夜の室内で目のまわりを押さえる男性|群発頭痛の激しい痛み

この記事で分かること

  • 市販の頭痛薬が効かないのは、薬の選び方の問題ではないこと
  • 発作を止める方法が2つあり、どちらも保険で使えること
  • 注射が1日2回で足りないときに、もう一つ選択肢があること

目の奥をえぐられるような痛みが、夜中に突然始まる。じっとしていられず、部屋を歩き回る。市販の頭痛薬を飲んでも、まったく効かない。

そして1〜2時間で、何事もなかったように治まる。それが毎日、同じ時刻に繰り返される。

この頭痛には名前があります。群発頭痛です。そして、発作を止める方法が確立しています。市販薬が効かないのは当たり前で、使う薬が違うからです。

本記事は、公的なガイドラインや研究報告にもとづく一般的な医療情報です。診断・治療は症状や経過をふまえて医師が判断します。同じ頭痛でも、持病や体質によって使える治療は変わります。


目次



市販薬が効かない頭痛でお困りの方は、当院にご相談ください。

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1. 市販の頭痛薬が効かない理由

群発頭痛 別名:自殺頭痛

群発頭痛で受診された方が、ほぼ必ずおっしゃることがあります。「市販の頭痛薬を何種類も試したけれど、どれも効かなかった」。

これは薬の選び方が悪かったのではありません。群発頭痛には、飲み薬の鎮痛薬がそもそも効きにくいのです。日本頭痛学会のガイドラインにも、群発頭痛の発作に対して通常の鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬)の効果は期待できない、と記載されています(日本頭痛学会 2018)。

理由は発作の時間経過にあります。群発頭痛の発作は15分から180分で終わります(国際頭痛学会 2018)。飲み薬は、胃で溶けて吸収されて効き始めるまでに30分から1時間かかります。効き始めるころには、発作のほうが終わっているのです。

だから、必要なのは「速く効く形」です

  • 皮下注射:15分で効果が現れます(4章)
  • 酸素の吸入:数分から十数分で発作が治まります(5章)

どちらも日本で保険が使えます。飲み薬を増やす方向ではなく、形を変えるのが群発頭痛の治療です。


「自殺頭痛」と呼ばれるほどの痛み

群発頭痛は、別名で「自殺頭痛」と呼ばれることがあります。日本頭痛学会の資料には、陣痛に伴う痛みよりも強いと形容され、あまりの苦痛に頭部への自傷行為や自殺を企てる症例も報告されていると記されています(日本頭痛学会 2018)。

この呼び名を知って、不安になった方もいらっしゃると思います。お伝えしたいのは、この頭痛には発作を止める方法があり、それは特別な治療ではないということです。問題は、診断がついていないために、その方法にたどり着けていない方が多いことのほうです。

群発頭痛による生活への支障の程度は、片頭痛と同程度か、それ以上と報告されています(日本頭痛学会 2018)。群発期には就業が困難になり、一部の方は入院が必要になることもあります。「頭痛くらいで」と我慢する種類の頭痛ではありません。



2. この頭痛かどうかの見分け方

群発頭痛の症状

国際頭痛分類(ICHD-3)の診断基準をもとに、ご自身で確かめられる特徴を整理します(国際頭痛学会 2018)。


痛む場所は「片側の目の奥」

激しい片側性の頭痛:目の周囲やこめかみに刺すような焼けるような痛みが生じる

痛むのは片側で、目のまわり、目の上、こめかみのいずれか、またはその組み合わせです。「刺すような」「えぐられるような」「焼けるような」と表現されることが多く、強さは重度から非常に重度です。

