頭痛薬の種類と選び方を解説する記事のイメージ

この記事で分かること

頭痛薬は「市販薬」か「処方薬」か、そして「痛みを抑える急性期の薬」か「頭痛を起こりにくくする予防の薬」かで、大きく整理できます。アセトアミノフェン・NSAIDs・トリプタン・ジタン・CGRP関連薬まで、頭痛専門医がやさしく俯瞰します。
自分の頭痛にどのタイプの薬が向くのか、市販薬と処方薬の使い分け、痛み止めの使いすぎで起こる頭痛(MOH)への注意、受診を考える目安までを一枚で見渡せる「総論ガイド」です。各薬剤のくわしい解説は、それぞれの専門記事へご案内します。

「ドラッグストアの頭痛薬がたくさんあって、どれを選べばいいか分からない」「病院ではどんな薬が出るの?」「自分の頭痛に合う薬はどれ?」——頭痛薬は種類が多く、こうした疑問を診察室でよくいただきます。

頭痛薬は一見複雑に見えますが、「買い方(市販薬か処方薬か)」「目的(痛みを止める急性期か、起こりにくくする予防か)」という2つの軸で整理すると、全体像がぐっと分かりやすくなります。この記事は、個々の薬を深く掘り下げる前に頭痛薬の全体像をつかむための総論ガイドです。それぞれの薬の細かな使い方は、当院の専門記事へリンクでご案内しますので、気になる薬から読み進めていただけます。

頭痛薬は「市販薬/処方薬」×「急性期/予防」で整理できます。大切なのは「強い薬=良い薬」ではなく、自分の頭痛のタイプに合った薬を、合った量・タイミングで使うこと。市販薬で対処が続くときや、薬を使う日数が増えているときは、頭痛のタイプの見直しが役立つことがあります。

目次


どの頭痛薬が自分に合うか分からない方、市販薬を使う回数が増えている方は、頭痛専門外来へお気軽にご相談ください。

WEB予約はこちら



1.頭痛薬は「2つの軸」で整理できる

頭痛薬は数が多く、名前も似ていて混乱しがちです。そこで、まずは2つの軸で大きく分けて考えると整理しやすくなります。

1つ目の軸は「買い方」です。薬局で自分で買える市販薬か、医師の診察を受けて出してもらう処方薬かという違いです。2つ目の軸は「目的」です。頭痛が起きたときに痛みを抑える急性期の薬か、頭痛そのものを起こりにくくする予防の薬かという違いです。


「急性期」と「予防」はまったく役割が違います

急性期の薬は、頭痛が起きたそのときに飲んで痛みを和らげる「火事を消す」役割です。
一方、予防の薬は毎日続けて飲み、頭痛の回数や強さを減らしていく「火事を起こりにくくする」役割です。目的が違うため、同じ「頭痛薬」でも使い方がまったく異なります。

この2軸で見ると、ドラッグストアに並ぶ薬の多くは「市販薬の急性期治療薬」にあたり、頭痛外来ではこれに加えて「処方薬の急性期治療薬」や「予防の薬」も選択肢に入ってきます。以降の章で、それぞれを順番に見ていきます。



2.市販薬と処方薬は何が違うのか

市販薬と処方薬は、有効成分が同じこともあります。たとえばアセトアミノフェンロキソプロフェンなどは、市販薬としても処方薬としても使われています。では何が違うのか——ポイントは「1回量・1日量の設定」「医師の診察の有無」「使える薬の幅」の3つです。

市販薬は、誰でも薬局で買えるよう、安全側に立って1回量・1日量が控えめに設定されている製品が多いのが特徴です。一方、処方薬は医師が診察のうえ、症状や体格に合わせて量を調整します。さらに、トリプタンやCGRP関連薬など処方でしか使えない薬もあり、頭痛のタイプに応じてより幅広い選択肢から選べるのが処方薬の利点です。

観点 市販薬 処方薬
入手方法 薬局で購入できる 医師の診察・処方が必要
主な成分の例 アセトアミノフェン、ロキソプロフェン、イブプロフェンなど 左記に加えトリプタン、ジタン、CGRP関連薬など
1回量・1日量 控えめに設定されることが多い 医師が症状に応じて調整
予防薬 基本的に扱いがない 予防の選択肢がある
向いている場面 軽い頭痛・たまの頭痛 くり返す頭痛・市販薬で不十分なとき

