更年期と頭痛|片頭痛が悪化する理由と閉経後の経過

この記事で分かること

  • 更年期(周閉経期)はエストロゲンが不規則に増減するため、片頭痛が悪化しやすい時期と考えられています
  • 一方で、自然な閉経を迎えたあとは片頭痛が軽くなる方も多いことが報告されています
  • ホルモン補充療法(HRT)と頭痛の関係、緊張型頭痛など他の要因との整理、受診の目安をお伝えします

「40代の後半に入ってから、これまでとは頭痛の出方が変わってきた」「生理が不順になってきたころから、片頭痛がひどくなった気がする」。そんな変化に、とまどっていらっしゃる方は少なくありません。年齢のせいだから仕方ない、とご自身に言い聞かせて我慢を重ねている方もいらっしゃいます。

その頭痛の変化には、更年期の女性ホルモンのゆらぎが深く関わっていると考えられています。しくみを知っておくと、「今がどういう時期なのか」「この先どうなっていくのか」の見通しが立ち、対策も立てやすくなります。

この記事では、更年期に片頭痛が悪化しやすい理由と、閉経後にはむしろ軽くなる方が多いこと、そしてホルモン補充療法(HRT)と頭痛の関係を、中立の立場で整理してお伝えします。

本記事は、公的なガイドラインや研究報告にもとづく一般的な医療情報です。診断・治療は症状や経過をふまえて医師が判断します。頭痛の変化でお困りのときは、どうぞ一人で抱え込まずにご相談ください。


目次



大阪で更年期の頭痛の変化にお悩みの方は、いわた脳神経外科クリニックの頭痛外来へお気軽にご相談ください。

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1. 更年期に頭痛が変わる理由

更年期とは、閉経の前後およそ数年間(周閉経期)を指します。この時期、女性ホルモンの一種であるエストロゲンは全体として減っていきますが、その減り方は一直線ではありません。増えたり減ったりを不規則にくり返しながら、大きくゆらいで低下していくのが特徴です。

片頭痛は、このエストロゲンの「急な低下(エストロゲン離脱)」が引き金のひとつになると考えられています。月経のたびに起こる離脱に加えて、周閉経期はホルモンのゆらぎが大きく、いつ落ち込むかも予測しにくくなります。そのため、この時期は片頭痛が悪化しやすいと報告されています(MacGregor 2020)。日本頭痛学会(2021)も、月経に関連する片頭痛をホルモンの変動と結びつけて解説しています。

周閉経期に片頭痛の頻度や重さが増しやすいのは、この不規則なエストロゲンの変動が背景にあると整理されています(Ornello et al. 2021)。つまり、更年期の頭痛の変化は「気のせい」でも「気持ちの問題」でもなく、体のなかで起きているホルモンの動きに理由があるのです。



2. 悪化する人と軽くなる人

「更年期になると頭痛はずっとひどくなる一方なの?」と不安に感じる方もいらっしゃると思います。ここは、ぜひ知っておいていただきたいところです。更年期の頭痛は、時期によって悪くなる方向にも、楽になる方向にも動きます。

※スマホでは横スクロールできます

時期・きっかけ 片頭痛の傾向
周閉経期(閉経前の数年) エストロゲンのゆらぎが大きく、片頭痛は悪化しやすい
自然に閉経を迎えたあと ホルモンが低いまま安定し、軽くなる方が多いと報告されている
手術による閉経(卵巣の摘出など) エストロゲンが急に低下するため、悪化しやすいと報告されている

閉経のタイプ別に、片頭痛がその後どう変化したかを調べた調査があります(Neri et al. 1993)。自然な閉経では改善する方が多く、手術による閉経では悪化する方が多い、という結果でした。

※スマホでは横スクロールできます

閉経のタイプと片頭痛の変化 割合(バーの長さ) 割合
自然閉経後に改善(33人中22人)
約67%
自然閉経後に悪化(33人中3人)
約9%
手術による閉経後に改善(6人中2人)
約33%
手術による閉経後に悪化(6人中4人)
約67%

※少人数の調査による割合です(Neri et al. 1993)。より大きな集団を対象とした研究では、自然閉経後の改善は5〜6割との報告もあります(Ornello et al. 2021)。青=改善/赤=悪化。


閉経後に軽くなる方が多い

閉経を自然に迎え、エストロゲンが低いところで安定してくると、片頭痛は軽くなる方が多いことが報告されています(Ornello et al. 2021)。ゆらぎが落ち着くことで、離脱による発作の引き金が減っていくためと考えられています。周閉経期のつらさが一生続くわけではない、というのは、心にとめておいていただきたい点です。


