いわた脳神経外科クリニックの理念

この記事で分かること

  • 当院が掲げる基本理念「医療を通じて、関わるすべての人の人生を豊かにする」の意味
  • 「脳と人生を、守り、彩る」という使命を、診察室でどう形にしているか
  • 当院が大切にしている3つの指針(進化・信頼・メタ認知と成長)
  • 600年前の能の言葉「離見の見」を、当院が核心に置いている理由
  • 医師や看護師が、診察のたびに自らに問いかけている5つのこと

「検査では特に異常ありませんね」。そう言われて診察室を出たあと、痛みやつらさはそのままなのに、次にどこへ相談すればいいのか分からなくなった。そんな経験をお持ちの方は、少なくないと思います。

クリニックを選ぶとき、多くの方が気にされるのは「何ができるか」だと思います。どんな検査ができて、どんな治療が受けられるのか。もちろん、それは大切なことです。

ただ、実際に診察室に入ったとき、そこで何が起きるかを決めているのは、設備や資格そのものではありません。その医療機関が何を大切にしているかです。同じ検査をしても、結果をどう伝えるか、症状にどこまで向き合うかは、その考え方によって変わってきます。

このページでは、いわた脳神経外科クリニックが掲げている理念と、それが日々の診療にどう現れているかをご説明します。少し長くなりますが、当院を受診しようか迷っておられる方が「ここはどういう考えで診てくれるのか」を知る手がかりになれば幸いです。

理念は、額に飾っておく言葉ではありません。教科書に答えのない場面で、どちらを選ぶかを決める基準です。当院にとってそれは「これは関わる人の人生を豊かにしているか」という問いにあたります。


目次



気になる症状について、まずはご相談ください。ご予約は下記から承っております。

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1. 医療は目的ではなく手段

当院の基本理念は、次の一文です。

医療を通じて、関わるすべての人の人生を豊かにする。

ここで大切にしているのは、医療を「目的」ではなく「手段」と捉えているということです。

病気を治すこと、検査で異常を見つけること。それ自体はゴールではありません。その先で、患者さんが自分らしい毎日を取り戻せること。ご家族が安心して過ごせること。そこまで含めて、私たちの仕事だと考えています。

そして「関わるすべての人」には、患者さんとご家族だけでなく、ここで働くスタッフや、地域の皆さまも含まれます。医師も看護師も受付も、それぞれが自分の仕事に納得と誇りを持てていなければ、診察室の空気は必ず患者さんに伝わってしまうからです。


「異常なし」を、診療の終わりにしない

この理念が最もはっきり形になるのが、検査で異常が見つからなかったときの対応です。

頭痛やめまい、しびれで受診された方の多くは、画像検査で明らかな異常が見つかりません。これは決して珍しいことではなく、片頭痛や緊張型頭痛のように、画像には写らないけれども治療の対象になる病気があるためです。

脳出血や脳腫瘍、脳梗塞、脳動脈瘤といった、形として写る異常がないと分かること。それはとても大切な情報です。ただ、異常がないと分かることと、症状が軽くなることは別です。だからこそ当院では、画像に異常がない場合こそ、そこからが診療の始まりだと考えています。問診を重ねて症状のタイプを絞り込み、治療の方針をご相談していきます。



2. 脳と人生を、守り、彩る

基本理念を、医療機関としての具体的な役割に落とし込んだものが、当院の使命です。

脳と人生を、守り、彩る。

「守る」と「彩る」という2つの言葉に、それぞれ意味があります。


守る ── 検査と説明を、その日のうちに

院長は、市中病院と大学病院の脳神経外科で長年にわたり診療にあたったのち、2020年12月に当院を開院しました。勤務医の時期には、脳卒中を起こされた患者さんが救急搬送されてくる場面に、幾度も立ち会ってきました。

もっと早く見つけられていたら。予防のための治療を続けられていたら。その思いが、当院の診療体制の出発点になっています。

だからこそ当院では、受診されたその日にMRI検査を行い、その日のうちに画像をご覧いただきながら結果をご説明する体制を整えています。結果を待つ数日間の不安を、患者さんに背負っていただかないためです。緊急の処置が必要と判断した場合は、連携している医療機関へ速やかにおつなぎします。

※症状や混雑の状況、医師の判断により、当日に検査を実施できない場合があります。また、急性期の頭部外傷や出血が疑われる場面では、CT検査が第一選択となります。その場合は、CT検査に対応できる医療機関へご案内します。


彩る ── 治療の先にある生活まで

痛みや不調は、その人から時間や気力を少しずつ奪っていきます。頭痛のために予定を諦めたり、大切な日を寝て過ごしたりした経験のある方も少なくないと思います。

症状を抑えることは通過点であって、目的地ではありません。その方が、また自分の予定を自分で決められるようになること。当院が「彩る」という言葉に込めているのは、そこまで伴走したいという意味です。