毎回同じ側に起こるのが典型的です。左右が入れ替わることもありますが、1回の発作の中で反対側に移ることはありません。


痛む側の目や鼻に症状が出る

群発頭痛に伴う自律神経症状:目の充血、まぶたの垂れ下がりや腫れ、流涙や鼻づまり、顔の発汗

診断の決め手になるのが、痛むのと同じ側に出る次の症状です。1つ以上あれば、この頭痛を強く疑います。

部位 症状
目 充血する、涙が出る
まぶた 下がる、腫れる
鼻 詰まる、鼻水が出る
顔 汗をかく
瞳 小さくなる

片側だけ涙が出て鼻が詰まるため、「風邪」「副鼻腔炎」「アレルギー」と考えて耳鼻科を受診される方もいらっしゃいます。


じっとしていられない

激痛のため多くの患者はじっとしていられず、歩き回ったり頭を抱えたりする行動が見られる

これも診断に使われる特徴です。発作中は落ち着かず、動き回ってしまいます。歩き回る、頭を壁に押しつける、頭を抱えてうずくまる。

この点は後でくわしく触れますが、片頭痛とは正反対です。片頭痛は動くと悪化するので、暗い部屋でじっとしています。


時間と回数に規則性がある

発作は通常15分から3時間程度続き、1日に最大8回も繰り返す場合がある。夜間に発作が起きることもあり睡眠を妨げる

発作は15分から180分(3時間)続き、頻度は2日に1回から1日8回までの範囲です(国際頭痛学会 2018)。

そして特徴的なのが群発期です。1〜数か月のあいだ発作が毎日のように続き、その後ぱたりと治まって、数か月から数年の寛解期に入ります。毎年同じ季節に始まるという方も少なくありません。

発作が夜中の同じ時刻に起こることも多く、睡眠が妨げられます。「決まって深夜2時に目が覚める」という訴えは、この頭痛を疑う手がかりになります。

はじめての激しい頭痛は、別に考えます。ここまでの特徴に当てはまっていても、これまでに経験したことのない突然の激しい頭痛のときは、くも膜下出血などを先に除外する必要があります。突然の激痛、手足のまひ、ろれつが回らない、意識がもうろうとするといった症状があれば、救急車を呼んでください。くわしくはくも膜下出血の「見逃し」はなぜ起きる?危険な頭痛サインを専門医が解説をご覧ください。


なぜ起こるのか

原因はまだ完全には解明されていませんが、研究が進んでいます。『頭痛の診療ガイドライン2021』では、群発頭痛の病態について、脳の視床下部に起源を求める説、三叉神経と血管の関係から説明する説、内頸動脈の周囲に起源を求める説が挙げられています(日本神経学会ほか 2021)。

なかでも注目されているのが視床下部です。ここは体内時計をつかさどる場所で、発作中に活性化することがPET検査で確認されています。毎晩決まった時刻に発作が起こること、毎年同じ季節に群発期が始まることは、この部分の関与で説明しやすくなります。

つまり群発頭痛は、気のせいでも、ストレスのせいだけでもありません。脳の中で起きている現象です。だからこそ、気合いや我慢ではなく、治療で対処します。



3. 片頭痛との違い

群発頭痛と片頭痛は、どちらも片側が痛むため混同されます。しかし使う治療がまったく違うので、ここを分けることに意味があります。

  群発頭痛 片頭痛
続く時間 15分〜3時間 4〜72時間
痛む場所 片側の目の奥 片側が多い
発作中の様子 動き回る じっと寝ている
目の充血・涙 痛む側に出る ふつうは出ない
吐き気 少ない 多い
起こる時刻 夜間・毎日同じ時刻 決まっていない
男女比 男性に多い 女性に多い

いちばん分かりやすいのは発作中にどうしているかです。暗い部屋で横になっていたいなら片頭痛、じっとしていられず動き回るなら群発頭痛を考えます。

群発頭痛は若年から壮年の男性に多く、有病率は10万人あたり56〜401人、男性は女性の3〜7倍と報告されています(日本神経学会ほか 2021)。日本で、1日1回以上の発作があり家事や仕事に支障が出ている方はおよそ1万人と推定されています(日本頭痛学会 2018)。

