
この記事で分かること
- 赤ちゃんの頭のゆがみは珍しいものではなく、生後7〜12週の乳児の46.6%に何らかの斜頭がみられ、その約8割は軽度と報告されています(Mawji et al. 2013)。
- ヘルメット治療を検討する場合、開始が遅れるほど成績が下がることが報告されており、開始時期としては生後5〜6か月ごろが挙げられています(Kluba et al. 2011)。相談は生後3〜4か月ごろが目安になります。
- 月齢に関わらず早めの相談をおすすめするサイン(生まれたときからの強い左右差、頭の骨の隆起、首が一方向にしか向かない、頭囲の急な増加など)があります。
- 当院の「赤ちゃんの頭のかたち外来」は、診察 → 3D撮影とレントゲン → 結果説明 → 必要な場合に治療開始 → 約1か月ごとの検診、という流れで進みます。
- ヘルメット治療は自由診療(保険適用外)で、費用・皮膚トラブルなどの副作用・効果の限界があり、すべてのお子さまに必要な治療ではありません。
「頭のかたちがちょっと平べったい気がする」「向き癖が強くて、いつも同じ方を向いて寝ている」——赤ちゃんの後頭部を上から見て、ふとそう感じたことはないでしょうか。健診で「様子を見ましょう」と言われたけれど、本当にこのままでいいのか気になっている、という方も少なくないと思います。
一方で、「相談したいけれど、どのタイミングで、どこに行けばいいのか分からない」「大げさに心配していると思われないだろうか」というためらいもあるかもしれません。実際、当院にお越しになる保護者の方から最も多くいただくご質問のひとつが「いつ受診すればよかったのか」というものです。
この記事では、赤ちゃんの頭のかたちについて相談する時期の考え方と、当院の「赤ちゃんの頭のかたち外来」で実際にどのような流れで進むのかを、研究報告と当院の診療内容にもとづいて整理してご説明します。治療を受けるかどうかを決めてから来ていただく必要はありません。「まず知りたい」という段階の方に向けた記事です。
頭のかたちのゆがみには、寝る姿勢や向き癖による「位置的(体位性)なもの」と、頭蓋骨のつなぎ目が早く閉じてしまう病気(頭蓋骨縫合早期癒合症)によるものがあり、対応がまったく異なります。見分け方については頭のゆがみの原因となる頭蓋骨縫合早期癒合症の記事もあわせてご覧ください。
目次
大阪で赤ちゃんの頭のかたちが気になる方は、いわた脳神経外科クリニックへどうぞ。計測だけのご相談も承っています。
1. 頭のゆがみは珍しくありません
まず、知っておいていただきたいことがあります。赤ちゃんの頭のゆがみは、けっして特別なことではありません。
カナダ・カルガリーで行われた調査では、2か月健診に訪れた生後7〜12週の健康な満期産児440人を診察したところ、205人(46.6%)に何らかの斜頭(頭の左右非対称)が認められました。そのうち78.3%は軽度で、63.2%は右側が平らになっていたと報告されています(Mawji et al. 2013, p. 298)。
なぜ増えたのでしょうか
米国小児科学会(AAP)は、1990年代初頭以降、頭の非対称をもつ子どもが増えたのは、乳幼児突然死症候群(SIDS)を減らすための「仰向け寝」の推奨が広まったことと関連している可能性が高いとしています。ただし同学会は、それでもなお健康な赤ちゃんは仰向けで寝かせるべきであると明確に述べています。仰向け寝によってSIDSが大きく減ったからです(Laughlin et al. 2011, p. 1236)。
つまり、頭のかたちのゆがみは「育て方が悪かったから」起きるものではありません。むしろ、赤ちゃんの命を守るために推奨されている寝かせ方と表裏一体の、ごくありふれた現象なのです。ご自分を責める必要はまったくありません。
「よくあること」と「様子を見てよい」は同じではありません
一方で、「よくあること=すべて放っておいてよい」と言い切れるわけでもありません。AAPは、位置的な頭蓋変形は一般に良性で可逆的であり、手術を必要とするものではないとしています(Laughlin et al. 2011, p. 1236)。これは大きな安心材料です。しかし、ゆがみの程度が中等症以上になると、体位の工夫だけでは戻りにくくなることがあり、また頭蓋骨縫合早期癒合症という別の病気が隠れている可能性もあります。
だからこそ、「軽いのか、そうでないのか」「病気ではないと言い切れるのか」を一度きちんと確認しておくことに意味があります。確認した結果「軽度なので家庭でのケアで十分です」となるのであれば、それも受診の立派な成果です。
2. 受診の目安は月齢で変わります
