
この記事で分かること
- しびれの診断は、症状・診察所見・画像の3つが一致してはじめて決まります。画像だけでは決まりません
- レントゲンで骨の変化に当たりをつけ、その部位をMRIで見る、という順番があります
- 画像に写らないしびれもあります。その場合は別の検査が必要になります
先にお伝えします。次のしびれは、この記事を読み進めるより先に救急へご相談ください。
- 突然しびれが出た(何時何分からと言える)
- 体の片側だけにしびれが出た
- しびれと一緒に、力が入らない・ろれつが回らない・顔がゆがむ
当てはまる場合は119番へ。迷うときは救急安心センター(#7119)へご相談ください。
手足のしびれが数週間続いていて、「一度ちゃんと調べたほうがいいのだろうか」と考えながら、この記事にたどり着いた方が多いのではないかと思います。
そのとき頭に浮かぶのは、たいてい「MRIを撮れば分かるのだろうか」「MRIのある病院に行けばいいのだろうか」という疑問です。実際、しびれについて調べると「MRIが重要です」と書かれた記事がたくさん出てきます。
ただ、診療ガイドラインを読むと、少し違うことが書かれています。しびれの診断は、画像だけでは決まりません。症状と、診察でわかる所見と、画像の3つがそろって一致したときに、はじめて診断がつく、という考え方です。
この記事では、しびれで受診したときに何を聞かれ、何を調べ、それぞれの検査で何が分かって何が分からないのかを、順番にそって整理します。
本記事は、公的なガイドラインや研究報告にもとづく一般的な医療情報です。診断・治療は症状や経過をふまえて医師が判断します。しびれの原因は多岐にわたり、必要な検査も一人ひとり異なります。
目次
しびれが続いていて気になる方は、お気軽にご相談ください。
はじめて受診される方
1. 「MRIを撮れば分かる」とは限らない
まず、しびれの代表的な原因のひとつである頚椎症性脊髄症(けいついしょうせいせきずいしょう)を例にします。首の骨の変化によって脊髄が圧迫され、手足のしびれや動かしにくさが出る病気です。
この病気の診療ガイドラインを解説した文献には、診断についてこう書かれています。「症状,その裏付けとなる神経学的所見,画像上の圧迫所見が一致したときに頚椎症性脊髄症と診断される」(渡辺 2021)。
読みかえると、こういうことです。
診断に必要な3つ
- 症状:ご本人が感じていること。どこが、いつから、どんなふうに
- 神経学的所見:診察でわかること。反射の出かた、力の入りかた、感覚の落ちかた
- 画像所見:レントゲンやMRIに写っていること
この3つが同じ場所を指していることを確認して、はじめて診断になります。
もうひとつ、足のしびれの代表である腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)の診療ガイドラインは、さらに踏み込んだ書き方をしています。
診療ガイドラインの記述(腰部脊柱管狭窄症)
「腰部脊柱管狭窄の画像診断には非侵襲的なMRIが最適である。しかし、MRIを含む各種画像所見は必ずしも症候性を意味しない。よって、腰部脊柱管狭窄症の診断には症候学を最も優先すべきであり、各種検査はあくまで補助診断に過ぎないことを十分認識する必要がある」(日本整形外科学会・日本脊椎脊髄病学会 2021)
「症候性を意味しない」というのは、画像に写っている狭まりが、いま出ている症状を起こしているとは限らないという意味です。MRIが最適な検査であると認めたうえで、それでも検査は補助であり、症状のほうを最優先すべきだと明記しています。
「写っているもの」が原因とは限らない
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
年齢を重ねると、首や腰の骨にはある程度の変化が出てきます。MRIを撮れば、多くの方で何かしらの所見が見つかります。しかしそこに写っている変化が、いま困っているしびれの原因かどうかは別の話です。
たとえば、左手がしびれているのに、画像で見つかった圧迫が右足につながる高さにあるなら、その圧迫はいまのしびれの説明になりません。だから医師は、画像を見る前に「どこがしびれるのか」「どんな動作で困っているのか」を細かく聞き、診察で確かめます。画像は、そこで立てた見当を確認するための道具という位置づけです。
逆もあります。画像で大きな異常が見つからなくても、しびれが続くことはあります。これについては4章で扱います。
2. 検査の前に、問診と診察で絞る
実際の診察では、次のようなことをお聞きします。ご自身で思い出しておいていただくと、話が早く進みます。
