いつもより睡眠時間が短くなったり、寝不足が続いたりしたとき、ズキズキと感じるような頭痛が起きた経験ありませんか?寝不足や不眠で起こる頭痛の原因と対処方法について本記事で解説します。

 

―目次―

寝不足が引き起こす頭痛のメカニズム

寝不足による頭痛の影響

寝不足による頭痛の治療方法

寝不足を治すための生活習慣

寝不足が健康に与える影響

 

 

寝不足が引き起こす頭痛のメカニズム

 

頭痛が起きる原因の一つに、寝不足があることはよく知られています。

しかし、その具体的なメカニズムは完全には分かっていません。それでも多くの研究により、いくつかの可能性が示されています。

 

まず睡眠は私たちの脳と身体にとって、とても重要な役割を果たしています。睡眠中には、細胞の修復、免疫機能の強化、記憶の整理など、多くの作業が体内で行われています。しかし寝不足になると、これらの作業が充分に行われず、身体のストレス反応が増加し頭痛を引き起こすと考えられています。

 

二つ目として、睡眠不足は脳内の神経伝達物質のバランスを乱す可能性が考えられています。セロトニンという神経伝達物質は、痛みを調節する役割を果たしています。寝不足はセロトニンのレベルを下げて、頭痛を引き起こすとされています。

 

さらに寝不足は血流を変化させることも知られています。睡眠中は脳への血流が増加し、酸素や栄養素が脳に供給されます。しかし、寝不足によりこれらの供給が不足すると、脳が痛みを感じて頭痛になると考えられています。

 

その他にも、慢性的な寝不足が炎症反応を引き起こすことも考えらます。炎症は頭痛の原因の一つで、慢性的な頭痛を引き起こす可能性があります。

 

このような理由から、十分な睡眠を確保することは頭痛を予防するために重要です。

また寝不足が頭痛を引き起こす場合、睡眠の質を改善することで頭痛の緩和が期待できます。

 

寝不足による頭痛の影響

 

寝不足による頭痛は、日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

集中力の低下

寝不足による頭痛は集中力や記憶力の低下を引き起こす可能性があります。これは仕事や学校生活などに影響してしまいます。運転している人であれば、居眠り運転による交通事故のリスクにもなってしまいます。

 

ストレスへの影響

寝不足による頭痛で、気分の低下やイライラを引き起こし、日常生活のストレスを増加させる可能性があります。これは職場での人間関係に影響を及ぼす可能性があります。

片頭痛とストレスの関係

 

生活の質の低下

頭痛は日常生活の楽しみを奪ってしまう可能性があります。趣味やレクリエーション、家族や友人との時間など、本来楽しいはずの時間が楽しめなくなってしまいます。例えば旅行のときに頭痛が起きてしまわないか不安という相談は、当院ではよく聞く内容です。

 

睡眠の質の低下

寝不足による頭痛は、睡眠障害をさらに悪化させてしまう可能性があります。頭痛による不快感が睡眠をジャマすることで、さらなる頭痛を引き起こすという悪循環にはまってしまいます。

寝不足による頭痛を軽減するためには、適切な睡眠時間を確保することが重要です。そのためにもライフスタイルの改善や、睡眠の質を改善が大切です。これにより、頭痛を予防し、日常生活の質を高めることができます。

当院では、医師がすすめる健康枕『もっと首楽寝』も紹介していますので、気になる方はスタッフにお気軽にご相談ください。

 

 

 

 寝不足による頭痛(片頭痛・緊張型頭痛)と治療方法

 

寝不足は頭痛を引き起こす一因となります。とくに片頭痛や緊張型頭痛といった頭痛は寝不足と関係すると言われています。

 

寝不足と片頭痛

片頭痛の原因は完全には分かっていませんが、寝不足が原因で起こることが多いと言われています。睡眠時間が足りないと脳の中の神経伝達物質のバランスが崩れて、それが片頭痛を引き起こすと考えられています。

片頭痛の特徴は、強い頭痛と吐き気、光や音に対する過敏さといった症状を伴うことが多いです。とくに頭の片側が非常に痛むと言われています。

 

治療は発作の生活指導と薬剤による治療を主に行います。生活指導では適切な睡眠時間の確保、ストレス管理、適度な運動、健康的な食事などが大切です。

症状の管理には主に頭痛薬を用いますが、最近では抗CGRP製剤という新しい治療薬も選択肢になります。当院では抗CGRP製剤の使用実績は全国TOPクラスと豊富です。お気軽にご相談ください。

 

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寝不足と緊張型頭痛

緊張型頭痛は、頭全体が締め付けられるような痛みが特徴で、主にストレスや筋肉の緊張が原因となります。寝不足は筋肉の緊張を増やし、ストレスを引き起こすため、これが緊張型頭痛を誘発します。