頭痛やめまい、物忘れなど、気になることがあればお気軽にご相談ください。

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3. 大切にしている3つの指針

理念や使命を日々の行動に変えるために、当院は3つの指針を掲げています。診療の場面で迷ったとき、この3つに立ち返るようにしています。

指針 大切にしていること 診察室では
進化
Evolution
国内外のガイドラインや研究に基づく裏づけを持ち、過去の常識に縛られない 新しい知見や治療の選択肢を、まず自分たちが学んでから患者さんにお伝えする
信頼
Trust
誠実な対話を重ね、地域の「脳のかかりつけ」として選んでいただけるよう努める 「異常なし」とお伝えするときこそ、不安に応える言葉を添える
メタ認知と成長
Metacognition
自分の判断を少し離れた場所から見つめ、そこから学びを取り出す 「自分は何を見落としたか」を、その日のうちに振り返る

説明して選んでいただく、ではなく、一緒に考える

3つのなかで、当院が最も難しく、同時に最も大切だと考えているのが「信頼」の中身です。

医療では、治療方針を決める際に十分な説明を行い、患者さんに同意していただくことが基本になります。ただ当院では、そこからもう一歩踏み込みたいと考えています。専門的な選択肢を並べて「どれにしますか」とお尋ねするのではなく、その方の生活や優先したいことを伺いながら、一緒に方針を考えるという進め方です。

医療者と患者さんが情報を持ち寄って一緒に決めていくこの考え方は、共同意思決定(Shared Decision Making)と呼ばれます。当院が診療の基本姿勢としているのは、この進め方です。



4. 離見の見という考え方

3つの指針のうち「メタ認知と成長」について、当院は少し変わった言葉を原点に置いています。「離見の見(りけんのけん)」という、能の言葉です。

室町時代前期の能役者・世阿弥(1363?–1443?)が、応永31年(1424年)に最終的な形が整えられた伝書『花鏡』のなかで説いた心得です。舞を舞う者は、自分の肉眼で見た自分の姿(我見)だけを頼りにしてはならない。観客席の側から見た自分の姿をとらえよ。自分では見えない後ろ姿まで含めて、である──そうした趣旨の教えです。

これは能の芸道論であって、もともと医療のために書かれた言葉ではありません。ただ、この教えを診療に引き寄せてみると、私たちが大切にしたいことがそのまま言い表されていると感じます。自分の説明が、患者さんの側からどう見え、どう聞こえているのか。 それを、少し離れた場所から見直す姿勢です。


なぜ「自分は正しい」を疑い続けるのか

診断の行き違いや、患者さんとの認識のずれは、知識が足りないことよりも「自分は正しく伝えられているはずだ」という思い込みから生まれることがあります。だからこそ、この姿勢は特定の職種だけのものではありません。

職種 問いかけていること
医師 「正しく診断できたか」だけでなく「この患者さんは”理解された”と感じているか」。画像に写らない痛みを「異常なし」で終わらせていないか
看護師 「十分に寄り添えているか」。患者さんは、医療者が思う以上に不安や心細さを抱えていることがある
受付・医療事務 「患者さんから、自分はどう見えているか」。受付での応対は、クリニック全体の第一印象になる

院長自身にとっても、この視点は開院後に学んだものでした。自分が大切だと思っていたことと、地域の方が本当に困っておられることは、必ずしも同じではありませんでした。その気づきから、当院は頭痛の診療に力を入れる体制へと形を変えてきました。


「こんなことで受診してよいのか」と迷われる症状こそ、一度ご相談ください。

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5. 診察室で自らに問うこと

理念を日々の行動につなげるために、当院では医師・看護師をはじめとするスタッフが、次の5つを自らに問いかけるようにしています。

  1. この患者さんは「理解された」と感じているだろうか。
  2. 「異常なし」で終わらせていないか。
  3. 自分の言葉や態度は、相手にどう映っているか。
  4. 自分は今、何を見落としているか。
  5. これは、その人の人生を豊かにしているか。

どれも、完璧にできていると胸を張れるものではありません。だからこそ、問い続けることに意味があると考えています。



6. 目指しているクリニック像

当院が目指しているのは、患者さんもスタッフも自ら学び、成長し、共に自己実現を叶えていける医療グループです。

患者さんにとっては、治療を受けるだけの場所ではなく、ご自身の心と体の状態を客観的にとらえ、自分で選び取っていける場所であること。スタッフにとっては、日々の関わりのなかで視野を広げ、誇りを持って働き続けられる場所であること。