頭のかたちの相談は、月齢によって「できること」が変わります。これは、赤ちゃんの頭蓋骨が生後数か月のあいだに急速に大きくなり、その成長する力そのものが、かたちを整える原動力になるためです。成長のスピードが落ちてくると、外から働きかけて得られる変化も小さくなっていきます。
開始が遅れると成績が下がると報告されています
ドイツで行われた前向き研究では、重度の位置的斜頭症の乳児62人を、生後6か月未満で治療を開始した群(24人)と、6か月を超えてから開始した群(38人)に分けて比較しています。その結果、治療期間は6か月未満群で14週、6か月超群で18週と、早く始めた群のほうが有意に短くなりました(p = 0.013)。
さらに、頭蓋の非対称の程度を示すCVAI(Cranial Vault Asymmetry Index)は、6か月未満群では正常範囲とされる3.5%未満まで下がった一方、6か月超群は4.5%にとどまり正常値には届きませんでした(p = 0.021)。非対称の改善率も75.3%対60.6%と差がついています(p = 0.001)。著者らは、治療開始に適した時期は生後5〜6か月であり、開始が遅れると成績が有意に悪化すると結論づけています(Kluba et al. 2011, pp. 492-498)。
専門学会の整理
米国神経外科学会議(CNS)が2016年にまとめた系統的レビューでも、ヘルメット治療は保存的な対応と比べて頭のかたちの改善がより大きく、より速いという非ランダム化研究の蓄積があり、特にゆがみが重度の場合、そして乳児期の適切な時期に行われた場合にその傾向がみられるとされています。一般に、初診時のゆがみが強い児と、乳児期の早い時期にヘルメットを装着した児のほうが、より大きな矯正(正常化を含む)が得られる傾向があるとまとめられています。ただし同レビューは、変形の測り方や最も適した時期の具体的な基準については、なお定まっていないとも述べています(Tamber et al. 2016, pp. E632-E633)。
月齢別・相談のタイミングの目安
以上をふまえた、一般的な目安を整理します。あくまで考え方の枠組みであり、実際の判断はお子さまの状態を診察したうえで行います。
図1:月齢でみる、相談と治療開始の目安
| 月齢 | この時期にできること | 相談の位置づけ |
|---|---|---|
| 生後0〜2か月 | 寝る向きの工夫、抱っこの向きを変える、起きているときのタミータイム | まずは家庭でのケアが中心。向き癖が強い、首が一方向にしか向かない場合は、この時期でもご相談ください |
| 生後3〜4か月 | 家庭でのケアを続けつつ、ゆがみの程度を客観的に計測して把握する | 相談の目安となる時期。ヘルメット治療を検討する場合も、慌てずに判断する余裕があります |
| 生後5〜6か月 | 治療を行う場合、開始時期として研究で挙げられている範囲 | 検討しているならこの時期までの受診が望ましいと考えられます(Kluba et al. 2011) |
| 生後7〜8か月 | 開始できる場合もありますが、得られる改善は小さくなりやすい時期です | 可能かどうかを含めて、早めに診察でご確認ください |
| 生後9か月以降 | ヘルメット治療の対象外となることが多くなります | 今後の見通しの説明や、病気が隠れていないかの確認が中心になります |
表の読み方について
適応となる月齢は、使用するヘルメットの製品や施設の方針によって幅があります。上の表は研究報告をもとにした一般的な目安であり、月齢だけで機械的に線を引くものではありません。ゆがみの程度、頭蓋の成長の余地、首のすわりや向き癖の状態などを合わせて判断します。
3. 早めに相談してほしいサイン
ここまで月齢の話をしてきましたが、月齢に関係なく、早めにご相談いただきたい状態があります。位置的な変形ではなく、別の病気が背景にある可能性を考える必要があるためです。
早めの受診をおすすめするサイン
- 生まれたときから頭のかたちの左右差がはっきりしている、または月齢とともにゆがみが強くなっている
- 頭のどこかに、硬く盛り上がった筋のような隆起を触れる
- いつも同じ方向ばかりを向き、反対に向けようとすると強く嫌がる(筋性斜頸の可能性があります)
- 頭囲が急に大きくなった、または成長曲線から外れてきた
- 大泉門が張って硬い、ぐったりしている、噴水のように吐く(この場合はできるだけ早く受診してください。大泉門のへこみ・ふくらみの記事もご参照ください)
- 寝返りや首のすわりなど、発達の様子が気になる