受診前に思い出しておきたいこと
- どこが:手だけか、足もか。片側だけか、両側か。指のどこか
- いつから:突然か、だんだんか。何週間・何か月続いているか
- どんなときに:朝か夜か。歩いているときか、座っているときか
- 変化:強くなっているか、範囲が広がっているか
- 困っていること:日常のどの動作がしにくくなったか
「日常の困りごと」が手がかりになる
最後の「困っていること」は、ご本人が軽く考えていることが多いのですが、診断ではとても重要な手がかりになります。
頚椎症性脊髄症の診断アルゴリズムには、しびれ感と並んで、次のような症状が挙げられています(渡辺 2021)。
| 分類 | 具体的な困りごと |
|---|---|
| 手指の動かしにくさ | 箸が使いにくい、ボタンがかけにくい |
| 歩きにくさ | 小走りができない、階段を降りるのがこわい |
| お手洗いの変化 | 近くなった、間に合わないことがある |
「歳のせいだと思っていた」とおっしゃる方がとても多い項目です。しびれとは別のこととして受け止めていると、医師に伝わらないまま終わってしまいます。当てはまるものがあれば、ぜひ診察でお話しください。
なお、腰部脊柱管狭窄症の診断基準には、「殿部から下肢の症状は、立位や歩行の持続によって出現あるいは増悪し、前屈や座位保持で軽減する」という項目があります(日本整形外科学会・日本脊椎脊髄病学会 2021)。「スーパーのカートを押していると歩ける」「自転車なら平気」という言い方で気づかれることもあります。
同じ診断基準には「腰痛の有無は問わない」とも書かれています。腰が痛くないからといって、腰が原因ではないとは限らないということです。
診察でわかること
問診のあと、診察で神経の状態を確かめます。腱をたたいたときの反射の出かた、手足の力の入りかた、感覚の落ちている範囲などを調べます。
首の脊髄が傷んでいるときに出やすい所見のひとつに、小指や薬指が自然に開いてしまい、素早く握ったり開いたりができなくなる、という変化があります(渡辺 2021)。こうした所見は、ご自身では気づきにくく、診察ではじめて分かることがあります。
3. 画像で分かること・分からないこと
問診と診察で見当をつけたあと、画像検査に進みます。ここで大切なのが順番です。
頚椎症性脊髄症の診断アルゴリズムでは、まず単純X線(レントゲン)で椎間の狭まり、椎体後方の骨棘(こつきょく=骨のとげ)、生まれつきの脊柱管の狭さを確認します。そしてそのレントゲンで変化がみられた部位について、MRIで脊髄の圧迫や扁平化、脊髄の中の信号変化を見る、という流れになっています(渡辺 2021)。
レントゲンとMRIは、どちらが上という関係ではなく、役割が違います。
| 検査 | 分かること |
|---|---|
| レントゲン | 骨のかたち。椎間の狭まり、骨のとげ、背骨の並び、脊柱管のもともとの広さ。首を前後に曲げた状態での動きも見られます |
| MRI | 神経そのもの。脊髄が押されていないか、つぶれていないか、脊髄の中に傷んだ部分がないか。椎間板やじん帯も写ります |
| どちらでも 分からないこと |
神経の「働き」。形は保たれていても機能が落ちている状態や、手首・ひじなど末梢での神経の傷み、糖尿病など全身の原因 |
MRIだけでなくレントゲンも撮る理由
「MRIのほうが精密なのだから、MRIだけでいいのでは」と思われるかもしれません。
ただ、MRIは範囲を決めて撮る検査です。首を撮るのか腰を撮るのか、どの高さを重点的に見るのか。背骨全体の並びや、首を動かしたときの不安定さは、レントゲンのほうが分かりやすい情報です。両方そろってはじめて、骨の変化と神経の状態を突き合わせられます。
「順番」は撮影の順番ではありません
ガイドラインの診断アルゴリズムは「レントゲンで変化がみられた部位を、MRIで確認する」という筋道になっています。ただしこれは医師が画像を読むときの考え方の順番であって、撮影を日を分けて行うという意味ではありません。実際の診療では、必要と判断した時点でレントゲンとMRIをまとめてお願いし、両方そろってから結果をご説明することが多くなります。
しびれの原因を調べたい方は、こちらからご予約いただけます。
はじめて受診される方
4. 画像に写らないしびれもある
首や腰のMRIを撮っても、しびれを説明できる所見が見つからないことがあります。これは検査が無駄だったという意味ではなく、原因が別のところにあるというサインです。
手首で神経が圧迫されているとき
