大泉門のへこみ・ふくらみは大丈夫?正常範囲と受診の目安|赤ちゃんを抱く母親のイラスト

【結論】赤ちゃんの大泉門(だいせんもん)、まず押さえたい5つのこと

  1. 大泉門は頭頂部のやや前方にあるひし形のやわらかい部分で、産道を通りやすくし、急成長する脳のスペースを確保する大切な役割があります。
  2. 正常な大泉門は周囲の頭皮とほぼ同じ高さ〜ごくわずかにへこむくらい。心拍に合わせたかすかな拍動(ピクピク)や、泣いたときの一時的なふくらみは心配いりません
  3. 安静時にも常に強くふくらんで張っている場合、髄膜炎・水頭症・頭蓋内圧亢進などの可能性があり、発熱・嘔吐・けいれんを伴うときはすぐに受診してください。
  4. 深くへこむときは脱水のサインのことがあります。ぐったり・尿が出ない・強い脱水徴候があれば受診の目安です。
  5. 閉鎖はおおむね生後13〜24か月頃に進み、多くは2歳前後までに閉じますが、個人差がとても大きいものです。

※本記事は医療情報の提供であり、診断・治療の代替ではありません。掲載内容は一般的な医学情報に基づいていますが、お子さんの個別の状態は医師による診察が必要です。見え方や閉じる時期には個人差があり、最終的な判断は診察した医師によります。

生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこして、頭のてっぺんの少し前あたりに「ペコペコとやわらかい部分」があることに気づき、ドキッとされた保護者の方は多いのではないでしょうか。「ここを押したら脳に響くのでは」「シャンプーのときに触れて大丈夫?」「なんだかへこんでいる気がする」——夜中の授乳のあと、スマホで検索して不安になった経験がある方もいらっしゃると思います。

この「やわらかい部分」が大泉門(だいせんもん)です。実はこれは異常でも欠陥でもなく、赤ちゃんが元気に育つために必要だからこそ存在する仕組みなのです。とはいえ、大泉門の状態がときに体調のサインになることも事実です。だからこそ「どこまでが正常で、どこからが受診の目安なのか」を知っておくことが、いちばんの安心に繋がります。

大阪・堺市のいわた脳神経外科クリニックには、「頭の形」や「頭のやわらかい部分」について心配された保護者の方からのご相談が寄せられます。この記事では、脳神経外科の視点から、大泉門の「役割」「正常な状態」「へこみ・ふくらみのサイン」「閉じる時期」「日常のケア」までを、ひとつの記事でまとめて把握できるように整理しました。個別の疑問に特化した記事もありますが、「まず全体像を知ってから、気になる点を調べたい」という方は、ぜひこちらからご覧ください。読み終える頃には、過度に神経質にならずにお子さんを見守れるようになるはずです。

この記事でいちばんお伝えしたいこと

正常な大泉門は「平ら〜ごくわずかにへこむ」やわらかい状態で、拍動や泣いたときの一時的なふくらみは自然な反応です。心配なのは「安静時に強くふくらむ+発熱や嘔吐」「深くへこむ+ぐったり」といった、他の症状を伴うとき。単独のわずかな変化に一喜一憂するより、赤ちゃん全体の元気さ・機嫌・授乳・尿量とあわせて見ていきましょう。

この記事でできること・できないこと

できること:大泉門の正常な状態の目安を知り、「様子を見てよいサイン」と「受診を考えるサイン」を見分けるための知識を持つこと。

できないこと:この記事だけで診断することはできません。実際の触診や検査は医師の診察が必要です。気になるときは自己判断せず、医療機関にご相談ください。


目次


大阪で赤ちゃんの頭の形・頭のやわらかい部分の相談なら、いわた脳神経外科クリニックへどうぞ。



1. 大泉門とは:位置・形・小泉門との違い

赤ちゃんの頭蓋骨は、大人のように一枚につながっているわけではなく、いくつかの骨がパズルのように組み合わさってできています。その骨と骨のすき間のうち、いくつかが交わる部分にできるやわらかいすき間を「泉門(せんもん)」と呼びます。

