この記事で分かること

  • 副鼻腔炎で頭痛が起こるしくみと、おもな原因
  • 「副鼻腔炎の頭痛」と思っても、実は片頭痛のことが多いという研究
  • 自分でできる見分け方・対処法と、注意したい合併症
  • 頭痛があるとき、何科を受診すればよいか

「鼻づまりと一緒に、額や目の奥が重く痛む」「市販の頭痛薬でいったん抑えても、しばらくするとまた繰り返す」——そんな症状に悩まされていませんか。その頭痛、もしかすると副鼻腔炎(ふくびくうえん/いわゆる蓄膿症)が関係しているのかもしれません。

その一方で、「副鼻腔炎の頭痛だと思っていたのに、実は片頭痛だった」というケースが、実はとても多いことが研究で報告されています。鼻の症状を伴う頭痛は、必ずしも副鼻腔炎が原因とは限らないのです。だからこそ、「何が痛みの正体なのか」を見きわめることが、つらい頭痛から抜け出す近道になります。

この記事では、副鼻腔炎と頭痛の関係から、片頭痛との見分け方、対処法、注意したい合併症、そして「頭痛があるとき何科を受診すればよいのか」までを、頭痛を専門に診る脳神経外科の視点でわかりやすく整理します。

当院は頭痛を専門に診る脳神経外科です。副鼻腔炎そのものの治療は耳鼻咽喉科が専門ですが、「その頭痛の原因が副鼻腔炎なのか、片頭痛なのか、あるいは見逃してはいけない別の病気なのか」を見分けるお手伝いができます。


目次



大阪で、繰り返す頭痛や原因のわからない頭痛にお悩みなら、いわた脳神経外科クリニックへご相談ください。

 

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まずは動画で:耳鼻咽喉科専門医が、副鼻腔炎の治療の進め方と合併症についてわかりやすく解説しています。あわせてご覧ください。(その頭痛が副鼻腔炎なのか片頭痛なのか、という見分け方は、このあとの項目2〜3でくわしく解説します。)



1. 副鼻腔炎とは?原因と頭痛のしくみ

副鼻腔炎は、副鼻腔(鼻の周囲にある空洞)の粘膜が炎症を起こし、膿(うみ)がたまる病気です。鼻づまり・鼻水・嗅覚障害(きゅうかくしょうがい)といった鼻の症状に加えて、頭痛や顔の痛みを伴うことがあります。続く期間によって、数日〜数週間で治まる「急性」と、3か月以上続く「慢性(蓄膿症)」に分けられます。


急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎
急性副鼻腔炎:かぜなどに続いて起こり、数日〜数週間で治まることが多いタイプです。
慢性副鼻腔炎(蓄膿症):症状が3か月以上続くタイプで、鼻づまりや膿のような鼻水、嗅覚の低下が長引きます。


副鼻腔の役割と、痛む場所でわかる炎症の部位

副鼻腔は、頭の重さを軽減したり、呼吸の際に空気を温めたり加湿したりする役割を担っています。副鼻腔には、額の奥の前頭洞(ぜんとうどう)、頬の奥の上顎洞(じょうがくどう)、目と目の間の篩骨洞(しこつどう)、その奥の蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)の4種類があり、炎症が起きた場所によって痛む部位が変わります。

  • 額・眉のあたりの痛み:前頭洞の炎症で起こりやすい痛みです。
  • 頬・上の歯のあたりの痛み:上顎洞が影響を受けると現れます。
  • 目の奥の痛み・圧迫感:篩骨洞や蝶形骨洞の炎症で起こることがあります。

副鼻腔炎による頭痛は、たまった膿が圧力をかけ、炎症による腫れや換気の悪化が加わって起こると考えられています。痛む場所が、膿のたまっている副鼻腔の位置と一致しやすいのが特徴です。


おもな原因

かぜやインフルエンザなどの感染症、花粉症やハウスダストによるアレルギー性鼻炎鼻づまりによる換気不良が、おもな原因です。鼻中隔のゆがみや鼻ポリープ(鼻茸)などの構造的な要因があると、繰り返しやすくなることがあります。また、上の奥歯の炎症が上顎洞に及ぶ「歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)」のように、歯が原因となることもあります。


