により、痛みを初期の段階で抑え、痛みの悪循環を防げる事があります。
3. くすりの選び方と注意点
こった部分が痛くてつらいときは、フェルビナクやインドメタシンなどの消炎鎮痛成分を配合したシップ剤(パップ剤)、ローション、ゲル、スプレーなどの市販薬(OTC医薬品)を上手に活用しましょう。
ロキソプロフェンナトリウム水和物、フェルビナクやインドメタシンは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれる鎮痛作用を持つ成分で、 痛みの原因物質であるプロスタグランジンを効果的に抑えてくれます。
患部の場所や症状によって適切なものを選んでください。
シップ及びテープには、冷感タイプと温感タイプがあるものもあります。
冷感タイプは、メントールなどを配合し、清涼感を強く感じる処方になっています。一方温感タイプは、トウガラシエキスのような灼熱感を与える成分を配合しており、ぽかぽかした感じがして血行が促進されます。
皮膚の弱い人、妊娠中の人、15歳未満の小児喘息の発作がある人などは、成分によって注意が必要なものもあります。購入前に薬剤師に相談しましょう。
筋肉の疲労、血行不良、末梢神経の傷の回復には、ビタミン剤=ビタミンB1、B12、Eを補給して内からケアするのも効果的です。
筋肉疲労、緊張に効くビタミンB1、ビタミンB1はチアミンとも呼ばれ、食事で摂取した糖質を細胞に必要なエネルギーに変える働きをします。
血行不良を改善するビタミンEはトコフェロールとも呼ばれ、抗酸化作用があり、脂質の酸化を防ぎ、体の各器官や細胞などの老化を防止します。
末梢神経の傷を修復する活性型ビタミンB12は、肩こりの原因のひとつに末梢神経が傷つくことが挙げられます。
ビタミンB12は、シアノコバラミンとも呼ばれ、赤血球の生成に関与し、また傷ついた末梢神経を修復する働きがあります。
肩こり改善のための新たな一歩
継続可能な習慣への移行
肩こりのケアを継続的に行うためには、短期的な取り組みだけでなく、長期的な習慣の確立が重要です。どのようにして継続可能な習慣へ移行するか、以下に要素を紹介します。
まず始めに、目標の設定と計画が不可欠です。具体的なゴールを定め、その達成方法を計画することで、やる気を保ちながら着実に続けていくことができます。しかし、大きな一歩を踏み出す必要はありません。小さなステップから始めることで、緩やかな変化を進めることができます。
ルーティンの確立も重要です。ケアを日常の習慣として取り入れることで、その行動が自然となり、続けやすくなります。例えば、毎朝起きたら少しだけストレッチを行うことを習慣化すると、気づかないうちにケアが行われていることになります。
モチベーションを維持するためには、自分の進歩を意識することが大切です。進歩を記録し、目に見える成果を感じることで、継続する動機が生まれます。また、途中で習慣が途切れないように、逆転の防止策を考えることも大切です。例えば、友人と一緒にケアを行うことで、モチベーションを高めることができます。
習慣のメリットを認識し強化することも重要です。継続的なケアがもたらす健康や快適さを実感することで、その効果を実際に体験することができます。さらに、習慣を維持するためには、環境づくりが効果的です。ストレッチ用のスペースを作る、リマインダーを設定するなど、環境を整えることでケアを行いやすくなります。
そして、習慣の継続にはサポートが欠かせません。家族や友人からの支援や励ましを受けることで、継続するモチベーションが高まります。さらに、専門家のアドバイスを受けることも有益です。適切なケア方法やアドバイスを提供してもらうことで、効果的な習慣の形成が可能です。
ここまで、肩こりの原因からセルフケアの方法まで紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
肩こりは他の疾患と比べて、比較的身近に感じられやすい面がある一方で、さまざまな病気の前兆となることがあります。
記事の中でも紹介しましたが、肩こりだと思っていたらキケンな病気だったなんてことも起こり得るということを忘れてはいけません。
肩こり改善のステップとしては、
① まずは脳神経外科で他の病気が潜んでいないかチェック
② 問題なければ、整骨院などで肩こりを治療する
この流れで肩こりに対してアプローチすることもおすすめいたします。