群発頭痛(ぐんぱつずつう)は、激しい痛みと自律神経症状(涙目、鼻づまりなど)を伴い、患者にとって非常に苦しい頭痛疾患です。この痛みは「耐えがたい」と形容されることも多く、生活の質を著しく損なう場合があります。

 本記事では、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とする治療薬「エムガルティ(ガルカネズマブ)」が群発頭痛の予防治療としてどの程度効果があるのかを検証します。

 

 

エムガルティとは?

 

 エムガルティは、片頭痛予防薬として知られるヒト化モノクローナル抗体で、CGRPという神経ペプチドを標的とします。CGRPは頭痛発作の引き金と考えられており、その活性を抑えることで、頭痛の頻度や強度を低下させる効果が期待されています。

 

 

群発頭痛への効果:研究結果から見るエビデンス

 

 

臨床試験の成果

 

 最新の臨床試験では、エムガルティ(300mgを月1回皮下注射)をエピソード性群発頭痛の患者に投与した結果、以下の効果が確認されました

 

  • 第1週から第3週までの発作頻度の減少

    • エムガルティ群:週平均 8.7回の減少

    • プラセボ群:週平均 5.2回の減少

    • 差:週3.5回(P=0.04)

 

  • 50%以上の発作頻度減少

    • エムガルティ群:患者の 71%

    • プラセボ群:患者の 53%

 

症例報告の視点

 

 エムガルティを使用した症例では、群発頭痛と片頭痛を併発する患者において、症状が大幅に改善した例が報告されています。

 

注意点と副作用

 

一般的な副作用

 

  • 注射部位の疼痛(8%)

  • その他の有害事象はプラセボ群と大きな差はありません。

 

適用範囲の制限

 

  • 現時点でエムガルティの効果が確認されているのは、エピソード性群発頭痛に限られています。

  • 慢性群発頭痛に対する有効性については、さらなる研究が必要です。

 

 

エムガルティは希望となるか?

 

 エムガルティは、従来の治療が効果を示さなかったエピソード性群発頭痛患者にとって、新たな希望となる治療法です。特に片頭痛を併発している場合、その有効性はさらに高い可能性があります。ただし、効果には個人差があり、すべての患者に適しているとは限りません。

群発頭痛にお悩みの方は、いわた脳神経外科クリニック「頭痛専門外来」の頭痛専門医に相談し、エムガルティを含む最新の治療法について検討してみてください。

 

 

 

 

参考文献

  1. Goadsby PJ, et al. Trial of Galcanezumab in Prevention of Episodic Cluster Headache. N Engl J Med. 2019;381(2):132-141.

  2. Kashiwagi K, et al. Fremanezumab and Non-High-Dose Galcanezumab for Comorbid Cluster Headache in Patients with Migraine: Three Cases. Neurol Int. 2023;15(1):318-324.

 

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この記事を書いた先生のプロフィール

医師・医学博士【脳神経外科専門医・頭痛専門医 ほか】
脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。脳卒中予防に重点をおいた内科管理や全身管理を得意としています。
脳の病気は、目が見えにくい、頭が重たい、めまい、物忘れなど些細な症状だと思っていても重篤な病気が潜んでいる可能性があります。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

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