大泉門は、前頭骨(おでこの骨)と左右の頭頂骨に囲まれたひし形(菱形)のすき間で、頭頂部のやや前方に位置します。骨がまだ完全につながっておらず、丈夫な膜と皮膚でおおわれた、やわらかい部分です。新生児期のサイズはおおよそ指2〜3本分(縦横2〜3cm程度)とされますが、大きさには個人差があり、報告では平均約2.1cm・幅0.6〜3.6cm程度とされています(Lipsett et al. 2023)。

図:泉門の位置(赤ちゃんの頭を上から見たところ)

前(おでこ側)後ろ(後頭部側)大泉門(ひし形)小泉門(三角形)

大泉門は頭頂部のやや前方にあるひし形、小泉門は後頭部にある小さな三角形です。(イメージ図であり、大きさや位置には個人差があります)


小泉門との違い

後頭部側には、より小さな小泉門(しょうせんもん)があります。三角形をしており、大泉門よりずっと早く、生後6〜8週間頃(2か月頃)までに閉じるとされています(Lipsett et al. 2023)。「後ろの小さいすき間はもう閉じたのに、前の大きいすき間はまだやわらかい」というのは、順序として自然なことなのです。

豆知識:触れても脳を傷つけることはありません

大泉門の表面はやわらかい膜でおおわれており、抱っこや洗髪など通常の触れ方で脳を傷つけることはありません。「触れてはいけない禁断の場所」ではなく、やさしく扱えば大丈夫、という理解で問題ありません。ただし強く押したり、とがったもので触れたりするのは避けましょう。



2. 大泉門の2つの役割

「そもそも、なぜこんなやわらかいすき間があるの?」——これには、赤ちゃんの成長にとって欠かせない2つの理由があります。


役割1:出産のとき、頭の形を変えて産道を通りやすくする

赤ちゃんが狭い産道を通るとき、頭蓋骨のすき間があることで、骨が少し重なり合って頭の形を一時的に細くすることができます(骨重積)。生まれたばかりの赤ちゃんの頭が少しとがって見えることがあるのは、このためです。多くは数日で自然に丸くなっていきます。


役割2:急成長する脳のスペースを確保する

赤ちゃんの脳は、生まれてからの1年でとても大きく育ちます。出生時に約350〜400gだった脳は、生後1年ほどで大きく重さを増すと報告されています(数値は資料により幅があります)。もし頭蓋骨がすき間なくカチッと固まっていたら、この急成長を妨げてしまいます。骨に柔軟なすき間があるからこそ、脳の成長にあわせて頭蓋骨が広がっていけるのです。大泉門は、赤ちゃんの成長を支える「のりしろ」のような存在だと考えると分かりやすいのではないでしょうか。



3. 正常な大泉門の状態(へこみ・ふくらみ・拍動)

「うちの子の大泉門、これって普通?」と迷ったときの、正常な状態の目安です。

これは正常です

  • 周囲の頭皮とほぼ同じ高さで平ら、またはごくわずかにへこんでいる。触れるとやわらかい。目安としては、そっと指の腹を当てたときに、周りの頭皮との段差がほとんど分からないくらいのわずかな凹凸であれば、正常範囲のことが多いとされています。はっきりと深いくぼみや、はっきりと盛り上がった張りは、次の章で説明するサインにあたることがあります。
  • 心拍に合わせてかすかにピクピクと拍動する。これは血液の流れによる自然な生理現象です(Lipsett et al. 2023)。
  • 泣いたり、いきんだり、うんちをふんばったときに一時的にふくらむ。これは頭の中の圧が一瞬だけ上がるためで、泣きやんで落ち着けば元に戻ります。

また、抱っこして縦にしたときと、寝かせたときとで、大泉門の見え方が少し変わることがあります。寝ているときにややふくらんで見え、縦抱きにすると落ち着く、というのは体位による自然な変化です。「泣いていない・寝かせていない・吐いていない安静時の状態」を基準に見るのがコツです。

図:「正常」「へこみ」「ふくらみ」の目安(横から見た断面のイメージ)

正常(平ら)心配いりませんへこみ(陥没)深いと脱水などに注意ふくらみ(膨隆)安静時に張るなら注意

泣いていない安静時に見るのがコツです。わずかな凹凸は正常範囲のことが多く、大切なのは「他の症状を伴うかどうか」です。(イメージ図)