片頭痛についてはその頭痛、片頭痛?それとも群発頭痛?違いを詳しく解説でも整理しています。


市販薬が効かない激しい頭痛は、一度ご相談ください。

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4. 発作を止める方法|注射

群発頭痛の治療は急性期治療と予防治療に分かれる

群発頭痛の治療は、発作を止める治療と、群発期のあいだ発作を減らす治療に分かれます。まず、発作を止めるほうからお伝えします。


スマトリプタンの皮下注射

スマトリプタン注射:トリプタン系薬剤で発作を迅速に鎮める効果がある

発作を止める治療の中心が、スマトリプタンの皮下注射です。日本頭痛学会のガイドラインで、群発頭痛の急性期治療として推奨グレードAとされています(日本頭痛学会 2018)。

項目 内容
量 1回3mgを皮下に注射
上限 1日6mgまで(1日2回まで)
間隔 2回打つ場合は1時間以上あける
保険 群発頭痛に適応あり

この量と上限は、添付文書に定められているものです(医薬品医療機器総合機構 2024)。

効き方の速さが、この治療の要点です。海外の報告では、皮下注射から15分の時点で74%の方に痛みの軽減がみられたとされています(日本頭痛学会 2018)。発作が15分から180分で終わることを考えると、この速さに意味があります。


自分で打てます

日本では2007年からキット製剤が認可され、自己注射ができるようになりました(日本頭痛学会 2018)。

これは群発頭痛の方にとって大きな意味があります。発作は夜中に起こることが多く、しかも15分から3時間で終わります。そのたびに医療機関へ向かっていては間に合いません。手元に置いておいて、発作が始まったらその場で打てることが、この治療が成り立つ条件です。

打つ場所は、上腕やお腹、太ももの皮膚の下です。キット製剤は針が見えない作りになっていて、押し当ててボタンを押すだけで注入できます。発作が始まってから早い段階で使うほうが効きやすいため、「もう少し様子を見よう」と我慢せず、いつものパターンだと分かった時点で使っていただくようお伝えしています。

使った回数と効き方は、記録に残しておいてください。1日2回の上限で足りているかどうかが、次の章の判断材料になります。

使えない方がいます。虚血性心疾患、脳血管障害、末梢血管障害のある方には使えません。また、吐き気、胸の不快感、動悸などの副作用が出ることがあります(日本頭痛学会 2018)。持病やお薬は受診時に必ずお伝えください。使えない場合には、次の章の方法があります。



5. 注射で足りないとき|酸素

ここからが、多くの解説記事に書かれていない部分です。

前の章のとおり、スマトリプタンの注射は1日2回までです。ところが群発頭痛の発作は、1日8回まで起こりえます。注射だけでは足りない方がいるということです。


酸素を吸うと発作が止まります

酸素の吸入は、群発頭痛の発作を止める方法として推奨グレードAとされています(日本頭痛学会 2018)。

項目 内容
濃度 90%を超える酸素
流量 フェイスマスクの側管から7L/分
時間 15分間
回数 重い副作用がなく、1日に何度でも使える

効き方の報告をいくつか挙げます。150回の発作のうち117回(78%)で発作が治まり、対照群では148回中30回(20%)だったという試験があります(Bennett et al. 2015)。日本の報告では、23名の患者に酸素を投与したところ17例で平均3.1分後から改善がみられ、平均13.5分後に頭痛が消失したとされています(日本頭痛学会 2018)。


2018年から、自宅で使えるようになりました

以前は、酸素を吸うために医療機関へ行く必要がありました。夜中に発作が起こる病気で、これは現実的ではありません。

2018年度の診療報酬改定で、群発頭痛が在宅酸素療法の対象に加わりました(日本頭痛学会 2018)。自宅に酸素濃縮装置を置き、発作が始まったらその場で吸入できます。

保険で使うための条件

  • 関連学会の診断基準により群発頭痛と診断されていること
  • 群発期間中であること
  • 1日平均1回以上の頭痛発作があること

つまり、まず診断がつくことが出発点になります。「たぶん群発頭痛だと思う」という状態では始められません。

この方法は、次のような場合にとくに意味があります。

こんなとき 理由
発作が1日3回以上ある 注射は1日2回までで足りない
心臓や血管に持病がある 注射が使えないことがある
注射の副作用がつらい 酸素に重い副作用はない
注射が苦手で打てない 吸うだけで使える