特に注意が必要なのが、頭蓋骨のつなぎ目(縫合)が早く閉じてしまう頭蓋骨縫合早期癒合症です。AAPも、位置的な頭蓋変形と、神経学的な障害や進行性の頭蓋顔面の変形をきたしうる頭蓋骨縫合早期癒合症とを、きちんと区別する必要があると述べています(Laughlin et al. 2011, p. 1236)。位置的な変形と違い、自然に改善することはなく、治療の方針もまったく異なります。
「病気かもしれない」と思って受診していただく必要はありません。むしろ、病気ではないことを確認するための受診だとお考えください。
気になるサインがある場合は、月齢を待たずにご相談ください。
4. 頭のかたち外来の流れ
当院の「赤ちゃんの頭のかたち外来」は、次の流れで進みます。初めての場所に赤ちゃんを連れて行くのは気を使うものですので、あらかじめ全体像を知っておいていただければと思います。
初診から卒業までの7ステップ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① 来院 | ご予約のうえご来院いただきます |
| ② 診察 | これまでの経過をうかがい、頭のかたち、向き癖、首の動きなどを診察します |
| ③ 3D撮影+レントゲン | 頭部形状の3Dスキャンで、ゆがみの程度を数値として把握します。あわせて、頭蓋骨縫合早期癒合症などの骨の病気がないかを確認するためレントゲン撮影を行います(レントゲンは保険適用です) |
| ④ 結果説明 | 解析結果が出たあと、あらためて診察でご説明します。ここで治療が必要かどうかを一緒に考えます |
| ⑤ 治療開始 | 適応があり、ご家族が希望された場合にヘルメット治療を開始します。3Dスキャンから約2週間でオーダーメイドのヘルメットが完成します |
| ⑥ 定期検診 | 約1か月ごとに、装着状況と頭のかたちの変化を確認します |
| ⑦ 卒業 | おおむね4〜6か月後に治療終了となります |
ヘルメット治療の対象となるのは、病的なゆがみの疑いがなく、中等症以上と診断されたお子さまです。左右差のある斜頭症だけでなく、後頭部が平らな短頭症(いわゆる絶壁)も対象となります。
図2:初診から卒業までのスケジュール
レントゲン撮影について
CNSの系統的レビューでは、位置的斜頭症の診断は診察で足りることが多く、画像検査が必要になることはまれで、診察所見がはっきりしない場合に限って行うべきだとされています。また、診断目的でのCT撮影は行うべきでなく、必要となるのは頭蓋骨縫合早期癒合症を除外する場合であると述べられています(Mazzola et al. 2016, pp. E625-E626)。当院でレントゲン撮影を行っているのは、この「骨の病気の除外」を丁寧に行うためです。検査の必要性についてご不安があれば、診察の際に遠慮なくお尋ねください。
ご予約と、あるとよいもの
ご予約は、デジスマ診療のWEB予約からお取りいただけます。ご質問だけであれば、当院公式LINEからもお受けしています。
受診の際は、母子健康手帳をお持ちいただくと、出生時の状況や頭囲の経過が分かり、診察がスムーズです。また、気になり始めたころのお子さまの頭を真上から撮った写真があれば、変化の見当がつきやすくなります。撮っていなくても問題ありませんので、ご負担のない範囲でご用意ください。
5. 費用とリスク・効果の限界
ヘルメット治療を検討していただくうえで、良い面だけでなく、費用・副作用・効果の限界についても正直にお伝えしておく必要があると考えています。
費用(自由診療を含みます)
初診時の診察とレントゲン撮影は保険診療です。一方、ヘルメット本体は保険適用外の自由診療となります。2026年9月時点の当院の費用は次のとおりです(2025年5月1日改定・税込)。
| ヘルメット製品 | 費用(税込) |
|---|---|
| baby band | 370,000円 |
| ReMO baby | 398,000円 |
装着は1日23時間が目安で、治療期間は月齢や重症度によって異なりますが、おおむね2〜6か月です。定期検診はその間、約1か月ごとにおおむね4〜6回程度で、その都度、保険診療の再診料と3D撮影料(各1,100円・税込)がかかります。費用は改定される場合がありますので、受診時にご確認ください。
なお、当院で使用しているヘルメットは、国内で「頭蓋形状矯正ヘルメット」として管理医療機器の承認を受けた製品です(baby band の場合、医療機器承認番号 30400BZX00090000 ほか)。海外製の未承認品を用いるものではありません。製品ごとの違いについては、ReMO baby と baby band を医師が比較した記事で詳しく解説しています。
起こりうる副作用
