この記事で分かること
閃輝暗点(せんきあんてん)が繰り返す・毎日のように起こるとき、それが何を意味するのかをやさしく整理します。
「繰り返すのは危険?」への考え方、そして頻度が増えてきたときこそ相談したい理由まで、脳神経外科・頭痛専門医がご案内します。
「また出た」「このごろ回数が増えた気がする」「ほとんど毎日のように起こる」——視界にキラキラ・ギザギザの光が広がる閃輝暗点を繰り返すうちに、「また来るのが怖い」「繰り返すのが辛い」「こんなに繰り返して大丈夫だろうか」と不安になってこられたのではないでしょうか。
なかには、子どもの頃から長年この見え方を繰り返してきたという方もいます。「何か分からず、周りに相談しても理解されなかった」「20〜30分ほどで消えるので、いつも耐えるだけだった」「大人になって、それが閃輝暗点だと初めて知った」——そうしたお話をうかがうことは少なくありません。長く付き合ってきた方ほど、“いつもと同じ”なのか、“変わってきた”のかを一緒に見ていくことが大切になります。
閃輝暗点の多くは片頭痛の前兆(オーラ)で、一度起こると繰り返しやすい性質があります。ですから、繰り返すこと自体は、それほど珍しいことではありません。ただし、「これまでより頻度が増えてきた」「毎日のように起こる」という変化には、少し意味があります。この記事では、頻度という切り口から「どう受け止め、いつ相談すればよいか」を一緒に考えていきます。
目次
繰り返す閃輝暗点や、回数が増えてきた・毎日のように起こるという方は、頭痛専門外来へお気軽にご相談ください。
▶専門医による解説動画|閃輝暗点
閃輝暗点について、脳神経外科・頭痛専門医が動画でわかりやすく解説しています。繰り返す見え方の変化が気になる方は、文章とあわせてご覧ください。
1.閃輝暗点が繰り返すのはなぜ?
繰り返すこと自体は珍しくない
閃輝暗点は、脳の視覚をつかさどる後頭葉の表面を、神経の活動の波がゆっくり広がっていく現象に対応すると考えられています(Hadjikhani et al. 2001)。この現象は、目そのものの異常ではなく脳で起こるもので、一度経験すると、また同じように繰り返し起こりやすいという性質があります。次の日にまた起こる方もいれば、数か月あいだが空く方もいて、間隔には大きな個人差があります。ですから、「繰り返している」というだけで、すぐに重い病気を心配しなければならないわけではありません。見え方や基本的なしくみについては閃輝暗点とは?見え方・原因・対処の記事で詳しく解説しています。
気にかけたいのは「頻度の変化」
一方で、注目したいのは「これまでと比べてどう変わったか」です。長らく年に数回だった方が急に月に何度も起こるようになった、いつもと見え方が違う、頭痛の出方が変わった——こうした変化は、体からのサインとして受け止め、一度確認しておくと安心です。
とくに、頭痛を伴わない閃輝暗点や、急な視野の欠け、片方の目だけの見えにくさなど、いつもと違う見え方があるときは、別の病気との区別が必要なこともあります。こうした「気をつけたいサイン」は頭痛のない閃輝暗点と脳梗塞リスクの記事でくわしく解説していますので、あわせてご覧ください。
2.毎日・頻繁に起こるときの考え方
「ほとんど毎日のように起こる」「週に何度もある」という方は、また来るのが怖い、繰り返すのが辛いと、不安が大きくなりやすいものです。頻度が高いこと自体は、多くの場合片頭痛が起こりやすい状態が続いているサインと考えられます。だからこそ、「回数を減らすにはどうすればよいか」という前向きな相談につなげていくことが大切です。
「回数が増えた」が示すこと
片頭痛は、起こる日数が少ない状態(反復性)から、日数が多い状態へと移り変わることがあると知られています。参考として、月に15日以上の頭痛が3か月を超えて続く状態は「慢性片頭痛」と呼ばれ、区別して考えられています(International Headache Society 2018)。閃輝暗点そのものの回数だけで決まるものではありませんが、「以前より頻度が増えてきた」という流れ自体を、早めに相談する材料にしていただくとよいでしょう。
痛み止めの使いすぎに注意