群発期の予防について

神経ブロック注射:大後頭神経周囲への局所麻酔が用いられることがある

発作を止める治療とは別に、群発期のあいだ発作そのものを減らす治療もあります。内服薬のほか、大後頭神経のまわりに局所麻酔薬を注射する神経ブロックが行われることもあります。

ただし予防薬については、日本で群発頭痛に保険が使えるものが限られています。海外で使われている薬の中には、日本では群発頭痛に承認されていないものもあります。どの方法が向いているかは、発作の回数や持病によって変わりますので、診察で一緒に決めていきます。


群発期に避けたいもの

群発頭痛のトリガー:アルコール、たばこ、明るい光、ニトログリセリン、運動、亜硝酸塩を多く含む食品、暑さ、高高度、コーヒー、頭部外傷の既往

群発頭痛には、発作の引き金になるものが知られています。『頭痛の診療ガイドライン2021』には、アルコール、ヒスタミン、ニトログリセリンにより誘発されると記載されています(日本神経学会ほか 2021)。

群発頭痛の誘因:アルコール、強い匂い、季節の変わり目、喫煙や不規則な睡眠サイクル

とくに覚えておいていただきたいのがアルコールの振る舞いです。群発期のあいだは少量でも発作を起こす一方、寛解期には同じ量を飲んでも起こりません。「この前は平気だったのに」と思われるのは、このためです。群発期に入ったと感じたら、その期間は飲酒を控えるほうが安全です。


群発期を乗り切るための5つ

治療と並行して、生活の面でできることがあります。発作そのものをなくすものではありませんが、引き金を減らす意味があります。

規則正しい睡眠:毎日同じ時間に寝起きすることで視床下部のリズムを安定させる

1. 睡眠の時刻をそろえる。発作が体内時計と関係していると考えられているため、寝る時刻と起きる時刻を一定に保つことに意味があります。昼寝も発作の引き金になることがあるので、群発期は控えめにしてください。

アルコールの制限:発作期にはアルコール摂取を完全に控える

2. 群発期はお酒を控える。前の節のとおりです。群発期が終われば元に戻せますので、期間限定と考えてください。

ストレス管理:ヨガや瞑想、適度な運動などでストレスを軽減する

3. 休める時間をつくる。群発期は睡眠が妨げられ、心身の消耗が大きくなります。無理を重ねると、痛み以外の部分で参ってしまいます。仕事の調整が必要なときは、診断書を書くこともできますのでご相談ください。

喫煙の中止:喫煙は群発頭痛の発作頻度を増加させるリスクがある

4. たばこを減らす。群発頭痛の方には喫煙者が多いことが知られています。すぐにやめるのが難しくても、群発期だけでも減らす価値があります。

誘因の回避:強い匂いや刺激物に注意を払う

5. 強いにおいを避ける。香水、塗料、たばこの煙などが引き金になる方がいらっしゃいます。ご自身の引き金は人によって違うので、発作が起きた日に何があったかを記録しておくと傾向が見えてきます。


診断までに時間がかかりやすい頭痛です

群発頭痛は、診断がつくまでに何年もかかることが少なくありません。理由はいくつかあります。

片側の目が充血して鼻が詰まるため、耳鼻科や眼科を受診される方がいらっしゃいます。歯の痛みと感じて歯科を受診される方もいます。そして群発期が終わると発作が止まるため、「治った」と思って受診をやめてしまうことも重なります。

翌年また同じ季節に始まり、また市販薬が効かず、また数か月耐える。これを何年も繰り返してから診断がつく方が、実際にいらっしゃいます。思い当たる方は、群発期が終わってからでも構いませんので一度ご相談ください。診断がついていれば、次の群発期が始まったときにすぐ治療を始められます。



6. 当院での対応と受診の目安

医師が問診票をもとに頭痛のパターンを聞き取っている様子

いわた脳神経外科クリニックは、大阪市城東区成育にある脳神経外科クリニックです。京阪本線「野江」駅 東側出入口より徒歩約4分、昼休みを設けず通して診療しています。


当院でできること

群発頭痛について、当院では発作を止める2つの方法を、どちらもご用意できます。

方法 当院での対応
スマトリプタン皮下注射 自己注射の処方を行っています(手元に置いて、発作時にご自身で使えます)
在宅酸素療法 導入に対応しています(条件を満たす場合、保険で自宅に設置できます)