ヘルメット治療では、皮膚の発赤やかぶれ、汗やにおい、装着中の不快感、赤ちゃんが嫌がる時期があるといったことが起こりえます。オランダで行われたランダム化比較試験では、ヘルメットを装着した保護者の全員が、1つ以上の副作用を報告したとされています(van Wijk et al. 2014, p. g2741)。多くは装着の調整やケアで対応できるものですが、まったく負担のない治療ではありません。
効果については研究で結論が分かれています
先ほどのオランダの研究(HEADS試験)は、生後5〜6か月で中等症から重症の頭蓋変形がある乳児84人を、ヘルメット治療群42人と自然経過群42人に無作為に割り付けたものです。2歳時点で評価したところ、斜頭・短頭のいずれについても両群の変化に差は認められず(平均差 −0.2、95%信頼区間 −1.6〜1.2、P = 0.80/0.2、−1.7〜2.2、P = 0.81)、完全な改善が得られたのはヘルメット群39人中10人(26%)、自然経過群40人中9人(23%)でした。ここでいう「差が認められなかった」とは、両群の平均の差がごくわずかで、偶然の範囲を超えるとはいえなかった、という意味です。著者らは、効果が同等であること、副作用の頻度が高いこと、費用が高額であることを理由に、健康な乳児の中等症〜重症の頭蓋変形に対してヘルメットを標準的な治療とすることは勧めないと結論しています(van Wijk et al. 2014, p. g2741)。
この研究の読み方
この試験は84人と規模が大きくなく、装着時間がどの程度守られたかによって結果が左右されうる点、開始月齢や使用機器が日本の実情と必ずしも一致しない点などの限界が指摘されています。一方、前述のCNSの系統的レビューは、ランダム化されていない研究を含めるとヘルメット治療のほうが改善が速く大きいとまとめています(Tamber et al. 2016, pp. E632-E633)。つまり、現時点で「誰にでも当てはまる唯一の答え」は存在しません。効果や副作用には個人差があり、すべてのお子さまに必要な治療でもありません。当院では、こうした賛否の両方をお伝えしたうえで、ご家族と一緒に方針を決めています。
6. 迷ったときの考え方
「治療をするかどうか決めていないのに受診してもいいのだろうか」と迷われる方は、とても多くいらっしゃいます。結論から申し上げると、決めていない段階での受診で問題ありません。
頭のかたちの悩みが難しいのは、鏡で見ても「どのくらいゆがんでいるのか」が分からない点にあります。毎日見ているぶん、強く気になってしまうこともあれば、逆に慣れてしまって見過ごすこともあります。3D計測でCVAIなどの数値として示されると、「思ったより軽度だった」と安心される方も、「やはり一度相談してよかった」と納得される方もいらっしゃいます。どちらであっても、判断の材料が手に入ることに意味があります。
参考までに、真上から見たときのゆがみのタイプを図に示します。左右差のある斜頭症、前後が短い短頭症(いわゆる絶壁)、前後に長い長頭症があり、計測ではそれぞれ図の矢印の向きの長さや左右差を確認していきます。頭が縦長に見える場合については、新生児の頭が長い・縦長に見える原因の記事もあわせてご覧ください。
図3:真上から見た頭のかたちのタイプ(イメージ)

家庭でできることも並行して続けてください
受診をお待ちいただく間も、寝る向きの工夫、抱っこの向きを変える、起きているときのタミータイムといった家庭でのケアは続けていただけます。具体的な方法は自宅でできる頭の形ケアの記事で、頭のかたちの種類ごとの違いは頭の形のゆがみ完全ガイドでまとめています。
そして、生後9か月を過ぎてからご相談いただいた場合でも、できることがなくなるわけではありません。病気が隠れていないかを確認し、今後の見通しをお伝えすることは、いつの時期でも意味があります。「もう遅いかもしれない」と受診をためらう必要はありません。
7. よくある質問
Q. 何か月ごろに受診するのがよいですか?
A. ヘルメット治療を検討される可能性がある場合は、生後3〜4か月ごろのご相談が目安になります。治療の開始時期としては生後5〜6か月ごろが報告されており(Kluba et al. 2011)、そこから逆算すると、判断や準備の時間を確保できるためです。ただし、向き癖が強い、首が一方向にしか向かないといった場合は、それより早い時期でもご相談ください。
Q. 予約は必要ですか。何科を受診すればよいですか?
A. ご予約をお願いしています。デジスマ診療のWEB予約からお取りいただけます。頭のかたちの評価と頭蓋骨の病気の鑑別は脳神経外科が専門とする領域ですので、当院では脳神経外科医が診察いたします。ご質問だけであれば、公式LINEからもお受けしています。
