MRI検査室の中で何が起きているか|撮影5〜10分・音・におい・明るさ・室温

この記事で分かること

  • 撮影そのものは5〜10分、着替えや準備を含めた検査全体で15分程度です。
  • 撮影中に聞こえる音は、装置の中のコイルが振動して出る音です。撮影の種類ごとに音は変わります。
  • MRI室に特有のにおいはありません。撮影中の室内は明るさを保っています。
  • 室温は装置の管理のため低めに設定しており、毛布をご用意しています。
  • 頭部のMRIでは、脳そのものだけでなく、目の奥・鼻・喉の奥・血管・頭の形も同じ撮影の中で写ります。

MRI検査を受けることが決まったあと、いちばん気になるのは「あの筒の中で、いったい何をされるのか分からない」ということではないでしょうか。

「音がうるさいと聞いた」「狭いところがあまり得意ではない」「どれくらいの時間じっとしていればいいのか」「途中で眠ってしまったらどうなるのか」。こうした不安は、検査そのものが怖いというより、中で何が起きているかを知らされていないことから生まれます。

この記事では、大阪市城東区で脳神経外科を行う立場から、検査室に入ってから出るまでに実際に何が起きているのかを、時間・音・室内の環境の順に説明します。読み終えたときに、検査室の中で起きていることを具体的に思い描けるように整理しました。

体内金属・タトゥー・アートメイク・カラーコンタクトなど「MRIを受けられない条件」の詳細は、別記事「MRI検査はタトゥーやアートメイクで受けられない?」で解説しています。また、CT検査との使い分けは「CT検査とMRI検査の違いとは?」をご覧ください。本記事は「検査室の中で何が起きているか」に絞ってご説明します。


目次



気になる症状があって、一度脳の状態を確認しておきたい方は、お気軽にご相談ください。

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1. MRI検査の流れと所要時間

まず、時間の話からお伝えします。「MRIは時間がかかる検査」という印象をお持ちの方が多いのですが、当院の頭部MRIでは撮影そのものは5〜10分です。着替えや金属の確認といった準備を含めた検査全体でも15分程度で終わります。

この2つの数字は別のものです。「15分」は受付から退室までの全体、「5〜10分」は実際に装置の中で撮影している時間を指します。じっとしていていただく必要があるのは後者のほうです。「MRIは何分かかるのか」という問いへのお答えとしては、撮影時間5〜10分、検査時間全体で15分程度と考えていただければ十分です。

MRI検査の流れは次のとおりです。

段階 何をするか
1. 確認 体内の金属や手術の既往、身につけているものについて確認します。ここでの確認がいちばん大切な工程です。
2. 準備 アクセサリー・時計・ヘアピン・下着の金具など、金属を外していただきます。必要に応じて検査着に着替えていただきます。
3. 入室 検査室に入り、寝台に仰向けで横になります。頭のまわりに、電波を受け取るための装置(コイル)を置きます。
4. 撮影 寝台が動いて、頭が筒の中に入ります。ここから5〜10分。動かずに寝ているだけです。
5. 退室 寝台が戻り、そのまま起きて退室します。撮影後に安静にしていただく必要はありません。
6. 説明 当院では撮影した画像を見ながら、当日のうちに医師が説明しています。

当院のMRI装置について
1.5テスラのGE社製「Signa Creator」を使用しています。あわせて、AIによる画像技術「SwiftMR」(AIRS Medical社製・管理医療機器 認証番号305AHBZI00041000)を導入し、撮影時間の短縮と画質の向上に取り組んでいます。



2. MRIの音はなぜうるさいのか

検査前の不安でもっとも多いのが、音についてです。実際、MRIの撮影中は装置から大きな機械音が聞こえます(国立がん研究センター 2024)。工事現場を思わせる音で、初めての方は驚かれるかもしれません。

「MRIはなぜうるさいのか」と思われるかもしれませんが、この音が出ることには理由があります。音が鳴っているときこそ、装置が撮影しているときです。仕組みが分かると、受け止め方はかなり変わります。