この2つが揃っていることには理由があります。注射が使えない方、注射だけでは回数が足りない方が、群発頭痛では一定数いらっしゃるからです。片方しかなければ、そこで行き止まりになります。


まず、ほかの病気でないことを確かめます

MRI検査を受けている様子

群発頭痛とよく似た症状が、脳の血管の異常や腫瘍で起こることがあります。診断の過程では、こうした病気でないことを確かめます。

とくに注意して見るのは、群発頭痛によく似た症状を起こしうる脳の病気です。血管の形の異常、下垂体の腫瘍、副鼻腔の病変などが挙げられます。発作の形が典型的でない場合や、神経の症状を伴う場合には、画像検査の必要性が高くなります。

当院では、必要と判断した場合にMRI検査を当日に受けていただける体制を整えています。MRI検査のご案内もご覧ください。検査で異常がなかった場合も、そこで終わりにはしません。群発頭痛の診断は画像ではなく、発作の形と経過でつけるものだからです。


受診のときにお伝えいただきたいこと

医師が検査結果を見ながら患者に説明している様子

診断がつけば治療に進めます。次の5つをメモしてきていただけると、診察が早く進みます。

項目 例
痛む場所 右の目の奥、など(左右が決まっているか)
続く時間 30分くらい、2時間くらい
1日の回数 1日1回、1日3回
起こる時刻 毎晩2時ごろ、など
目や鼻の症状 痛む側が充血する、涙が出る、鼻が詰まる

とくに「1日に何回あるか」は重要です。注射だけで足りるのか、酸素も必要なのかが、ここで変わってきます。スマートフォンのメモで構いません。


すぐに受診・救急が必要なとき

救急車を呼んでください(119番)

  • 突然、今までに経験したことのない激しい頭痛が起きた
  • 手足のまひ、しびれ、ろれつが回らない、ものが二重に見える
  • 意識がもうろうとしている、けいれんした

判断に迷うときは、救急安心センターおおさか(#7119)に相談することもできます。

複数の医療者が連携して診療にあたっている様子



7. よくある質問

Q. なぜ「自殺頭痛」と呼ばれるのですか

痛みの強さを表した呼び名です。陣痛に伴う痛みよりも強いと形容され、あまりの苦痛に自傷行為や自殺を企てる症例も報告されています(日本頭痛学会 2018)。ただし、発作を止める方法は確立しています。つらい思いをされている方は、我慢せずご相談ください。

Q. お酒を飲むと頭痛が起こります

群発頭痛の特徴のひとつです。アルコールは発作の引き金として知られており、群発期のあいだは少量でも発作を起こす一方、寛解期には起こさないという特徴があります(日本神経学会ほか 2021)。群発期のあいだは、飲酒を控えることをおすすめします。

Q. お酒以外に、引き金になるものはありますか

ニトログリセリン(狭心症のお薬)やヒスタミンが引き金になることが知られています(日本神経学会ほか 2021)。喫煙、強いにおい、睡眠リズムの乱れを挙げる方もいらっしゃいます。引き金は人によって違うため、記録をつけるとご自身の傾向が見えてきます。

Q. 市販の痛み止めを増やせば効きますか

増やしても効果は期待しにくいです。ガイドラインにも、通常の鎮痛薬の効果は期待できないと記載されています(日本頭痛学会 2018)。また、鎮痛薬を飲む日数が増えると、薬の使いすぎによる頭痛が重なることがあります。頭痛薬が効かない!?原因と対処法もご覧ください。

Q. 発作は何日くらい続きますか

1回の発作は15分から180分です。ただし群発期は1〜数か月続き、そのあいだ毎日のように発作が繰り返されます。その後、数か月から数年の寛解期に入ります(国際頭痛学会 2018)。