市販薬で十分に対処できる頭痛も多くあります。一方で、市販薬を使っても楽にならない、使う回数が増えてきたという場合には、処方薬や予防という選択肢が役立つことがあります。



市販薬で対処を続けているけれど不安、という方も、頭痛専門外来で一緒に整理できます。お気軽にご相談ください。

WEB予約はこちら



3.急性期の薬(痛みを抑える薬)

頭痛が起きたときに飲んで痛みを和らげるのが急性期治療薬です。市販薬でなじみのあるものから、処方でしか使えないものまで、いくつかのグループに分かれます。ここでは代表的なものを俯瞰します。各薬のくわしい使い方は、それぞれの専門記事でご確認ください。


アセトアミノフェン

脳に働いて痛みや熱を抑えると説明される成分で、胃への負担が比較的少なく、小児や妊娠中の方にも使われることがあります。市販薬にも処方薬(カロナールなど)にも用いられます。くわしくはカロナールと市販アセトアミノフェンの違いの記事をご覧ください。


NSAIDs(ロキソプロフェン・イブプロフェンなど)

炎症をともなう痛みに使われる鎮痛薬のグループで、ロキソニンに代表されます。緊張型頭痛や軽~中等度の片頭痛に広く使われます。胃への負担に配慮が必要な場合があります。くわしくはNSAIDs(ロキソニンが効かないとき)の記事をご覧ください。


トリプタン

片頭痛発作に対して使われる処方薬で、市販の鎮痛薬では抑えきれない片頭痛の選択肢になります。痛みが強くなりきる前の早めのタイミングで使うことが大切とされています。くわしくはトリプタンの完全ガイドをご覧ください。


ジタン(ラスミジタン)

片頭痛の急性期に使われる処方薬で、トリプタンとは異なる仕組みで作用すると考えられています。トリプタンが使いにくい方の選択肢になり得ます。くわしくは急性期治療薬レイボーの診療案内をご覧ください。


急性期の薬は「早めに・十分な量を」が基本

頭痛の痛み止めは、痛みが強くなりきる前の早めのタイミングで使うほうが、楽になりやすいと考えられています。
痛みが本格化してから少量だけ使うと、効果を感じにくいことがあります。「効かない」と感じる背景には、量やタイミングが関わっていることもあります。



4.予防の薬(頭痛を起こりにくくする薬)

頭痛の回数が多い方には、痛みが起きてから抑えるだけでなく、頭痛そのものを起こりにくくする予防の薬という選択肢があります。日本のガイドラインでは、片頭痛が月に2回以上、または生活に支障のある頭痛が月6日以上あるような場合に、予防療法が検討されるとされています。予防薬は基本的に処方薬で、毎日続けて飲むことで効果が期待されます。


従来からある予防薬

以前から使われてきた予防薬には、抗てんかん薬、降圧薬(β遮断薬)、抗うつ薬などのグループがあります。これらは本来別の目的の薬ですが、片頭痛の予防にも用いられます。代表例の一つであるトリプタノール(アミトリプチリン)の記事では、緊張型頭痛・片頭痛の予防への使われ方を解説しています。


CGRP関連薬(注射薬・内服薬)

片頭痛に関わるCGRPという物質のはたらきを抑える薬です。月1回などの注射薬(エムガルティ・アジョビ・アイモビーグなど)と、毎日飲む内服薬(アクイプタなど)があります。従来の予防薬で十分でなかった方の選択肢として用いられます。注射薬についてはアジョビの記事、内服薬についてはアクイプタ(アトゲパント)の記事でくわしく解説しています。


予防薬は「効果が出るまで時間がかかる」ことがあります

予防薬は飲んですぐ効くものではなく、続けるうちに頭痛が減っていくタイプの薬です。
数週間から数か月かけて効果を見ていくことが多く、自己判断でやめずに、医師と相談しながら調整していくことが大切です。