見るときのコツ

大泉門をチェックするなら、赤ちゃんが泣いておらず、機嫌よく座っている(または縦抱きの)ときの安静時に見てください。泣いている最中のふくらみで判断すると、必要以上に不安になってしまいます。



4. へこみ(陥没)が示すこと — 脱水に注意

ごくわずかなへこみは正常範囲ですが、普段より明らかに深くへこんでいる場合、原因のひとつとして脱水(水分不足)が考えられます(Lipsett et al. 2023)。一般に、乳児の大泉門の陥没は脱水のサインとして報告されていますが、他の原因もあり得るため、気になるときは医師の診察が必要です。とくに、夏の暑い日や、下痢・嘔吐・発熱で水分が失われたあとに起こりやすくなります。

脱水を疑う随伴サイン(大泉門のへこみ以外にも)

  • ぐったりして元気がない、あやしても反応が鈍い
  • おしっこの量が少ない/回数が減る、おむつが長時間濡れない
  • 口の中や唇が乾いている
  • 泣いても涙が少ない
  • 皮膚の張り(ハリ)が低下している

なお、大泉門の「へこみ」の原因や、どこまでが正常範囲かについては、当院ブログでより詳しく解説した記事もあります。あわせてご覧いただくと理解が深まります(記事一覧の「大泉門」関連記事をご参照ください)。
下痢・嘔吐・発熱・哺乳量の低下が続いたあとにこうしたサインが重なるときは注意が必要です。軽度で全身状態がよければ、まずはこまめな水分・授乳で様子をみることが基本ですが、明らかに深くへこんでいてぐったりしている・尿が出ないような場合は、受診の目安となります(緊急の目安は第9章にまとめています)。


脱水が疑われるとき・大泉門のへこみが気になるときは、早めにご相談ください。大阪・堺市のいわた脳神経外科クリニックがお手伝いします。



5. ふくらみ(膨隆)が示すこと — 髄膜炎・水頭症など

泣いたときの一時的なふくらみは心配いりません。注意したいのは、泣いていない安静時にも、常に強くふくらんで張っている状態です。これは頭の中の圧が高まっている(頭蓋内圧亢進)可能性を示すことがあります。

背景として、髄膜炎・脳炎、水頭症、頭蓋内出血(硬膜下血腫など)といった状態が挙げられます(Lipsett et al. 2023; Kiesler & Ricer 2003)。いずれも「可能性」であり、ふくらみがあるからといって直ちにこれらの病気と決まるわけではありませんが、放置せず評価が必要なサインです。

特に急ぐべき組み合わせ

  • 膨隆+発熱 … 髄膜炎の可能性を考え、急いで受診してください。
  • 膨隆+嘔吐・けいれん・意識がおかしい・甲高い異常な泣き方 … 緊急です。
  • 頭囲が急に大きくなる+膨隆が続く … 水頭症などの評価対象となります。

頭囲(頭のまわりの大きさ)が急に増えてきたと感じる場合も、母子健康手帳の成長曲線とあわせて確認し、早めにご相談ください。頭の形や頭囲の変化については、赤ちゃんの頭のゆがみ・頭蓋骨縫合早期癒合症の記事もあわせてご覧いただくと理解が深まります。



6. 大泉門が閉じる時期と発達の目安

「いつになったら閉じるの?」「まだやわらかいけど遅くない?」というご質問はとても多いものです。

大泉門の閉鎖時期は個人差が大きく、報告では平均でおおむね生後13〜14か月頃、幅としては生後13〜24か月頃に閉じるとされています(Lipsett et al. 2023)。ある報告では、閉鎖の中央値は生後約13.8か月で、生後12か月時点で閉じているのは約38%、24か月までには約96%とされています(Kiesler & Ricer 2003)。ただし、こうした数値は研究によって測定方法や対象が異なる可能性があり、個人差も大きいため、目安として捉えてください。多くは2歳前後までに閉じると理解しておくとよいでしょう。時期が多少前後しても、それだけで異常とは限りません。

図:大泉門が閉じている割合の目安(月齢別)