Q. 自己注射は難しくありませんか

キット製剤は、ご自身で扱えるように作られています。初回は診察室で使い方をご説明します。発作は夜中に起こることが多く、医療機関に向かっていては間に合わないため、手元に置いておける形になっています。

Q. 酸素を自宅に置くと、大がかりになりませんか

酸素濃縮装置を室内に設置する形です。条件を満たせば保険で導入できます。発作が1日に何度もある方や、注射が使えない方にとっては、現実的な選択肢になります。くわしくは診察でご説明します。

Q. 何科を受診すればよいですか

脳神経外科、脳神経内科、頭痛を扱う診療科が窓口になります。片側の目の充血や鼻づまりを伴うため、耳鼻科や眼科を受診されている方もいらっしゃいます。症状が当てはまる方は、頭痛を扱う診療科にご相談ください。



8. まとめ

  1. 市販の頭痛薬が効かないのは当然です。発作が15分から3時間で終わるのに対し、飲み薬は効き始めるまでに時間がかかります。必要なのは速く効く形です。
  2. 見分ける手がかりは、痛む側に出る目や鼻の症状と、じっとしていられないことです。片頭痛とは正反対の行動になります。
  3. 発作を止める方法は2つあり、どちらも保険で使えます。スマトリプタンの皮下注射(15分で74%に軽減)と、酸素の吸入(7L/分を15分)です。
  4. 注射は1日2回までです。発作がそれ以上ある方には、2018年から保険で使えるようになった在宅酸素療法があります。
  5. 当院では、この2つをどちらもご用意できます。自己注射の処方と、在宅酸素療法の導入です。

群発頭痛は、診断がつくまでに何年もかかることが少なくありません。市販薬が効かないまま、毎年同じ季節につらい時期を過ごしている方は、一度ご相談ください。診断がつけば、打てる手があります。



お問い合わせ・ご予約

いわた脳神経外科クリニック(〒536-0007 大阪市城東区成育2丁目13番27号 クリニックステーション野江 1-B/京阪本線「野江」駅 東側出入口より徒歩約4分/TEL 06-6935-2335)では、頭痛の診療とMRI検査を行っています。ご予約は下記から可能です。

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当院公式LINEにてご質問等もお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。

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重要:本記事の位置づけ(医療情報として)

  • 本記事は、公的資料や研究報告に基づく「一般的な医療情報」です。
  • 特定の治療を推奨・保証するものではありません。症状の感じ方や経過には個人差があります。
  • 実際の診断・治療は、症状・既往歴などを踏まえて医師が判断します。気になる症状があるときは受診してください。
この記事を書いた先生のプロフィール
いわた脳神経外科クリニック 院長 岩田 亮一
医師・医学博士/日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医/日本脳神経血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医/日本頭痛学会認定 頭痛専門医
(日本脳卒中学会・日本認知症学会 所属)

脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。
脳血管内治療(カテーテル治療)の専門医でもあり、くも膜下出血や脳動脈解離など「危険な頭痛」の鑑別・初期対応にも力を入れています。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛と付き合ってきました。だからこそ、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

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参考文献

  1. 日本頭痛学会 2018, 群発頭痛の酸素療法ガイドライン CQ1 群発頭痛の急性期治療に酸素は有効か, 日本頭痛学会, viewed 13 October 2026, <https://www.jhsnet.net/GUIDELINE/2018/1.html>.
  2. 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会(監修) 2021, 頭痛の診療ガイドライン2021, 医学書院, 東京.
  3. 医薬品医療機器総合機構 2024, イミグランキット皮下注3mg 添付文書, viewed 13 October 2026, <https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/340278_2160402G1026_1_13>.
  4. Bennett, MH, French, C, Schnabel, A, Wasiak, J, Kranke, P & Weibel, S 2015, ‘Normobaric and hyperbaric oxygen therapy for the treatment and prevention of migraine and cluster headache’, Cochrane Database of Systematic Reviews, no. 12, art. no. CD005219, DOI 10.1002/14651858.CD005219.pub3, viewed 13 October 2026, <https://www.cochrane.org/CD005219/>.
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