急な低下は悪化のきっかけに

いっぽうで、子宮や卵巣の病気などで両側の卵巣を摘出した場合のように、エストロゲンが急に低下する「手術による閉経」では、片頭痛が悪化しやすいと報告されています(Ornello et al. 2021)。ホルモンの落差が大きいほど、片頭痛には響きやすいと考えられています。同じ「閉経」でも、ゆるやかに迎えるか急に迎えるかで経過が変わりうる、ということです。


「この頭痛はこの先どうなるの?」と気になるときは、頭痛外来でご相談いただけます。

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3. 更年期の頭痛は片頭痛だけ?

更年期に起こる頭痛が、すべて片頭痛とは限りません。この時期は、緊張型頭痛が増える方も多くいらっしゃいます。肩こり・首こり、ストレス、睡眠不足などが重なって、頭全体が締めつけられるように痛むのが特徴です。ほてりや寝つきの悪さ、気分の落ち込みといった更年期の症状が重なり、それが頭痛に影響することもあります。

大まかな見分け方として、ズキンズキンと脈打つように痛み、動くと悪化して光や音がつらい、寝込んでしまう——こうしたときは片頭痛が疑われます。いっぽう、後頭部から首すじにかけて、締めつけられるようにじわじわ痛むときは緊張型頭痛が疑われます。両方が混ざっている方も少なくありません。どのタイプかによって対策が変わるため、頭痛が起こった日付や状況を数か月記録しておくと、診察のときに役立ちます。

ただし、これまでに経験したことのない突然の激しい頭痛、手足のまひ、ろれつが回らないといった症状は、更年期とは関係のない別の病気のサインのことがあります。こうしたときは、ためらわず119番を呼んでください。呼ぶかどうか迷うときは、救急安心センター(#7119)に相談できます。



4. ホルモン補充療法と頭痛

更年期のほてりや発汗などの症状に対して、ホルモン補充療法(HRT)が使われることがあります。「HRTを始めると頭痛は良くなるの、それとも悪くなるの?」と気にされる方も多いのですが、その関係は一方向ではなく、中立にとらえておくことが大切です。

集団を対象とした研究では、HRTによって片頭痛が悪化する場合があることも報告されています(Ornello et al. 2021)。いっぽうで、エストロゲンを安定して補うことで、離脱による頭痛が和らぐ可能性も指摘されています(MacGregor 2020)。どちらに転ぶかには個人差があります。

悪化を避ける工夫として、ホルモンを間欠的にではなく持続的に補うこと、また飲み薬よりも皮膚から吸収させる経皮タイプ(貼り薬・ジェルなど)でホルモンをより安定させる方法が挙げられています(Ornello et al. 2021)。どの方法が向いているかは、症状や体質、ほかの持病との兼ね合いによって変わります。

なお、前兆(視野にギザギザした光が見える閃輝暗点など)のある片頭痛の方は、エストロゲンの使い方について、脳梗塞などのリスクという観点から慎重な判断が必要です。HRTは自己判断で始めず、婦人科と連携しながら進めます。ホルモンと片頭痛・脳梗塞リスクの関係は「ピルと片頭痛・脳梗塞リスク」でもくわしく解説しています。


HRTと頭痛の兼ね合いが気になるときは、頭痛外来でご相談いただけます。

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5. 受診の目安と関連テーマ

更年期の頭痛は、しくみに合わせて備えることで、楽になる余地が大きい頭痛です。次のようなときは、我慢を続けるより頭痛外来でご相談いただくことをおすすめします。

こんなとき おすすめの対応
生理が不順になったころから頭痛が重くなった 頭痛外来で治療・予防を相談する
市販薬が効きにくい・使う量が増えている 薬の見直しのため一度受診する
HRTを始めたい、または始めてから頭痛が変わった 頭痛と婦人科の両面から相談する

頭痛は、月経・妊娠・更年期といったライフステージのなかで、女性ホルモンの動きに合わせて姿を変えていきます。月経のたびの頭痛については「生理中のこめかみの頭痛」を、妊娠中に使える頭痛薬については「妊娠中の頭痛とカロナール」を、あわせてご覧ください。



6. よくある質問

Q. 更年期になって頭痛がひどくなりました。片頭痛でしょうか?

周閉経期はエストロゲンが不規則にゆらぐため、もともとの片頭痛が悪化しやすい時期と考えられています。ただし、この時期は締めつけるように痛む緊張型頭痛が増える方も多く、両方が混ざることもあります。痛み方や起こる状況を数か月記録し、頭痛外来でご相談いただくと、タイプに合った対応を考えやすくなります。