頻度が増えてきたときに、意外と見落とされやすいのが市販の痛み止め(急性期の薬)の使いすぎです。痛み止めを頻回に使う状態が続くと、かえって頭痛が起こりやすくなること(薬の使いすぎによる頭痛)が知られています(International Headache Society 2018)。実際に、急性期の薬の使用が多い方ほど、月々の頭痛が増えて慢性化しやすいという報告もあります(Bigal et al. 2008)。
「効かないから、つい回数が増える」「回数が増えるから、さらに頻繁に飲む」という循環に入ってしまうことがあります。痛み止めを使う回数が増えてきたときこそ、我慢して薬を増やす前に、一度ご相談いただくタイミングです。
「回数」より「変化」で考える(イメージ)
※目安のイメージで、診断基準ではありません。数字よりも「これまでとの変化」を手がかりにお考えください。
3.頻度が増えたら予防の相談を
「起きてから対処」から「起こりにくくする」へ
閃輝暗点や片頭痛が頻繁になってくると、そのつど対処するだけでは、生活への負担が大きくなっていきます。頭痛の回数が多い方や、仕事・家事・予定を諦めることがある方では、発作を起こりにくくする「予防治療」という選択肢が検討されます(Ailani et al. 2021)。「起きてから対処する」だけでなく、「起こる回数そのものを減らす」という考え方です。
予防のためのお薬は市販されておらず、医療機関での相談・処方が必要です。合うお薬や進め方には個人差があるため、頻度や生活への影響を一緒に確認しながら選んでいきます。予防という選択肢が自分に向いているかどうかも含めて、まずはご相談ください。
引き金(誘因)を見直すことも
予防の相談とあわせて、頻度が増えた背景に生活の引き金(誘因)がないかを見直すことも役立ちます。睡眠の乱れ・ストレス・食事を抜くこと・強い光・気圧の変化などが重なると、起こりやすくなると考えられています。引き金は積み重なって起こりやすくなるため、避けやすいものから少し減らすだけでも「余白」が生まれます。
引き金の詳しい見直し方や、記録(頭痛ダイアリー)のつけ方については、閃輝暗点の誘因(スマホ・ストレス)と減らし方の記事でくわしく解説しています。
閃輝暗点の後に頭痛が続いて辛いときの過ごし方や、出てしまったときのその場の対処は閃輝暗点が出たときの対処法の記事にまとめています。
回数が増えてきた、痛み止めが手放せない、毎日のように起こる——そんなときは頭痛専門外来へご相談ください。
4.受診の目安を頻度で考える
「どのくらいの頻度になったら受診すればいいの?」というご質問をよくいただきます。あくまで目安ですが、頻度と「これまでとの変化」を手がかりに、次のように考えていただくと分かりやすいかと思います。
頻度別の受診の目安(イメージ)
| 頻度・状態 | 考え方 |
| 数か月に1回・いつもと同じ見え方 | あわてなくて大丈夫なことが多いです。気になれば相談を。 |
| 月に数回・回数が増えてきた | 引き金の見直しと、一度の受診をおすすめします。 |
| 毎日のように・週に何度も | 予防の相談を含め、受診をおすすめします。 |
| 痛み止めを使う回数が増えている | 薬を増やす前に、早めにご相談ください。 |
| 初めて/いつもと違う見え方/頭痛のない視野の欠け | 別の病気の区別が必要なことも。早めに受診を。 |
※目安のイメージで、診断基準ではありません。判断に迷うとき、症状が強いときは無理をせず医療機関へご相談ください。
急を要するサインもあります
頻度の目安とは別に、手足の力が入らない・ろれつが回らない・強い頭痛が突然おこるなど、これまでと明らかに違う症状を伴うときは、様子を見ずに医療機関を受診してください。とくに症状が急で強い場合は、ためらわずに救急要請(119)や、判断に迷う場合の相談窓口(#7119)の利用もご検討ください。
閃輝暗点の検査や受診の流れは閃輝暗点の診療のご案内を、頭痛全般のご相談は頭痛外来のご案内をご覧ください。予防治療や後頭葉てんかんとの区別については閃輝暗点は治る?の記事もあわせてご覧ください。
5.よくあるご質問
Q. 閃輝暗点を繰り返すのは危険ですか?
閃輝暗点は片頭痛の前兆として起こることが多く、一度起こると繰り返しやすい性質があります。そのため、繰り返すこと自体が、すぐに重い病気を意味するわけではありません。ただし、これまでより頻度が増えた、いつもと見え方が違う、頭痛を伴わない視野の欠けがある、といった「変化」があるときは、別の病気の区別のためにも一度ご相談いただくと安心です。