Q. ヘルメット治療は、頭のかたちが気になる子ども全員に必要ですか?
A. いいえ。対象となるのは、病的なゆがみの疑いがなく、中等症以上と診断されたお子さまです。生後7〜12週の調査では斜頭のある乳児の78.3%が軽度と報告されており(Mawji et al. 2013, p. 298)、多くのお子さまは家庭でのケアと経過観察で対応できます。
Q. 治療を始めず、様子を見るという選択はできますか?
A. できます。オランダのランダム化比較試験では、2歳時点でヘルメット群と自然経過群に差が認められなかったと報告されています(van Wijk et al. 2014)。一方で、早期に開始した場合により大きな改善が得られたとする報告もあり(Kluba et al. 2011; Tamber et al. 2016)、研究によって結論が分かれています。当院では両方の見方をお伝えしたうえで、ご家族に選んでいただいています。
Q. レントゲン撮影の被ばくが心配です。
A. ご心配はもっともです。当院がレントゲンを行うのは、自然には改善しない頭蓋骨縫合早期癒合症を見落とさないためです。CNSの系統的レビューでも、診断目的でのCTは行うべきでないとされる一方、頭蓋骨縫合早期癒合症の除外には画像が必要になりうるとされています(Mazzola et al. 2016)。検査の目的や必要性については、診察の際にご説明しますので、疑問はその場でお尋ねください。
Q. 生後9か月を過ぎました。もう手遅れでしょうか?
A. ヘルメット治療の対象からは外れることが多い時期ですが、受診の意味がなくなるわけではありません。病気が隠れていないかの確認、今後の見通しのご説明、生活のなかでできる工夫のご提案はいつの時期でも可能です。位置的な頭蓋変形は一般に良性で可逆的とされており(Laughlin et al. 2011)、髪が生えそろうにつれて目立ちにくくなることもあります。
8. まとめ
- 赤ちゃんの頭のゆがみは珍しいものではなく、生後7〜12週の乳児の46.6%に何らかの斜頭がみられ、その78.3%は軽度と報告されています(Mawji et al. 2013)。
- 位置的な頭蓋変形は一般に良性で可逆的とされていますが、頭蓋骨縫合早期癒合症との区別は必要です(Laughlin et al. 2011)。
- ヘルメット治療を検討する場合、開始時期として生後5〜6か月ごろが報告されており、遅れると成績が低下するとされています(Kluba et al. 2011)。相談は生後3〜4か月ごろが目安です。
- 生まれたときからの強い左右差、頭の骨の隆起、首が一方向にしか向かない、頭囲の急な増加などがあれば、月齢を待たずにご相談ください。
- 当院の外来は、診察 → 3D撮影とレントゲン → 結果説明 → 必要な場合に治療開始 → 約1か月ごとの検診 → 4〜6か月後に卒業、という流れです。
- ヘルメット本体は自由診療で、皮膚トラブルなどの副作用があり、効果についても研究で結論が分かれています。すべてのお子さまに必要な治療ではありません。
「気にしすぎかもしれない」と感じている方こそ、一度ご相談いただければと思います。受診して「軽度なので家庭でのケアで十分です」と確認できることにも、大きな意味があります。治療をするかどうかを決めてからお越しいただく必要はありません。私たちは、ご家族が納得して選べるように材料をお渡しする役割だと考えています。
お問い合わせ・ご予約
赤ちゃんの頭のかたちや向き癖が気になる方は、お気軽にご相談ください。計測だけのご相談も承っています。ご予約は、下記から可能です。
当院公式LINEにてご質問等もお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。
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重要:本記事の位置づけ(医療情報として)
- 本記事は、研究報告や公的資料に基づく「一般的な医療情報」です。診断・治療の代替ではありません。
- 特定の治療を推奨・保証するものではありません。効果や副作用には個人差があります。
- ヘルメット治療は保険適用外の自由診療です。費用・治療期間・副作用については本文の記載をご確認ください。費用は改定される場合があります。
- 引用した研究には、対象者数や測定方法などの限界があり、結論が一致していない点についても本文中に記載しています。
- 実際の治療は、お子さまの状態・経過・ご家族の希望を踏まえて医師が判断します。
参考文献
- Kluba, S, Kraut, W, Reinert, S & Krimmel, M 2011, ‘What is the optimal time to start helmet therapy in positional plagiocephaly?’, Plastic and Reconstructive Surgery, vol. 128, no. 2, pp. 492-498, DOI 10.1097/PRS.0b013e31821b62d6, viewed 15 September 2026, <https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21788840/>.
- Laughlin, J, Luerssen, TG & Dias, MS 2011, ‘Prevention and management of positional skull deformities in infants’, Pediatrics, vol. 128, no. 6, pp. 1236-1241, DOI 10.1542/peds.2011-2220, viewed 15 September 2026, <https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22123884/>.
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