規模や売上の大きさではなく、関わってくださる方それぞれが、どれだけ満たされ、どれだけご自身で選び取れるようになったかで、自分たちを測りたいと考えています。


チームで診るということ

当院では、脳神経外科の医師のほか、看護師、臨床心理士、管理栄養士、診療放射線技師、医療事務など、さまざまな職種が診療に関わっています。頭痛の診療では、医師の診察のあとに看護師が薬の使い方を一緒に確認したり、必要に応じて心理士が関わったりすることもあります。

職種の違いは役割の違いであって、上下ではありません。診察室で言い出せなかったことを、別の場面で話していただける。そうした窓口を複数持っておくことも、患者さんの不安に応える一つの形だと考えています。



7. よくあるご質問

Q. 検査で「異常なし」と言われた場合、どうなりますか?

画像検査は、脳出血や脳腫瘍、脳梗塞、脳動脈瘤のように形として写る異常がないかを確認するものです。片頭痛や緊張型頭痛などは画像に写らないため、異常が見つからなくても症状は残ります。当院では、そこを診療の終わりとせず、問診を重ねて症状のタイプを絞り込み、治療の方針をご相談していきます。

Q. MRI検査の結果はいつ聞けますか?

当院では検査を受けられたその日のうちに、画像をご覧いただきながら結果をご説明する体制を整えています。ただし、症状や混雑の状況、医師の判断により、当日に実施できない場合があります。

Q. どのくらいの症状から相談してよいですか?

頭痛、めまい、ふらつき、しびれ、物忘れ、頭を打ったあとの不安など、気になることがあればご相談いただけます。軽い症状だから、と受診をためらわれる方も多いのですが、早い段階で調べておくことがご自身の安心につながります。ただし、突然の激しい頭痛、手足の麻痺、ろれつが回らない、意識がはっきりしないといった症状があるときは、当院の受診を待たずに救急要請をご検討ください。

Q. この理念は誰が決めたものですか?

院長を中心に策定し、医師・看護師をはじめとする全職種で共有しているものです。院内では、判断に迷う場面で立ち返る基準として日々用いています。



8. まとめ

  1. 当院の基本理念は「医療を通じて、関わるすべての人の人生を豊かにする」。医療は目的ではなく、その先の生活のための手段だと考えています。
  2. 使命は「脳と人生を、守り、彩る」。当日のMRI検査と当日の結果説明は、待つ時間の不安を減らすための体制です(症状や混雑の状況、医師の判断により、当日に検査を実施できない場合があります)。
  3. 行動の指針は、進化・信頼・メタ認知と成長の3つ。「異常なし」とお伝えするときこそ、不安に応える言葉を添えることを大切にしています。
  4. その核心にあるのが「離見の見」。患者さんの側から見て、自分たちがどう映っているかを問い続ける姿勢です。
  5. 目指しているのは、患者さんもスタッフも学び、成長し、共に自己実現を叶えていける場所です。

安心、信頼、満足のいく医療を提供する。脳のかかりつけを目指します。──これは当院が公式サイトで掲げている言葉です。この一文の背景にあるのが、ここまでご説明してきた考え方です。頭痛やめまい、物忘れなど、気になる症状があればお気軽にご相談ください。



お問い合わせ・ご予約

頭痛・めまい・しびれ・物忘れなど、脳に関わる症状でお困りの方は、お気軽にご相談ください。ご予約は、下記から可能です。

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当院公式LINEにてご質問等もお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。

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重要:本記事の位置づけ(医療情報として)

  • 本記事は、当院の診療に対する考え方をご説明するものです。特定の治療の効果を保証するものではありません。
  • 症状の現れ方や治療への反応には個人差があります。
  • 実際の検査や治療は、症状・既往歴・併用薬などを踏まえて医師が判断します。
この記事を書いた先生のプロフィール
いわた脳神経外科クリニック 院長 岩田 亮一
医師・医学博士/日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医/日本脳神経血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医/日本頭痛学会認定 頭痛専門医
(日本脳卒中学会・日本認知症学会 所属)

脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。
脳血管内治療(カテーテル治療)の専門医でもあり、くも膜下出血や脳動脈解離など「危険な頭痛」の鑑別・初期対応にも力を入れています。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

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院長写真

参考文献

  1. 世阿弥 (1424)『花鏡』「舞声為根」第三段(目前心後). 応永三十一年奥書.
  2. 吉田東伍 校註 (1909)『世阿弥十六部集:能楽古典』能楽会. 国立国会図書館デジタルコレクション. 閲覧日: 2026年8月5日. https://dl.ndl.go.jp/pid/859394
  3. 日本芸術文化振興会 (n.d.)「花鏡」文化デジタルライブラリー. 閲覧日: 2026年8月5日. https://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/contents/learn/edc9/zeami/gyouseki/kakyou01.html
  4. 早稲田大学演劇博物館 (n.d.)「『花鏡』」名品セレクション. 閲覧日: 2026年8月5日. https://enpaku.w.waseda.jp/collection/2836/