手のしびれで多いのが、手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)です。手首にあるトンネルの中で、正中神経という神経が圧迫されて起こります。
日本整形外科学会の解説によると、しびれる範囲は「母指(親指)から環指の母指側の3本半の指」で、急性期には「しびれ、痛みは明け方に強く、目を覚ますと手がしびれ、痛みます」とされています。進行すると「母指の付け根(母指球)がやせて母指と示指できれいな丸(OKサイン)ができなくなります」(日本整形外科学会 n.d.)。
首が原因のときとの違い
手根管症候群は小指がしびれにくいのが特徴です。「小指だけは平気」「夜中や明け方に目が覚めるほどしびれる」「手を振るとましになる」という場合は、首ではなく手首が原因のことがあります。ただし両方が重なっていることもあるため、自己判断はなさらないでください。
この病気の診断では、手首をたたいたり曲げたりして症状を誘発するテストを行い、確かめるために神経伝導検査(電気を用いた筋電図検査)を行います。手根管をはさんだところで、正中神経を信号がどのくらいの速さで伝わっているかを測る検査です(日本整形外科学会 n.d.)。
当院では神経伝導検査(筋電図)は行っておりません。診察の結果、この検査が必要と判断した場合には、検査を行っている医療機関へご紹介します。できることとできないことを先にお伝えしておきます。
全身の状態が関係しているとき
しびれは、首や手首といった「どこか1か所の圧迫」以外の原因でも起こります。代表的なのが糖尿病で、手足の先から左右対称にしびれが出てくるのが特徴です。ビタミンの不足や甲状腺の働きの低下が関係することもあります。
こうした原因は画像には写らないため、血液検査で調べます。「左右両方の足先が、靴下をはいているような感じでしびれる」という訴え方をされる場合は、このタイプを考えます。
脳が原因のとき
手足のしびれが脳の病気で起こることもあります。この場合に大切なのは、冒頭にも書いたとおり「突然かどうか」「片側だけかどうか」です。何時何分からと言えるような始まり方で、体の片側にしびれや力の入りにくさが出たときは、様子を見ずに救急へご相談ください。
顔のしびれや麻痺については顔面に麻痺やしびれがある時は何科にかかるのが正解?考えられる原因も解説で、肩こりとの関係については肩こりが続くのは脳梗塞の前兆かも?見逃してはいけない症状を医師が徹底解説で、それぞれ詳しく解説しています。
5. 当院での検査の流れ
当院では、ここまでご説明した順序にそって検査を進めます。
受診当日の流れ
- 1. 問診:どこが、いつから、どんなときに。日常の困りごとまでお聞きします
- 2. 神経学的診察:反射、力の入りかた、感覚を調べ、どのあたりが原因かの見当をつけます
- 3. 画像検査:必要と判断した場合、レントゲンとMRIをまとめてお願いします
- 4. 結果説明:両方の画像がそろってから、診察所見と突き合わせてご説明します
当院はMRIを院内に備えているため、レントゲンとMRIを同じ日に、同じ場所で受けていただけます。画像検査のたびに別の日に来ていただく必要がなく、結果のご説明まで当日のうちに進められることが多くなります。
MRI検査そのものについては即日MRI検査のご案内をご覧ください。
脊椎・しびれ外来について
当院には脊椎・しびれ外来があります。担当は大重英行医師で、日本脊椎脊髄外科学会認定 脊椎脊髄外科専門医です。診療は木曜13:00〜19:00に行っています。
頚椎症性脊髄症、腰部脊柱管狭窄症、頚椎・腰椎の椎間板ヘルニアなど、背骨と神経にかかわる症状を扱っています。「整形外科に行くべきか、脳神経外科に行くべきか分からない」という段階でも構いません。しびれの原因が背骨にあるのか、脳にあるのか、あるいは別のところにあるのかを一度に見立てられるのが、脳神経外科で診る利点です。
当院は月曜から木曜は9:00〜19:00まで、昼休みを挟まない通し診療です(金曜・土曜は午前のみ)。お仕事帰りや、日中の用事の合間にも受診いただけます。京阪「野江」駅から徒歩4分、大阪市城東区にあります。
繰り返しになりますが、突然始まったしびれ、体の片側だけのしびれ、力が入らない・ろれつが回らないを伴うしびれは、診療時間をお待ちにならず119番へご連絡ください。判断に迷うときは救急安心センター(#7119)へご相談いただけます。
6. よくある質問
Q. 整形外科と脳神経外科、どちらを受診すればよいですか
どちらでも構いません。背骨が原因のしびれは、整形外科でも脳神経外科でも扱います。迷われる場合、脳が原因の可能性も含めて一度に見立てたいときは脳神経外科が選択肢になります。当院の脊椎・しびれ外来は脊椎脊髄外科専門医が担当しています。すでに整形外科に通院中で、検査の結果や治療方針について別の意見を聞きたいという場合もご相談ください。