100%50%0%約38%生後12か月約96%生後24か月

生後1歳の時点ではまだ開いているお子さんも多く、2歳頃までにほとんどが閉じていきます。数値は報告(Kiesler & Ricer 2003)による目安で、個人差が大きいものです。

閉鎖が極端に早い/遅いときに考えること

極端に早い場合:頭蓋骨のつなぎ目(縫合)が早く固まる頭蓋骨縫合早期癒合症などの評価対象となることがあります。

極端に遅い/大泉門が大きすぎる場合:くる病(ビタミンDなどが不足して骨がやわらかくなる状態)、先天性甲状腺機能低下症(生まれつき甲状腺ホルモンが足りない状態。クレチン症)、軟骨無形成症(骨の成長にかかわる生まれつきの体質)、水頭症(頭の中に髄液がたまる状態)などが鑑別(見分けるための候補)に挙がることがあります(Kiesler & Ricer 2003)。いずれも「可能性のひとつ」であり、大泉門だけで決まるものではなく、医師の診察や検査で確認します。

ただし大切なのは、大泉門だけを単独で見て焦らないことです。頭囲の伸び・全身の発達・体重の増え方とあわせて総合的に評価します。閉鎖時期そのものよりも、成長全体がすこやかに進んでいるかが重要です。気になる場合は、母子健康手帳を持って小児科や当院にご相談ください。頭蓋骨縫合早期癒合症について詳しくはこちらの記事で解説しています。



7. 日常のケアと観察のポイント

「やわらかい部分があると、毎日のお世話でどこまで気をつければいいの?」という不安に、具体的にお答えします。

日常のケア:ここを押さえれば大丈夫

  • 洗髪・シャンプーは普通に行ってOK。大泉門の部分は指の腹でやさしく洗い、ゴシゴシこすらないようにしましょう。
  • 強く押す・とがったもので触れることは避けましょう。
  • 市販の帽子や、転倒・ぶつかり防止用の一般的なベビー用保護ヘッドギア(市販の保護用品)の着用自体は通常問題ありません。ただし、きつく圧迫し続けないよう、サイズや装着時間に配慮しましょう。なお、頭の形を整える医療用の頭蓋形状矯正ヘルメットは、これらの市販品とは目的も医学的な位置づけも異なり、医師による適応の判断のうえで使用するものです。
  • 大泉門の付近に脂漏性湿疹・乳児湿疹ができることがありますが、これは皮膚の症状であって大泉門自体の異常ではありません。

観察のペースの目安(神経質にならなくて大丈夫です)

  • 新生児〜生後3か月頃:沐浴やお風呂のときに、1日1回そっと見てあげる程度で十分です。
  • 生後4〜6か月頃:お風呂やおむつ替えのついでに、週に数回ほど確かめるくらいで問題ありません。
  • それ以降:体調をくずしたとき(発熱・下痢・嘔吐など)や、いつもと様子が違うと感じたときに確認すれば十分です。

※あくまで目安です。頻繁に見すぎて不安になるより、体調の変化にあわせて確認するくらいがちょうどよいと考えられます。

観察のコツは、「毎日じっと見張る」ことではなく、お風呂やおむつ替えのついでに、ときどき状態を確かめるくらいで十分です。平らか・へこみやふくらみはないか・機嫌・授乳量・尿の量などを、いつもと違うと感じたときにメモしておくと、受診時に医師へ伝えやすくなります。

正しく状態を知っていれば、過度に神経質になる必要はありません。大泉門は、赤ちゃんの元気を映すバロメーターのひとつ。日々のお世話を楽しみながら、ときどき目を配る——それで十分です。



8. 向き癖と頭の形(関連トピック)

大泉門の相談とあわせて多いのが、「同じ方向ばかり向いていて、頭の形が左右非対称になってきた」というお悩みです。同じ向きで寝る時間が長いと、その部分に体重がかかり続けて頭の形に左右差が出ることがあります(向き癖による頭のゆがみ)。

おうちでできる工夫

  • 抱っこや寝かせる向きを、左右バランスよく変えてみる。
  • 起きていて見守れる時間に、うつぶせ遊び(タミータイム)を少しずつ取り入れる。
  • おもちゃや声かけの位置を工夫して、向きにくい側にも興味を向けてもらう。