Q. 閉経したら頭痛は治まりますか?

自然に閉経を迎え、エストロゲンが低いところで安定してくると、片頭痛は軽くなる方が多いことが報告されています。ただし経過には個人差があり、閉経前後の数年はむしろ悪化しやすい時期です。つらい時期を乗り切るために、我慢を続けず対策を相談していただくと安心です。

Q. ホルモン補充療法(HRT)を始めると頭痛は悪化しますか?

HRTで片頭痛が悪化する場合があるという報告がある一方、エストロゲンを安定して補うことで頭痛が和らぐ可能性も指摘されており、影響には個人差があります。悪化を避けるために、飲み薬より経皮タイプで持続的に補う方法が挙げられています。前兆のある片頭痛の方は慎重な判断が必要なため、自己判断せず、頭痛と婦人科の両面からご相談ください。

Q. 更年期の頭痛は何科を受診すればよいですか?

頭痛そのものの診断や治療・予防は、頭痛外来(脳神経外科・脳神経内科)でご相談いただけます。ほてりなどの更年期症状やHRTが関わる場合は、婦人科と連携して進めることもあります。突然の激しい頭痛やまひなどがあるときは、受診より先に119番を呼んでください。



7. まとめ

  1. 更年期(周閉経期)はエストロゲンが不規則にゆらぐため、片頭痛が悪化しやすい時期と考えられています。
  2. 自然に閉経を迎えたあとは、ホルモンが低く安定し、片頭痛が軽くなる方が多いと報告されています。手術による急な低下では悪化しやすいとされています。
  3. 更年期の頭痛は片頭痛だけでなく緊張型頭痛のこともあり、痛み方の記録が対策に役立ちます。
  4. HRTと頭痛の関係は一方向ではなく、経皮・持続の工夫があります。前兆のある片頭痛の方は慎重な判断が必要で、婦人科と連携して進めます。

更年期の頭痛は、「年齢のせい」とあきらめる必要はありません。今がどういう時期かを知り、しくみに合わせて備えることで、楽になる余地は十分にあります。頭痛の変化でお困りのときは、どうぞお気軽にご相談ください。



お問い合わせ・ご予約

大阪で更年期の頭痛、くり返す片頭痛が気になる方は、いわた脳神経外科クリニックへお気軽にご相談ください。ご予約は、下記から可能です。

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重要:本記事の位置づけ(医療情報として)

  • 本記事は、公的資料や研究報告に基づく「一般的な医療情報」です。
  • 特定の治療を推奨・保証するものではありません。症状の感じ方や経過には個人差があります。
  • 実際の診断・治療は、症状・既往歴などを踏まえて医師が判断します。気になる症状があるときは受診してください。
この記事を書いた先生のプロフィール
いわた脳神経外科クリニック 院長 岩田 亮一
医師・医学博士/脳神経外科専門医脳血管内治療専門医
(日本認知症学会・日本頭痛学会・日本脳卒中学会 所属)

脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。
脳血管内治療(カテーテル治療)の専門医でもあり、くも膜下出血や脳動脈解離など「危険な頭痛」の鑑別・初期対応にも力を入れています。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

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参考文献

  1. 日本頭痛学会 2021, 頭痛の診療ガイドライン2021, 日本頭痛学会, viewed 30 July 2026, <https://www.jhsnet.net/pdf/guideline_2021.pdf>.
  2. MacGregor, EA 2020, ‘Menstrual and perimenopausal migraine: a narrative review’, Maturitas, vol. 142, pp. 24-30, DOI 10.1016/j.maturitas.2020.07.005, viewed 30 July 2026, <https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33158484/>.
  3. Neri, I, Granella, F, Nappi, R, Manzoni, GC, Facchinetti, F & Genazzani, AR 1993, ‘Characteristics of headache at menopause: a clinico-epidemiologic study’, Maturitas, vol. 17, no. 1, pp. 31-37, viewed 30 July 2026, <https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8412841/>.
  4. Ornello, R, De Matteis, E, Di Felice, C, Caponnetto, V, Pistoia, F & Sacco, S 2021, ‘Acute and preventive management of migraine during menstruation and menopause’, Journal of Clinical Medicine, vol. 10, no. 11, 2263, DOI 10.3390/jcm10112263, viewed 30 July 2026, <https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8197159/>.