治療は、まず痛みを和らげることと再び頭痛が起こるのを防ぐことに焦点を当てます。痛みを和らげるためには、痛み止めの薬が使われることがあります。また、再発を防ぐためには、十分な睡眠時間を確保することや、ストレスを減らすこと、適度な運動をすることなどが大切です。

これらの頭痛は寝不足だけでなく、寝すぎによっても起こることが知られています。

 

「寝すぎによる頭痛の原因と治し方」

 

 

寝不足を治すための生活習慣

寝不足による頭痛は、適切な睡眠管理とライフスタイルの改善によって予防・治療することも可能です。

 

適切な睡眠時間の確保

最も重要なのは適切な睡眠時間を確保することです。一般的に成人の場合、一晩に7〜9時間の睡眠が推奨されています。

 

生活リズムの維持

毎日おなじ時間に寝ることが重要です。また、朝日を浴びることで体内時計をリセットすることも効果的です。

 

睡眠環境を整える

睡眠環境を整えることも重要です。寝室は暗く、静かで、適切な温度に保つようにしましょう。スマートフォンのライトも睡眠に影響するので、就寝前に見るのは避けましょう。

 

ストレス対策

ストレスは睡眠の質を低下させ、頭痛を引き起こす可能性があります。リラクゼーションや適度な運動、趣味などを通じて、普段からストレスの軽減を心がけましょう。

 

カフェインやアルコールの摂取を控える

カフェインやアルコールは睡眠の質を低下させる可能性があります。とくに寝る前の摂取は避けましょう。

 

食事を意識する

大量の食事や重い食事は睡眠を妨げる可能性があります。特に寝る前の2〜3時間は食事を避け、軽い食事を心掛けましょう。

 

適切な運動

適度な運動は睡眠の質を改善します。ただし、就寝直前の激しい運動は避け、運動後は少なくとも1〜2時間は経過してから寝るようにしましょう。

 

専門医との相談

寝不足による頭痛が慢性化している場合や、これらの対策を試しても改善しない場合は、専門医に相談することが重要です。

 

寝不足による頭痛の治療は、基本的には適切な睡眠時間と健康的なライフスタイルの維持が重要です。それでも頭痛が続く場合は、早めに専門家に相談することが大切です。

 

いわた脳神経外科クリニックでは医師だけでなく、頭痛看護師・頭痛心理士・栄養士がチーム医療で患者さんに寄り添って治療に加えて生活指導もしています。

いつでも気軽にご相談ください。

 

 

寝不足が健康に与える影響

 

寝不足はただ眠いだけでなく、身体的、精神的な症状にも影響を及ぼすことがあります。

以下に事例を紹介していきますので、心当たりがないか確認してみてください。

 

頭痛とめまい

本記事で紹介してきたように、寝不足は頭痛やめまいを引き起こすことがあります。これは脳が十分な休息を得られないことで、神経系が過敏になり、痛みを感じやすくなるためです。

めまいを伴う頭痛は危険!可能性のある病気とその対処法

免疫機能の低下

睡眠は免疫システムにとっても重要です。寝不足は免疫機能を低下させ、風邪や感染症に対する抵抗力を弱めます。

 

高血圧

長期的な寝不足は高血圧につながり、心疾患のリスクを増加させる可能性が指摘されています。

 

体重増加

寝不足は食欲を調節するホルモンのバランスを乱し、過食を引き起こす可能性があります。食べ過ぎることで体重増加のリスクにつながります。

 

うつ病

長期的な寝不足はうつ病のリスクを高める可能性があります。

 

視覚障害

寝不足は視覚に問題を引き起こすことがあります。

視力の低下や、二重視などの症状が現れるたら注意してください。

 

胃腸症状

吐き気や食欲不振、消化不良、便秘など、胃腸の問題を引き起こすことがあります。とくに吐き気は頭痛に伴ってみられる症状の一つなので、注意が必要です。

 

以上のように、寝不足は頭痛だけでなく、体全体に大きな影響を及ぼします。そのため十分な睡眠を確保し、健康的な生活習慣を心掛けることが重要です。また、これらの症状が続く場合は、専門医に相談することが必要です。

 

 

 

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この記事を書いた先生のプロフィール

医師・医学博士【脳神経外科専門医・頭痛専門医 ほか】
脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。脳卒中予防に重点をおいた内科管理や全身管理を得意としています。
脳の病気は、目が見えにくい、頭が重たい、めまい、物忘れなど些細な症状だと思っていても重篤な病気が潜んでいる可能性があります。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

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