睡眠は仰向けが基本です(SIDS予防)

睡眠時は仰向け寝が基本です。うつぶせ寝は乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクとの関連が指摘されているため避けてください。うつぶせ「遊び」は、赤ちゃんが起きていて、大人が見守っているときだけ行いましょう。

向き癖による頭のゆがみは、こうした工夫で軽減が期待できるケースもありますが、すべてが自然に整うとは限りません。改善が乏しい・左右差が強いと感じる場合は、頭のかたちの相談ができる医療機関へご相談ください。なお、市販のドーナツ枕などの寝具に「ゆがみが治る・予防できる」といった効果を期待される方もいますが、これらは医療機器ではなく、頭の形を矯正する医療的な効果を裏づける科学的根拠は限定的とされています。つまり、寝具だけで頭の形が整うことは多くはない、ということです。過度な期待は避け、気になる場合は医療機関にご相談ください。頭の形の治療(ヘルメット療法など)や頭蓋骨縫合早期癒合症については、こちらの記事で詳しく解説しています。



9. 受診の目安(緊急/早めの相談)

【緊急】すぐに受診/救急を検討してください

  • 大泉門が安静時にも強くふくらむ + 発熱・嘔吐・けいれん・意識がおかしい・甲高い異常な泣き方
  • 大泉門が深くへこむ + ぐったり・尿が出ない・強い脱水サイン

これらは髄膜炎・水頭症・頭蓋内出血・重度の脱水など、急を要する状態の可能性があります。ためらわず医療機関を受診してください。

【早めに相談】落ち着いて受診・相談を

  • へこみ/ふくらみが気になる状態が続く
  • 哺乳量が落ちている、頭囲の伸びが気になる
  • 大泉門の閉鎖が極端に早い/遅いと感じる
  • 頭の形の左右差が強い

判断に迷ったときの相談先

「今すぐ受診すべきか、朝まで待ってよいか」と夜間や休日に迷ったときは、小児科・小児救急電話相談「#8000」が利用できます。お住まいの都道府県の相談窓口につながり、看護師などが受診の必要性についてアドバイスしてくれます(受付時間は地域により異なります)。ためらわず、まず電話で相談するという選択肢を覚えておくと安心です。

判断に迷うときは、抱え込まずに相談してかまいません。「こんなことで相談していいのかな」と思う必要はありません。少しでも心配なことがあれば、早めにお声がけくださいね。


お子さんの頭について心配なことがあれば、ためらわずご相談ください。WEB予約のほか、LINEでもお問い合わせいただけます。



よくあるご質問(FAQ)

Q1. 大泉門はさわっても大丈夫ですか?押すと脳に影響しますか?

A. やさしく触れる分には問題ありません。表面は丈夫な膜でおおわれており、抱っこや洗髪など通常の触れ方で脳を傷つけることはありません。ただし、強く押したりとがったもので触れたりするのは避けてください。

Q2. 心拍に合わせてピクピク動くのは正常ですか?

A. 正常です。心臓の拍動にあわせた血液の流れによるかすかな拍動で、心配いりません。むしろ、やわらかく自然な状態のあらわれです。

Q3. へこみとふくらみ、どちらがより危険なサインですか?

A. どちらも「他の症状を伴うかどうか」が鍵です。深くへこむ+ぐったりは重い脱水、安静時に強くふくらむ+発熱・嘔吐は髄膜炎など、いずれも急を要することがあります。単独のわずかな変化より、全身状態とセットで見てください。

Q4. 泣くと大泉門がふくらむのは異常ですか?

A. 異常ではありません。泣いたりいきんだりすると頭の中の圧が一時的に上がり、大泉門が一瞬ふくらむことがあります。泣きやんで落ち着けば元に戻るなら心配いりません。安静時にも張っている場合が注意すべきサインです。

Q5. 大泉門はいつ閉じますか?閉じるのが早い/遅い場合は問題ですか?

A. 平均でおおむね生後13〜14か月頃、多くは2歳前後までに閉じますが、個人差が大きいものです。極端に早い場合は頭蓋骨縫合早期癒合症、極端に遅い/大きすぎる場合はくる病や甲状腺機能低下症などが鑑別に挙がることがあります。時期だけで焦らず、頭囲や全身の発達とあわせて評価します。

Q6. 大泉門と小泉門の違いは何ですか?

