こんにちは、大阪の頭痛外来のある「いわた脳神経外科クリニック」です。
片頭痛に悩む方に向けて、新しい頭痛に関する話題と治療の情報をお届けします。胃腸の病気と片頭痛との関連性、そして、胃酸分泌抑制薬が片頭痛のリスクとなる可能性について解説します。また、片頭痛の新しい治療薬であるヒト化抗CGRPモノクローナル抗体製剤についても紹介していますので、頭痛治療を行っているけれども症状が改善しない方はご一読ください。
胃腸の病気と片頭痛の関連性
消化性潰瘍、消化不良、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、胃食道逆流症などの胃腸の病気を一つでも持っている人は、片頭痛を発症する可能性が高いことがわかっています。
研究によれば、これらの胃腸の病気を持つ人の片頭痛の発生率は、年齢、性別などを調整した後でさえ、約3.5倍高いことが示されています。また、複数の胃腸の病気を併発している場合、片頭痛の発生率はさらに増加するという結果でした。[1]
胃腸の病気と片頭痛の関連性については、次の複数の要因によって影響を受けると考えられています。
・胃腸の病気があると、神経線維が痛みに過敏になり、頭痛を引き起こしやすくなる
・胃腸の病気で腸内に炎症が起こることで、腸脳相関(腸と脳が密接に関連しあう)を通じて、片頭痛のリスクが高まる
・腸内細菌叢の変化の影響
・カルシトニン遺伝子関連ペプチド( CGRP )などの神経ペプチドの影響
・セロトニンが相互に関連する
・栄養状態の影響
[1][2]胃腸の病気と片頭痛に関連する要因から、セロトニンと腸内細菌叢について詳しく説明します。
腸と脳に関連するセロトニン
セロトニンは神経伝達物質の一つで、腸と脳の両方で分泌されています。
セロトニンの分泌が低下すると、三叉神経が興奮してカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)やプロスタグランジンが放出され、片頭痛が起こると考えられています。[2]
一方で、セロトニンのバランスが乱れると、腸の運動の低下や炎症など、胃腸の不調をもたらす場合もあります。このように、片頭痛と胃腸の病気は相互に関連しているのです。
片頭痛はどうやって起こるのか?の詳しい解説はこちら
片頭痛と腸内細菌叢の関連性
限られた地域における研究では、片頭痛患者はそうではない人と比べて、腸内細菌叢(腸内フローラ)の多様性が減少しているという報告や特定の腸内細菌群に変化がみられることが報告されています。[2]
しかし、腸内細菌叢の変化によって片頭痛が起こるのか、片頭痛によって腸内細菌叢が変化するのか、それとも、ほかの要因によって腸内細菌叢と片頭痛が関連しているのかは明確にはなっていません。因果関係があるかどうかはさらなる研究が必要だと報告の中でも言及されています。[2]
胃酸分泌抑制薬の服用で片頭痛が起こる可能性
胃酸の分泌を抑える薬を服用している成人患者1万1,818人を対象に行われた研究では、胃酸分泌抑制薬(プロトンポンプ阻害薬(PPI)、H2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)、制酸薬など)を服用している人は、服用していない人よりも片頭痛のリスクが高まる可能性があることが示唆されました。[3]
胃酸分泌抑制薬は広く使用されていなす。この研究を行ったSlavin氏によると、胃酸分泌抑制薬が過剰に処方されている場合もあるとのことです。しかし、自己判断で胃酸分泌抑制薬の服用を中止せず、片頭痛に悩む場合は主治医に相談すべきだと注意を促しています。[3]
片頭痛の新しい治療薬と予防策
近年、片頭痛と胃腸の病気の関連性が明らかになる中で、片頭痛の新しい治療薬が登場しました。また、予防としての作用が期待される薬もあります。
例えば「ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体製剤」は、片頭痛発作時に分泌され、血管の拡張と炎症を引き起こす「カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)」を標的とした新しい片頭痛の治療薬です。CGRPの活性を抑えることで、片頭痛の発症を予防します。[2]
ほかにも、メトクロプラミドが片頭痛の痛みを緩和する作用も持っているといわれています。片頭痛はしばしば吐き気や嘔吐などの胃腸の症状を伴います。メトクロプラミドは片頭痛患者の吐き気の症状に対して用いられる薬で、頭痛も和らげることがわかりました。[4][5]
当院の頭痛治療
大阪市城東区の「いわた脳神経外科クリニック」では、「ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体製剤」による片頭痛の治療も行っています。すでに片頭痛の治療や生活改善を行っていても症状が改善しない場合に適応となる治療です。片頭痛の発作を抑制し、日常生活の質の向上を目指します。
当院では次の「ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体製剤」を取り扱っています。
ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体製剤を用いた治療は保険診療です。
ほかにも、セロトニン受容体F1作動薬による治療など、患者さんの症状やライフスタイルに合った頭痛治療をご提案しています。
MRIも備えているので、脳の状態を詳細に調べて精密検査も可能です。脳の萎縮度を調べられるVSRD(ブイエスラド)を用いた統計解析にも対応しています。VSRDはアルツハイマー病の早期発見に役立ちますので、ご興味のある方はこちらのMRI検査の詳細もご確認ください。
※脳ドック、認知症ドックは自由診療となります。
日常生活に支障をきたす片頭痛をはじめ、脳の精密検査まで、脳に関するさまざまな検査・診断・治療を行っています。頭痛を改善したい方、脳の検査を受けたい方は大阪市城東区の頭痛外来のある「いわた脳神経外科クリニック」にご相談ください。
参考URL
[1] Jemin Kim, Sujin Lee, and Kiyon Rhew Association between Gastrointestinal Diseases and Migraine Int J Environ Res Public Health.19(7)4018 2022https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8997650/
[2] Mahsa Arzani et al. Gut-brain Axis and migraine headache: a comprehensive review J Headache Pain 21(1) 2020https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32054443/
[3] Margaret Slavin et al. Use of Acid-Suppression Therapy and Odds of Migraine and Severe Headache in the National Health and Nutrition Examination Survey Neurol Clin Pract 14(3) 2024https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38682005/
[4] Friedman BW, et al. Randomized trial of IV valproate vs metoclopramide vs ketorolac for acute migraine. Neurology 82:976-983 2014https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24523483/
[5] Hanaa Abdelmonem et al. The efficacy and safety of metoclopramide in relieving acute migraine attacks compared with other anti-migraine drugs: a systematic review and network meta-analysis of randomized controlled trials BMC Neurol 23(1):221 2023https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37291500/あなたも『頭痛から卒業』を目指して一緒に治療しませんか?
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