Q. MRIはその日に撮れますか
当院はMRIを院内に備えており、診察の結果必要と判断した場合、レントゲンとあわせてその日のうちに撮影し、結果までご説明できる体制をとっています。ただし当日の混雑状況によっては、お待ちいただく場合や、別の日にご案内する場合があります。心臓ペースメーカーなど体内に金属が入っている方は、撮影できないことがあります。受付でお知らせください。
Q. 「異常なし」と言われましたが、しびれは続いています
画像で異常が見つからないことは、珍しいことではありません。手首での神経の圧迫や、糖尿病など全身の状態が関係している場合、首や腰のMRIには写らないためです。また、画像に変化があっても症状と合わなければ、それを原因とは考えません。しびれが続くときは、別の原因を想定した検査を検討しますので、あらためてご相談ください。
Q. しびれが出てから、どのくらいで受診すればよいですか
突然のしびれや片側だけのしびれは、その場で救急へご相談ください。それ以外の、だんだん出てきたしびれについては、数週間続いている、範囲が広がってきた、箸やボタンがやりにくくなった、歩きにくくなった、といった変化があれば受診をおすすめします。期間だけで線を引くのは難しく、大切なのは「以前と比べてどう変わったか」です。
7. まとめ
- しびれの診断は、症状・診察でわかる所見・画像の3つが一致してはじめて決まります。画像だけでは決まりません
- レントゲンは骨のかたち、MRIは神経そのものを見ます。役割が違うため、両方をあわせて判断します
- 箸が使いにくい、ボタンがかけにくい、階段を降りるのがこわい、といった日常の困りごとは、診断の重要な手がかりです。「歳のせい」と思わず医師にお伝えください
- 画像に写らないしびれもあります。手首での圧迫や全身の状態が原因のことがあり、その場合は別の検査が必要です
- 突然始まった、片側だけ、力が入らないを伴うしびれは、様子を見ずに救急へご相談ください
「この程度で受診していいのだろうか」とためらっているうちに、数か月が過ぎてしまう方が少なくありません。しびれは、原因が分かれば対応を考えられる症状です。気になっている段階で、一度ご相談ください。
お問い合わせ・ご予約
いわた脳神経外科クリニックは、大阪市城東区・京阪「野江」駅から徒歩4分にあります。月曜から木曜は9:00〜19:00の通し診療です。ご予約は下記から可能です。
はじめて受診される方
当院に通院中の方(頭痛再診)
当院公式LINEにてご質問等もお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。
関連記事
重要:本記事の位置づけ(医療情報として)
- 本記事は、公的資料や研究報告に基づく「一般的な医療情報」です。
- 特定の治療を推奨・保証するものではありません。症状の感じ方や経過には個人差があります。
- 実際の診断・治療は、症状・既往歴などを踏まえて医師が判断します。気になる症状があるときは受診してください。
参考文献
- 日本整形外科学会・日本脊椎脊髄病学会 2020, 頚椎症性脊髄症診療ガイドライン2020 改訂第3版, 南江堂, 東京.
- 日本整形外科学会・日本脊椎脊髄病学会 2021, 腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021 改訂第2版, 南江堂, 東京, viewed 5 October 2026, <https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00646.pdf>.
- 日本整形外科学会 n.d., 「手根管症候群」, 症状・病気をしらべる, viewed 5 October 2026, <https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/carpal_tunnel_syndrome.html>.
- 渡辺雅彦 2021, 「頚椎症性脊髄症診療ガイドライン2020改訂第3版」, 日本内科学会雑誌, vol. 110, no. 11, pp. 2407-2412, viewed 5 October 2026, <https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/110/11/110_2407/_pdf>.






