こんな特徴があります
前かがみになったり下を向いたりすると痛みが強くなる、朝起きたときに痛みが強い、痛む部分を押すと痛い——これらは副鼻腔炎による頭痛で見られやすい特徴です。



2. その頭痛、実は片頭痛かもしれません

ここはこの記事でもっともお伝えしたい点です。「副鼻腔炎の頭痛」だと思っていた頭痛が、調べてみると実は片頭痛だった、というケースは決して珍しくありません。

約3,000人を対象にした研究では、「副鼻腔の頭痛」と自分で考えていた、あるいは医師にそう診断されていた人のうち、約88%が実際には片頭痛の診断基準を満たしていたと報告されています(Schreiber et al. 2004)。別の研究(SAMS/Eross et al. 2007)でも、同様に約86%が片頭痛または片頭痛性の頭痛だったとされています。


なぜ間違えやすいの?
片頭痛でも、鼻づまり・鼻水・顔の圧迫感(自律神経症状)が現れることがあります。天候の変化で悪化する点も副鼻腔炎と共通しているため、「鼻まわりが痛い=副鼻腔炎」と思い込みやすいのです。

これは、頭痛を専門に診ているからこそお伝えできる大切な視点です。市販薬を飲んでも繰り返す頭痛は、副鼻腔炎の治療を続けても改善しにくいことがあり、片頭痛として適切に対処することで症状が和らぐ場合があります。「副鼻腔炎のせい」と決めつける前に、頭痛そのものを見直してみる価値があります。



3. 副鼻腔炎の頭痛の見分け方

ご自身で完全に見分けることは難しいものの、手がかりはあります。下記の表は、副鼻腔炎による頭痛・片頭痛・緊張型頭痛の特徴をおおまかに比べたものです。あくまで目安として参考にしてください。


項目 副鼻腔炎の頭痛 片頭痛 緊張型頭痛
痛む場所 額・頬・目の奥(顔の前面) 片側のこめかみが多い 後頭部〜頭全体
痛み方 重い・押される感じ ズキンズキンと脈打つ 締めつけられる
鼻の症状 強い(鼻づまり・膿性の鼻水) 軽い自律神経症状のことも 基本的になし
悪化しやすい時 前かがみ・起床時 光・音・体動・天候 肩こり・ストレス
伴いやすい症状 発熱・嗅覚の低下 吐き気・光や音への過敏 首・肩のこり

黄色〜緑色の鼻水や鼻づまりがはっきりあり、顔を下に向けると痛みが強くなる場合は、副鼻腔炎が関係している可能性があります。一方で、吐き気や光・音への過敏を伴い、ズキンズキンと脈打つ痛みが繰り返す場合は、片頭痛の可能性を考えます。重なって起こることもあるため、迷う場合は自己判断せずご相談ください。



大阪で「これは副鼻腔炎?それとも片頭痛?」とお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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4. 診断と治療・対処法


MRI・CTでわかること

副鼻腔炎の診断では、鼻の中の観察や症状の経過の確認に加えて、画像検査が役立ちます。特に蝶形骨洞や前頭洞に限局した炎症は、通常の診察だけでは分かりにくいことがあります。通常は空気で満たされている副鼻腔は画像で黒く写りますが、膿がたまると液体としてグレーに写るため、MRIやCTは炎症や膿のたまり具合の把握に役立ちます。


画像検査には、もうひとつ大切な役割があります。それは、副鼻腔炎以外の見逃してはいけない頭痛(脳腫瘍やくも膜下出血など)を見分けることです。原因のはっきりしない頭痛では、この「危険な頭痛を除外する」ステップがとても重要になります。


医療機関での治療

副鼻腔炎の治療は、急性か慢性かによって考え方が異なります。具体的な治療の進め方は、記事冒頭の耳鼻咽喉科専門医による解説動画でも紹介していますので、あわせてご覧ください。