Q. 毎日のように起こります。何かの病気でしょうか?
毎日のように起こる場合、多くは片頭痛が起こりやすい状態が続いているサインと考えられますが、頻度が高いときこそ一度確認しておくことをおすすめします。市販の痛み止めを頻回に使う状態が続くと、かえって頭痛が起こりやすくなることも知られています。頻度を減らす方法を一緒に考えるためにも、我慢せずご相談ください。
Q. 何回くらいから受診したほうがいいですか?
回数そのものだけで決まるものではなく、「これまでとの変化」が手がかりになります。月に数回起こる・回数が増えてきたと感じるときは、一度の受診が目安です。毎日のように起こる、痛み止めを使う回数が増えている、というときは、予防の相談も含めて受診をおすすめします。初めての症状や、いつもと違う見え方があるときは早めにご相談ください。
Q. 繰り返す回数を減らすことはできますか?
頻度が多い方や生活に支障が出ている方では、発作を起こりにくくする予防治療という選択肢が検討されます。予防のためのお薬は市販されておらず、医療機関での相談・処方が必要です。あわせて、睡眠・ストレス・食事など生活の引き金を見直すことも、回数を減らす助けになります。ご自身に合う進め方を一緒に考えていきましょう。
Q. 痛み止めを頻繁に飲んでいますが、続けて大丈夫ですか?
痛み止め(急性期の薬)を頻回に使う状態が続くと、かえって頭痛が起こりやすくなることが知られています。効かないから回数が増え、回数が増えるからさらに頻繁に飲む、という循環に入ってしまうこともあります。自己判断で急にやめる必要はありませんが、使う回数が増えてきたと感じるときは、増やす前に一度ご相談ください。
6.まとめ
- 閃輝暗点は一度起こると繰り返しやすい性質があり、繰り返すこと自体はそれほど珍しいことではありません。
- 大切なのは回数そのものより「これまでとの変化」。頻度が増えた・毎日のように起こるという流れは、確認と相談のタイミングです。
- 頻度が増えたときは市販の痛み止めの使いすぎにも注意。薬を増やす前のご相談が近道になることがあります。
- 回数が多い・生活に支障があるときは、発作を起こりにくくする予防の相談という選択肢があります(予防薬は市販されず受診が必要です)。
- 初めて・いつもと違う見え方・頭痛のない視野の欠けなどは、別の病気の区別が必要なこともあるため、早めにご相談ください。
閃輝暗点が繰り返す・頻度が増えてきたと感じたら、それは体からのサインかもしれません。
一人で抱え込まず、いわた脳神経外科クリニックの頭痛専門医にお気軽にご相談ください。
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当院では、頭痛のお悩みにしっかり寄り添います。また当院公式LINEにてご質問等をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。
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重要:本記事の位置づけ
本記事は閃輝暗点と片頭痛の頻度に関する一般的な情報提供を目的としており、診断や治療を保証するものではありません。症状の起こり方や経過には個人差があります。気になる症状がある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
参考文献
Ailani, J., Burch, R.C. and Robbins, M.S. (2021) ‘The American Headache Society Consensus Statement: update on integrating new migraine treatments into clinical practice’, Headache, 61(7), pp. 1021–1039. doi:10.1111/head.14153.
Bigal, M.E., Serrano, D., Buse, D., Scher, A., Stewart, W.F. and Lipton, R.B. (2008) ‘Acute migraine medications and evolution from episodic to chronic migraine: a longitudinal population-based study’, Headache, 48(8), pp. 1157–1168. doi:10.1111/j.1526-4610.2008.01217.x.
Hadjikhani, N., Sanchez del Rio, M., Wu, O., Schwartz, D., Bakker, D., Fischl, B., Kwong, K.K., Cutrer, F.M., Rosen, B.R., Tootell, R.B.H., Sorensen, A.G. and Moskowitz, M.A. (2001) ‘Mechanisms of migraine aura revealed by functional MRI in human visual cortex’, Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA, 98(8), pp. 4687–4692. doi:10.1073/pnas.071582498.
International Headache Society (2018) ‘The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition (ICHD-3)’, Cephalalgia, 38(1), pp. 1–211. doi:10.1177/0333102417738202.