5.頭痛タイプ別の薬の選び方

「どの薬を選ぶか」は、頭痛のタイプによって変わります。同じ「頭痛」でも、片頭痛・緊張型頭痛などタイプが異なると、向く薬も異なります。ここでは大まかな考え方を整理します。ご自身のタイプの見極めや薬の選択は、自己判断せず医師にご相談ください。

  • 緊張型頭痛:肩こりをともなう締めつけられるような頭痛。アセトアミノフェンやNSAIDsなどの鎮痛薬が用いられることが多いタイプです
  • 軽~中等度の片頭痛:市販のNSAIDsやアセトアミノフェンで対処できることがあります
  • 中~重度の片頭痛:市販薬で抑えきれない場合、トリプタンやジタンなどの処方薬が選択肢になります
  • くり返す片頭痛:回数が多いときは、急性期の薬に加えて予防薬が検討されます

「危険な頭痛」のサインは市販薬で様子を見ない

突然の激しい頭痛、これまで経験したことのない頭痛、だんだん悪化する頭痛、手足のしびれや言葉の出にくさをともなう頭痛などは、市販薬で様子を見ずに早めに医療機関を受診してください。
これらは脳の病気が背景にある可能性があり、見極めには検査が役立つことがあります。

市販薬を使っても効きにくいと感じるときは、頭痛のタイプそのものを見直すと、合う薬が見つかることがあります。「いつもの薬が効かない」と感じる方は、頭痛薬が効かないときの対処の記事もあわせてご覧ください。



6.痛み止めの「使いすぎ」による頭痛に注意

頭痛薬を選ぶうえで知っておきたいのが、薬の使いすぎによって、かえって頭痛が起こりやすくなることがある点です。これは「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛・MOH)」と呼ばれ、市販薬・処方薬のどちらでも起こり得ます。


痛み止めを使う「日数」に目を向けましょう

一般に、使う薬の種類によって目安が異なります。アセトアミノフェンやNSAIDs(ロキソプロフェンなど)といった単一成分の鎮痛薬では月に15日以上トリプタンや複数の成分を含む鎮痛薬では月に10日以上、こうした薬を使う状態が3か月を超えて続くと、薬の使いすぎによる頭痛につながることがあるとされています。市販薬の多くは前者にあたります。
「効かないから回数を増やす」と、かえって頭痛が悪化する悪循環になることがあります。使う日数が増えていると感じたら、自己判断で続けず一度ご相談ください。

薬の使いすぎが背景にある場合、薬を変えるだけでなく、使い方そのものの見直しや予防の導入が役立つことがあります。「痛み止めが手放せない」と感じている方ほど、一度頭痛のタイプと使い方を整理してみる価値があります。



7.受診の目安と頭痛外来

市販の頭痛薬で対処すること自体は、多くの場合問題ありません。ただし、次のようなときは、一度頭痛を診る医療機関にご相談いただくと安心です。

  • 市販の痛み止めを使う回数・日数が増えてきた
  • いつもの痛み止めが効きにくくなってきたと感じる
  • 頭痛をくり返し、生活や仕事に支障が出ている
  • どの薬が自分に合うのか分からず、選び方に迷っている
  • これまでにない強い頭痛や、だんだん悪化する頭痛がある

当院は頭痛専門医が在籍し、日本頭痛学会の認定教育施設として頭痛診療に取り組んでいます。頭痛のタイプを見極め、アセトアミノフェンやNSAIDs、トリプタン、ジタン、予防薬など、一人ひとりに合った急性期治療と予防をご提案します。必要に応じてMRI検査などで、痛みの背景に脳の病気が隠れていないかを確認します。

「市販薬でしのいでいるけれど、本当にこれでいいのかな」と感じている方も、まずは一度ご相談ください。



8.よくあるご質問

Q. 頭痛薬にはどんな種類がありますか?

大きく「市販薬/処方薬」と「急性期(痛みを止める)/予防(起こりにくくする)」の軸で整理できます。急性期の薬にはアセトアミノフェン、NSAIDs、トリプタン、ジタンなどがあり、予防の薬には従来の予防薬やCGRP関連薬などがあります。市販薬の多くは急性期の鎮痛薬にあたります。