2-1. なぜ音が出るのか

MRIの装置の中には、体のどの位置からの信号かを見分けるための「勾配磁場コイル(傾斜磁場コイル)」が組み込まれています。撮影中は、このコイルに電流を短い間隔で流したり止めたりしています。

装置の中は常に強い磁石が働いている空間です。その中で電流が流れると、コイルの導線に力(ローレンツ力)が働きます。電流を素早く切り替えるたびにこの力の向きも変わるため、コイルが振動し、その振動が空気を伝わって音として聞こえます (Motovilova & Winkler 2022)。スピーカーの振動板が震えて音が出るのと、原理は同じです。

順番 起きていること
撮影のため、コイルに電流を短い間隔で流したり止めたりする
強い磁石が働く空間の中なので、電流が流れた導線に力が働く
力の向きが切り替わるたびにコイルが振動する
その振動が空気を伝わり、機械音として聞こえる

ここまで分かると、次のことも説明がつきます。撮影の種類ごとに、音は変わります。電流をどんなリズムで、どのくらいの速さで切り替えるかは撮影の種類によって違うため、音の高さやリズムも変わるのです。「トントントン」と一定に続く音のあとに、低く唸るような音や、高く速い音が続くことがあります。音の変化は撮影内容が次に進んだことを示すもので、異常を知らせる音ではありません。


2-2. 音の大きさの目安

音の大きさは、装置の磁場強度や撮影の種類によって変わります。3テスラと7テスラの装置で実際に測定した報告では、次の値が示されています (Akbar et al. 2023)。いずれも5種類の撮影方法で測定した値の平均です。

測定条件 音の大きさ
3テスラ・時間平均
91.4 dB
3テスラ・最大
96.5 dB
7テスラ・時間平均
105.6 dB
7テスラ・最大
114.0 dB

この報告の限界
この測定は3テスラと7テスラの装置を対象にしたもので、1.5テスラの装置は測定対象に含まれていません。
マイクは装置の中心付近に置いて測定したもので、耳栓などを装着した状態で耳に届く音の大きさではありません。
同じ磁場強度でも、装置・撮影の種類・測定の条件によって値は変わります。あくまで「どのくらいの幅の音なのか」の目安としてご覧ください。

当院では耳栓と耳当てをご用意しており、装着した状態で検査を受けていただけます。以前の検査で音が耐えられないと感じた経験がある方、大きな音が苦手だという方は、検査の前にお申し出いただければ、お一人ごとに相談しながら進めます。


検査の音や進み方について気になることがあれば、予約のときにお伝えいただいても大丈夫です。

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3. MRI検査室の中の環境

音以外のことは、ほとんど語られる機会がありません。においはするのか、暗いのか、寒いのか。実際のところを挙げていきます。

項目 検査室の中の状態
におい MRI室に特有のにおいはありません。薬品のにおいがする部屋ではありません。
明るさ 撮影中の室内は明るさを保っています。暗い中で受ける検査ではありません。
室温 装置の管理のため低めに設定しています。毛布をご用意していますので、必要なときはお申し出ください。
姿勢 仰向けで横になっているだけです。息を止めたり、体勢を変えたりする必要はありません。
服装 金属のない服であれば、そのまま受けていただける場合もあります。金具のある衣類は着替えていただきます。

室温については、ひとつだけ知っておいていただくと楽なことがあります。低めの室温の部屋で10分ほど動かずにいるため、検査が終わったあとに肌寒く感じることがあります。上に羽織れるものを1枚お持ちいただくと、そのあとが過ごしやすくなります。もちろん、なくても検査には差し支えありません。



4. 検査中の見守りと金属の確認

筒の中に一人で入る検査なので、「一人にされる」という感覚を持たれる方がいます。実際には、検査中は隣室から常に様子を確認しています。操作室からは検査室の中が見えるようになっており、撮影の状況と一緒に確認しています。