  • 急性副鼻腔炎:多くは自然に軽快しますが、症状が強い・長引く場合には、重症度に応じて抗菌薬が用いられることがあります(急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン 2010年版(追補版), 日本鼻科学会)。
  • 慢性副鼻腔炎:マクロライド系抗菌薬を少量ずつ長く使う「マクロライド少量長期療法」が行われることがあります。これは菌を殺すというより、炎症をしずめる働きを期待した治療です。改善しない場合には、内視鏡を使った手術(ESS)が検討されることもあります。

自分でできるケアと予防

  • 鼻うがい:生理食塩水での鼻洗浄は、鼻腔を清潔に保ち、症状をやわらげる助けになります。
  • 鎮痛薬:頭痛がつらい時は市販の鎮痛薬で和らげられることがありますが、痛みを抑えるだけで原因が治るわけではない点に注意が必要です。
  • 温める:蒸しタオルを鼻や目の周りに当てると、症状が和らぐと感じる方もいます。
  • 予防:アレルゲンを避ける、室内の湿度を40〜60%に保つ、片方ずつ優しく鼻をかむ、といった工夫が慢性化の予防に役立ちます。

注意
市販薬やセルフケアで改善しない、繰り返す、という場合は医療機関での治療が必要です。前述のとおり、その頭痛が片頭痛であれば、片頭痛に合った治療のほうが効果的なことがあります。



5. 注意したい副鼻腔炎の合併症

副鼻腔炎の多くは、適切な治療によって改善します。ただし、まれに炎症が副鼻腔の周囲、特に目(眼窩)や脳(頭蓋内)へ広がることがあり、この場合は注意が必要だと報告されています(戸嶋・清水 2018)。


  • 目への波及:眼窩(がんか)に炎症が広がると、眼窩蜂窩織炎(がんかほうかしきえん)や眼窩内膿瘍などを起こすことがあり、まぶたの腫れ・目の痛み・ものが見えにくいといった症状につながることがあります。
  • 脳への波及:頭蓋内に炎症が広がると、髄膜炎(ずいまくえん)や脳膿瘍(のうのうよう)などを起こすことがあると報告されています。

こんな症状はすぐに受診を
これらの合併症はまれですが、治療が遅れると重い症状を残すことがあります。急に強い頭痛が出た/高熱を伴う/まぶたや目のまわりが腫れる・見えにくい/意識がぼんやりする/けいれんがあるといった場合は、我慢せず、できるだけ早く医療機関を受診してください。



6. 頭痛があるとき何科を受診する?

鼻づまりや鼻水など鼻の症状が中心の場合は、耳鼻咽喉科が専門の窓口です。一方で、頭痛が主な症状で原因がはっきりしない場合や、これまで経験したことのない強い頭痛がある場合は、MRIやCTを備えた脳神経外科(頭痛外来)を受診するのも一つの選択肢です。

というのも、頭痛の背景には副鼻腔炎だけでなく、片頭痛のように頭痛そのものへの治療が必要なものや、脳腫瘍・くも膜下出血のように見逃してはいけない病気が隠れていることもあるためです。脳神経外科では、画像検査で危険な頭痛を見分けたうえで、副鼻腔炎が見つかれば耳鼻咽喉科と連携して対応します。

「鼻の症状が強い」なら耳鼻咽喉科、「頭痛が主役で原因がわからず不安」なら、まず頭痛外来のある脳神経外科へ——という整理を覚えておくと安心です。当院でも、頭痛の原因さがしのお手伝いをしています。



7. よくある質問

Q. 副鼻腔炎の頭痛はどんな痛みですか?

額・頬・目の奥など顔の前面に、重い痛みや圧迫感が出やすいのが特徴です。前かがみで強くなったり、朝に強かったりする傾向があり、鼻づまりや色のついた鼻水を伴うことも多いです。

Q. 副鼻腔炎の頭痛と片頭痛はどう違いますか?

片頭痛は片側が脈打つように痛み、光・音・においへの過敏や吐き気を伴うのが特徴です。副鼻腔炎は鼻症状や顔の圧痛を伴う傾向があります。ただし「副鼻腔炎の頭痛」と思っても実際は片頭痛のことが多いと報告されており、見分けには受診が役立ちます。