Q. 市販の頭痛薬と病院の薬は、どちらが効きますか?

どちらが優れているということではなく、頭痛のタイプや強さで向く薬が変わります。軽い頭痛は市販薬で対処できることが多く、市販薬で抑えきれない片頭痛にはトリプタンなど処方でしか使えない薬が選択肢になります。市販薬で十分でないときは、自己判断で量を増やさず受診をご検討ください。


Q. 自分の頭痛にどの薬が合うか、どう選べばいいですか?

まずは頭痛のタイプ(片頭痛か緊張型頭痛かなど)を知ることが出発点になります。タイプによって向く薬が異なるため、市販薬で迷う場合や効きにくい場合は、頭痛外来で頭痛のタイプを見極めたうえで選ぶと安心です。


Q. 頭痛薬は毎日飲んでも大丈夫ですか?

急性期の痛み止めを使う日数が増えると、かえって頭痛が起こりやすくなることがあります(薬の使いすぎによる頭痛)。目安は薬の種類で異なり、アセトアミノフェンやNSAIDsでは月に15日以上、トリプタンなどでは月に10日以上が続く場合に注意が必要とされています。使う日数が増えている場合は、自己判断で続けず、頭痛外来でご相談ください。回数が多い方には予防の薬という選択肢もあります。


Q. 予防の薬は、どんなときに使うのですか?

片頭痛が月に2回以上、または生活に支障のある頭痛が月6日以上あるような場合に、予防療法が検討されるとされています。予防薬は毎日続けて飲み、頭痛の回数や強さを減らすことを目指す薬です。効果が出るまで時間がかかることがあり、医師と相談しながら調整していきます。



9.まとめ

  • 頭痛薬は「市販薬/処方薬」×「急性期/予防」の2軸で整理すると分かりやすくなります。
  • 急性期の薬はアセトアミノフェン・NSAIDs・トリプタン・ジタンなど、痛みを抑える薬です。
  • 予防の薬は従来の予防薬やCGRP関連薬など、頭痛を起こりにくくする薬です。
  • 薬選びは頭痛のタイプがカギ。強い薬が良いのではなく、タイプに合った薬を合った使い方で。
  • 痛み止めの使いすぎには注意。アセトアミノフェン・NSAIDsは月15日以上、トリプタン等は月10日以上が続くと、かえって頭痛が起こりやすくなることがあります。

頭痛薬は種類が多く、選び方に迷うのは自然なことです。
自分に合う薬が分からない、痛み止めが手放せないというときは、一人で悩まず、いわた脳神経外科クリニックの頭痛専門医にお気軽にご相談ください。




お問い合わせ・ご予約

当院では、頭痛のお悩みにしっかり寄り添います。また当院公式LINEにてご質問等をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。

WEB予約はこちら


友だち追加



関連記事はこちら


重要:本記事の位置づけ
本記事は頭痛薬に関する一般的な情報提供を目的としており、診断や特定の治療を推奨・保証するものではありません。効果や副作用の感じ方には個人差があります。薬の選択・用法用量や飲み合わせは添付文書および医師・薬剤師の指示に従い、気になる症状がある場合は自己判断せず医療機関にご相談ください。

この記事を書いた先生のプロフィール

医師・医学博士【脳神経外科専門医・頭痛専門医 ほか】
脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。脳卒中予防に重点をおいた内科管理や全身管理を得意としています。
脳の病気は、目が見えにくい、頭が重たい、めまい、物忘れなど些細な症状だと思っていても重篤な病気が潜んでいる可能性があります。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

詳しい医師のご紹介はこちら
院長写真

参考文献

医薬品医療機器総合機構 2026, 医療用医薬品 添付文書等情報, 医薬品医療機器総合機構, viewed 16 June 2026, <https://www.pmda.go.jp/>.

日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会 2021, 頭痛の診療ガイドライン2021, 医学書院, viewed 16 June 2026, <https://www.jhsnet.net/>.

Headache Classification Committee of the International Headache Society 2018, ‘The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition (ICHD-3)’, Cephalalgia, vol. 38, no. 1, pp. 1-211, DOI 10.1177/0333102417738202.