お子様の頭痛の診断、治療について
頭痛はあくまで自覚症状であり、その診療は容易ではありません。
頭痛を訴えることは幼少時期からあります。
こどもは言葉でうまく伝えることができなくて、周囲の大人から気のせいと言われて放置されてしまうこともあります。
こどもの頭痛にも、もやもや病、クモ膜下出血、脳腫瘍など命に係わる恐い頭痛もありますが、実際的には風邪などによる感染症を除けばほとんどが片頭痛です。
小児の片頭痛の有病率は、1.7〜21.3%であり、決してまれな疾患ではありません。
中学生で4.8%、高校生で15.6%と年齢とともに増加します。
小児期の頭痛の問題点としては、欠席原因となり学習障害などもあります。
こどもの頭痛と関連する生活習慣は?
- 1日のゲーム時間
- 1日のテレビ視聴時間
- 週4回以上の習い事
- 7時間以内の睡眠時間
- 朝ごはんの有無
こどもの片頭痛の予兆
片頭痛発作の数時間から数日前からみられるもので、あくび、肩こり、疲労感、集中困難、過敏性などの症状があります。こどもは気が付かないので、親が気づいてあげる必要があります。
[片頭痛の症状経過]
小児の片頭痛に関わらず、片頭痛の痛みの特徴は、徐々に頭痛が悪化し、体動によって、頭痛が増悪することです。体を動かすことで頭痛が悪化するために横になって動かなくなってしまう子も多いです。さらに光や音などに対する過敏性から頭痛が増悪し、高頻度に嘔気や嘔吐を伴います。頭痛発症後には毛髪のピリピリ感や手足のしびれ感といったアロディニアを伴うことがあります。頭痛のピークを過ぎると、徐々に眠気をきたします。眠るとすっきりしますが、重度の頭痛発作の際には疲労感が残存します
片頭痛の誘因
ストレス、精神的緊張、疲労、睡眠不足、睡眠過多、天候変化、整理、食品
気を付けること
- 規則正しい食生活と睡眠リズム
- 運動習慣
- 誘因を避ける
共存症
副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎はそれ自体でも頭痛の原因になるが、睡眠に影響を与え片頭痛の増悪因子になります。
連日のように頭痛がある場合は精神疾患や発達障害の併存も考慮します。
小児の頭痛の予後は?
頭痛専門外来における8年間の追跡結果では、寛解34%、改善45%、悪化6%、不変15%と報告されています。
小児の2次性頭痛
- 全身性感染症による頭痛
- 頭部外傷後
- 副鼻腔炎
- 髄膜炎・脳炎
- 脳脊髄減少症
- もやもや病
- 脳腫瘍
- 脳膿瘍
- 頭蓋内出血
- 脳動静脈奇形
- キアリ奇形
- ラトケ嚢胞
- 水頭症
- ミトコンドリア脳筋症
- 高血圧
- 薬剤の使用過多による頭痛
- など