この記事では、肥満や糖尿病と関連する閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)と、2型糖尿病の治療に使われるマンジャロ(チルゼパチド)の関係について解説します。

 

 睡眠中のいびきやOSASでお悩みの方にとって、マンジャロがその症状改善に効果がある可能性がありますが、マンジャロは「糖尿病治療薬」であり、「睡眠時無呼吸症候群」自体には保険適用されていません。ここでは、最新の研究に基づいて、糖尿病治療中の体重管理がいびきやOSASにどのように影響するかを見ていきます。

 

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)とは?

 

OSASは、睡眠中に気道が塞がれて呼吸が止まる状態を特徴とし、いびきや日中の疲労感を引き起こすだけでなく、心血管疾患のリスクを高める要因ともなります。特に、肥満や糖尿病を抱えている患者は、OSASのリスクが高く、体重管理と血糖値コントロールが重要な治療手段の一つです。

 

マンジャロとは?

 

 マンジャロ(チルゼパチド)は、糖尿病治療薬として開発されたGLP-1およびGIP受容体に作用する薬剤です。

 この薬は、血糖値を効果的に下げるだけでなく、体重減少効果も期待されています。最近の研究では、糖尿病治療薬であるマンジャロが、体重減少心血管リスクの低減に寄与することが示されており、糖尿病患者にとって有益な治療オプションとされています。

 

 

マンジャロは糖尿病患者のいびきや睡眠時無呼吸症候群に効果的?

 

 糖尿病を患っている肥満患者において、体重増加が**睡眠時無呼吸症候群(OSAS)**の主要な要因となり得ます。最近の二重盲検ランダム化比較試験では、肥満を伴う中等度から重度のOSAS患者に対するマンジャロの体重減少効果が検証されました。この研究により、マンジャロがOSASの症状を軽減する可能性が示唆されていますが、マンジャロ自体はOSASの治療薬ではなく、糖尿病治療薬である点に注意が必要です。

 

試験の概要

 

 試験では、糖尿病および肥満を抱える患者を対象に、マンジャロ治療群とプラセボ群に分けて治療を行いました。治療効果は、1時間あたりの無呼吸や低呼吸の回数を示す**無呼吸低呼吸指数(AHI)**で評価されました。

 

結果

 

 52週後の評価では、マンジャロ治療群のAHIが平均-25.3イベント/時改善され、プラセボ群の**-5.3イベント/時**と比較しても大幅な改善が見られました。これにより、糖尿病患者において、マンジャロによる体重減少がOSASの症状改善に寄与する可能性が示されました。ただし、マンジャロはOSASそのものの治療薬ではないことを強調しておきます。

 

副作用について

 

 試験中に報告された主な副作用は、消化器症状で、軽度から中等度の胃の不快感や吐き気が含まれます。これらの症状は一般的に一過性で、治療の継続に支障は少ないとされています。

 

 

マンジャロがいびき改善に役立つ理由

 

 マンジャロが糖尿病患者のいびきやOSASの改善に役立つ理由の一つは、体重減少効果です。肥満はOSASの主要なリスク要因であり、体重減少によって気道の圧迫が軽減され、いびきや無呼吸の発生頻度が減少します。糖尿病患者にとって、マンジャロは血糖管理だけでなく、体重管理にも効果的であり、OSASの症状軽減にもつながる可能性があります。

 

 

まとめ

 

 マンジャロは、糖尿病治療薬としての役割に加え、体重減少による**閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)**の症状改善が期待されています。しかし、マンジャロはあくまでも糖尿病治療に使用される薬であり、OSAS自体に対しては保険適用されていません。糖尿病とOSASを併発している患者にとって、マンジャロは体重管理と血糖コントロールの一環として効果的ですが、治療を検討する際には必ず医師に相談し、最適な治療法を選択することが重要です。

 

 

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この記事を書いた先生のプロフィール

医師・医学博士【脳神経外科専門医・頭痛専門医 ほか】
脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。脳卒中予防に重点をおいた内科管理や全身管理を得意としています。
脳の病気は、目が見えにくい、頭が重たい、めまい、物忘れなど些細な症状だと思っていても重篤な病気が潜んでいる可能性があります。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

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