Q. 頭痛がある副鼻腔炎は何科を受診すればいいですか?

鼻の症状が中心なら耳鼻咽喉科が専門です。頭痛が主で原因がはっきりしない場合や強い頭痛がある場合は、MRI・CTで危険な頭痛を見分けられる脳神経外科(頭痛外来)も選択肢になります。

Q. 市販の頭痛薬で治りますか?

鎮痛薬で痛みが和らぐことはありますが、副鼻腔炎そのものの原因が治るわけではありません。症状が長引く・繰り返す場合は、医療機関での治療をご検討ください。

Q. 副鼻腔炎を放置するとどうなりますか?

多くは適切な治療で改善しますが、まれに目や脳に炎症が広がる合併症のリスクがあります。症状が強い・長引く場合や、高熱・目の腫れ・見えにくさなどを伴う場合は、早めにご相談ください。



8. まとめ

  1. 副鼻腔炎は副鼻腔に炎症が起こる病気で、痛む場所は炎症のある副鼻腔の位置と一致しやすく、前かがみや起床時に強くなる傾向があります。
  2. 「副鼻腔炎の頭痛」と思っても、”副鼻腔の頭痛”と自己判断・医師診断されていた人を対象にした研究では約88%が実際には片頭痛の診断基準を満たしたと報告されており、繰り返す頭痛は片頭痛として対処したほうが和らぐ場合があります。
  3. 蝶形骨洞や前頭洞の炎症の把握、そして危険な頭痛の除外には、MRIやCTなどの画像検査が役立ちます。
  4. 治療は急性・慢性で異なり、まれに目や脳へ広がる合併症もあるため、症状が強い・長引く場合は早めの受診が大切です。

頭痛の正体を正しく知ることが、つらさから抜け出す第一歩です。「副鼻腔炎かな」と思っても繰り返す頭痛は、一度しっかり原因を確かめてみませんか。あなたに合った対処が、きっと見つかります。



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重要:本記事の位置づけ(医療情報として)

  • 本記事は、研究報告や公的資料に基づく「一般的な医療情報」であり、診断・治療の代替ではありません。
  • 特定の治療を推奨・保証するものではありません。症状や効果には個人差があります。
  • 実際の診断・治療は、症状・既往歴・全身状態などを踏まえて医師が判断します。
この記事を書いた先生のプロフィール

医師・医学博士【脳神経外科専門医・頭痛専門医 ほか】
脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。脳卒中予防に重点をおいた内科管理や全身管理を得意としています。
脳の病気は、目が見えにくい、頭が重たい、めまい、物忘れなど些細な症状だと思っていても重篤な病気が潜んでいる可能性があります。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

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参考文献

  1. 戸嶋一郎・清水猛史 2018, ‘眼窩・頭蓋内へ進展した急性鼻副鼻腔炎への対応’, 日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会会誌, vol. 6, no. 2, pp. 55-60, viewed 3 June 2026, <https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsiao/6/2/6_55/_pdf/-char/ja>.
  2. 日本鼻科学会編 2014, ‘急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン 2010年版(追補版)’, 日本鼻科学会会誌, vol. 53, no. 2, pp. 103-160, viewed 3 June 2026, <https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrhi/53/2/53_103/_article/-char/ja/>.
  3. Eross, E, Dodick, D & Eross, M 2007, ‘The Sinus, Allergy and Migraine Study (SAMS)’, Headache, vol. 47, no. 2, pp. 213-224, viewed 3 June 2026, <https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17300361/>.
  4. MSDマニュアル プロフェッショナル版 n.d., 眼窩隔膜前蜂窩織炎および眼窩蜂窩織炎, viewed 3 June 2026, <https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/17-眼疾患/眼窩疾患/眼窩隔膜前蜂窩織炎および眼窩蜂窩織炎>.
  5. Schreiber, CP, Hutchinson, S, Webster, CJ, Ames, M, Richardson, MS & Powers, C 2004, ‘Prevalence of migraine in patients with a history of self-reported or physician-diagnosed “sinus” headache’, Archives of Internal Medicine, vol. 164, no. 16, pp. 1769-1772, DOI 10.1001/archinte.164.16.1769, viewed 3 June 2026, <https://doi.org/10.1001/archinte.164.16.1769>.