検査の前に金属の確認をていねいに行うのも、同じ理由からです。MRIの装置は撮影していないときも強い磁石が働いているため、金属を検査室に持ち込まないよう事前に確認します。また、体内に取り外せない金属がある場合は、あらかじめ医師に伝える必要があります(国立がん研究センター 2024)。


体内金属・ペースメーカー・タトゥー・アートメイク・カラーコンタクト・湿布・整髪料など、確認が必要なものの一覧と理由は「MRI検査はタトゥーやアートメイクで受けられない?」でまとめています。当てはまるかどうか迷う場合も、そのままご相談ください。



5. MRIは脳だけを見ていない

ここは、あまり知られていない話です。頭痛でMRIを撮るというと「脳の病気があるかどうかを見る検査」と思われがちですが、頭部の撮影では脳そのもの以外の場所も同じ画像の中に写っています。当院では、撮影した画像を順に見ながら説明しています。

見ている場所 確認していること
脳そのもの 脳梗塞の跡、脳の萎縮、腫瘍を疑う所見などがないかを確認します。
血管 脳の血管の形や、細くなっているところ・ふくらんでいるところがないかを確認します。
目の奥 眼球の後ろ側や視神経のまわりの様子を確認します。見えにくさをともなう頭痛のときに手がかりになることがあります。
鼻の奥にある副鼻腔の状態を確認します。頭の重さや前頭部の痛みが副鼻腔から来ていることもあります。
喉の奥 喉の奥のあたりの様子を確認します。
頭の形 頭蓋骨や頭の輪郭、左右のバランスを確認します。

つまり、頭痛でMRIを撮ることには「脳に大きな病気がないかを確認する」以上の意味があります。痛みの原因が脳の外側にあった、というケースも実際にあるためです。


MRIで分かることには範囲があります
MRIは多くの情報が得られる検査ですが、すべての病気が分かるわけではありません。
症状によっては血液検査や別の画像検査を組み合わせて考える必要があり、何をどこまで調べるかは、症状と経過をふまえて医師が判断します。


ご自身の症状でMRIで何を確認するのか知りたい方は、まずは外来でご相談ください。

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6. よくあるご質問

Q. MRI検査で放射線を浴びることはありますか?

MRI検査は強力な磁石と電波を使って画像をつくる検査で、X線を使わないため被ばくの心配はありません(国立がん研究センター 2024)。X線を使うCT検査との違いや使い分けについては「CT検査とMRI検査の違いとは?」で解説しています。

Q. MRI検査はどれくらい時間がかかりますか?

当院の頭部MRIでは、撮影そのものが5〜10分、着替えや準備を含めた検査時間全体で15分程度です。MRIの所要時間は撮る範囲や目的によって幅があり、従来型の頭部MRIではおおむね10〜20分と報告されています(Prakkamakul et al. 2016; Ryu et al. 2020)。頭だけを撮るのか、造影剤を使うのか、ほかの部位も一緒に撮るのかで変わってきます。

Q. 子どももMRI検査を受けられますか?保護者は付き添えますか?

お子さんの検査では、保護者の方が付き添っていただけます。ただし検査室に入る方は全員、金属の確認が必要です。付き添う方も同じように確認を行い、身につけているものに金属がある場合は着替えをお願いすることがあります。年齢や、じっとしていられるかどうかによって進め方が変わりますので、事前にご相談いただければと思います。

Q. MRIの検査中に寝てしまっても大丈夫ですか?

仰向けで横になっているだけの検査ですので、眠ってしまっても差し支えありません。体が動くと画像がぶれてしまうため、目が覚めたときも、そのままの姿勢でいていただければ大丈夫です。

Q. 狭いところが苦手ですが、受けられますか?

狭いところが苦手な方は少なくありません。当院の装置や進め方については「MRI検査はタトゥーやアートメイクで受けられない?」でも触れていますので、そちらもご覧いただきつつ、受けられるかどうか迷う段階でご相談ください。