A. 大泉門は頭頂部やや前方のひし形の大きなすき間で、2歳前後までに閉じます。小泉門は後頭部にある小さな三角形のすき間で、生後2か月頃までに早く閉じます。「後ろが先に、前が後から閉じる」と覚えるとよいでしょう。

Q7. 洗髪やシャンプーのとき大泉門は避けるべきですか?

A. 避ける必要はありません。指の腹でやさしく洗ってあげれば大丈夫です。ゴシゴシ強くこすらないようにすると安心です。むしろ、清潔を保ってあげることのほうが大切だと考えられます。

Q8. 向き癖で頭の形がゆがんできました。どう対策すればいいですか?

A. 抱っこや寝かせる向きを左右バランスよく変える、見守りのもとでうつぶせ遊び(タミータイム)を取り入れる、などの工夫があります。睡眠はSIDS予防のため仰向けが基本です。工夫で軽減が期待できる場合もありますが、改善が乏しい・左右差が強いときは頭のかたちの相談ができる医療機関へご相談ください。

Q9. 2歳を過ぎても大泉門が閉じていないのですが大丈夫ですか?

A. 多くは2歳前後までに閉じますが、個人差があります。2歳を過ぎても開いている場合や大泉門が大きい場合は、くる病・甲状腺機能低下症・水頭症などがないかを確認するため、一度小児科や当院にご相談ください。頭囲や全身の発達とあわせて評価します。



まとめ

  1. 大泉門は頭頂部やや前方のひし形のやわらかいすき間で、産道通過を助け、急成長する脳のスペースを確保する大切な役割があります。
  2. 正常な状態は「平ら〜ごくわずかにへこむ」やわらかい状態。拍動や泣いたときの一時的なふくらみは自然な反応です。
  3. 深くへこむ+ぐったりは脱水、安静時に強くふくらむ+発熱・嘔吐は髄膜炎など、他の症状を伴うときが受診の目安です。
  4. 閉鎖はおおむね生後13〜24か月頃で、多くは2歳前後まで。時期には個人差が大きく、頭囲や全身の発達とあわせて見ます。
  5. 日常は「強く押さない・洗髪はやさしく」で十分。正しく知っていれば、過度に神経質になる必要はありません。

赤ちゃんのやわらかい頭は、元気に育っている証です。「これって大丈夫?」と迷ったとき、ひとりで抱え込まないでください。正しい知識を持って見守り、気になるサインがあれば早めに相談する——それが、お子さんにとってもご家族にとっても、いちばんの安心に繋がります。私たちは、その相談相手のひとりでありたいと思っています。



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重要:本記事の位置づけ 本記事は医療情報の提供を目的としたものであり、診断・治療の代替ではありません。大泉門の見え方・閉じる時期・症状のあらわれ方には個人差があります。掲載内容は執筆時点での一般的な医学情報に基づいていますが、研究や見解には限界があり、すべてのお子さんに当てはまるものではありません。気になる症状がある場合や判断に迷う場合は、自己判断せず、小児科・脳神経外科などの医療機関を受診し、診察した医師の判断に従ってください。


この記事を書いた先生のプロフィール
いわた脳神経外科クリニック 院長 岩田 亮一
医師・医学博士/脳神経外科専門医脳血管内治療専門医
(日本認知症学会・日本頭痛学会・日本脳卒中学会 所属)

脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。
脳血管内治療(カテーテル治療)の専門医でもあり、くも膜下出血や脳動脈解離など「危険な頭痛」の鑑別・初期対応にも力を入れています。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

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参考文献

  1. Kiesler, J & Ricer, R 2003, ‘The abnormal fontanel’, American Family Physician, vol. 67, no. 12, pp. 2547-2552, viewed 6 July 2026, <https://www.aafp.org/pubs/afp/issues/2003/0615/p2547.html>.
  2. Lipsett, BJ, Reddy, V & Steanson, K 2023, ‘Anatomy, head and neck, fontanelles’, in StatPearls, StatPearls Publishing, Treasure Island, FL, viewed 6 July 2026, <https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK542197/>.