7. まとめ

  1. 当院の頭部MRIは、撮影時間が5〜10分、着替えや準備を含めた検査時間全体で15分程度です。
  2. 撮影中の音は、装置の中のコイルに電流を短い間隔で流すことでコイルが振動して生じる音です。撮影の種類が変われば音も変わります。
  3. 薬品のようなにおいのする部屋ではなく、室内の明るさも保たれています。暗い中で受ける検査ではありません。
  4. 室温だけは装置の管理のため低めです。毛布をご用意していますが、終わったあとに肌寒く感じることがあります。
  5. 検査中は隣室から常に様子を確認しています。検査前の金属の確認は、そのための大切な工程です。
  6. 頭部の撮影では、脳そのものだけでなく、目の奥・鼻・喉の奥・血管・頭の形も同じ画像の中に写ります。

検査そのものは、低めの室温の明るい部屋で、機械音を聞きながら10分ほど横になっている時間です。分からないままだと怖いものが、中身が分かると受けやすくなることは少なくありません。
音のこと、狭さのこと、付き添いのこと。どんな内容でも、検査を決める前の段階でご相談いただけます。



お問い合わせ・ご予約

頭痛やめまい、物忘れなどが続いていて脳の状態を確認しておきたい方、MRI検査について気になることがある方は、お気軽にご相談ください。ご予約は、下記から可能です。

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当院公式LINEにてご質問等もお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。

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重要:本記事の位置づけ(医療情報として)

  • 本記事は、研究報告や公的資料に基づく「一般的な医療情報」です。
  • 特定の治療や検査を推奨・保証するものではありません。検査で分かることや感じ方には個人差があります。
  • 検査室の環境・所要時間・進め方は当院の運用に基づく記載であり、施設や装置によって異なります。
  • 実際にどの検査を行うかは、症状・既往歴・体内金属の有無などを踏まえて医師が判断します。
この記事を書いた先生のプロフィール
いわた脳神経外科クリニック 院長 岩田 亮一
医師・医学博士/日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医/日本脳神経血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医/日本頭痛学会認定 頭痛専門医
(日本脳卒中学会・日本認知症学会 所属)

脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。
脳血管内治療(カテーテル治療)の専門医でもあり、くも膜下出血や脳動脈解離など「危険な頭痛」の鑑別・初期対応にも力を入れています。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

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参考文献

  1. 国立がん研究センター 2024, MRI検査とは, 国立がん研究センター, viewed 30 July 2026, <https://ganjoho.jp/public/dia_tre/inspection/mri.html>.
  2. Akbar, AF, Sayyid, ZN, Roberts, DC, Hua, J, Paez, A, Cao, D, Lauer, AM & Ward, BK 2023, ‘Acoustic Noise Levels in High-field Magnetic Resonance Imaging Scanners’, OTO Open, vol. 7, no. 3, e79, DOI 10.1002/oto2.79, viewed 30 July 2026, <https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10506133/>.
  3. Motovilova, E & Winkler, SA 2022, ‘Overview of Methods for Noise and Heat Reduction in MRI Gradient Coils’, Frontiers in Physics, vol. 10, 907619, DOI 10.3389/fphy.2022.907619, viewed 30 July 2026, <https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9733908/>.
  4. Prakkamakul, S, Witzel, T, Huang, S, Boulter, D, Borja, MJ, Schaefer, P, Rosen, B, Heberlein, K, Ratai, E, Gonzalez, G & Rapalino, O 2016, ‘Ultrafast Brain MRI: Clinical Deployment and Comparison to Conventional Brain MRI at 3T’, Journal of Neuroimaging, vol. 26, no. 5, pp. 503-510, DOI 10.1111/jon.12365, viewed 30 July 2026, <https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27273370/>.
  5. Ryu, KH, Baek, HJ, Skare, S, Moon, JI, Choi, BH, Park, SE, Ha, JY, Kim, TB, Hwang, MJ & Sprenger, T 2020, ‘Clinical Experience of 1-Minute Brain MRI Using a Multicontrast EPI Sequence in a Different Scan Environment’, AJNR: American Journal of Neuroradiology, vol. 41, no. 3, pp. 424-429, DOI 10.3174/ajnr.A6427, viewed 30 July 2026, <https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7077884/>.