頭痛は誰もが経験する症状で、そのほとんどは一時的なものです。しかし、急に発症する頭痛や普段と違うと感じる頭痛の中には、命に関わる「怖い頭痛」が存在します。今回は、そんな「怖い頭痛」と「怖くない頭痛」の違いや、予防法・対処法などを詳しくご説明します。

 

 

怖い頭痛と怖くない頭痛

頭痛は、ほとんどの人が経験する症状のひとつですが、その中にも「怖い頭痛」「怖くない頭痛」があります。

 

「怖くない頭痛」は、一般的に慢性頭痛と呼ばれ、気温や気圧の変化、肩こりやストレスなどが原因とされる頭痛です。直接命に関わる頭痛ではありませんが、日常生活に支障をきたすほど苦痛を覚える頭痛といわれています。

 

一方で「怖い頭痛」は、くも膜下出血などの、主に脳に異常があって起きる疾患が原因となって頭痛が生じると考えられています。怖い頭痛の場合は、命が危険にさらされている恐れもあるため、早めに医療機関を受診することが必要です。

 

 

怖くない頭痛(一次性頭痛)

怖くない頭痛の代表的は「片頭痛(偏頭痛)」「緊張型頭痛」「群発頭痛」の3種類があり、慢性頭痛と呼ばれています。慢性頭痛は日本人の3人に1人が悩んでいるとされ、ほとんどの方は医療機関を受診せず市販薬で済まされています。

 

しかし、仕事や学業、家事など日常生活に支障をきたすことも多く、当院を受診して症状の程度や頻度が軽くなったという患者さまも少なくありません。

 

以下では、慢性頭痛の3種類について詳しくご紹介します。

 

 

片頭痛(偏頭痛)

ズキズキするような頭痛で、ほとんどは頭の片側に起こります。

吐き気を伴うこともあり、大きな音で悪化することも多く、体を動かすことが難しくなるのが特徴です。

そのため、日常生活に支障をきたし、仕事や家事、予定していた用事などを休まざるを得ない状態となるケースも少なくありません。

片頭痛の前兆として、手足のしびれ、視界のチカチカ感などを伴うこともあります。

 

 

緊張型頭痛

緊張型頭痛は慢性頭痛の中でもっとも多いタイプです。

10~50歳代の女性に多く発症し「ストレス頭痛」ともいわれています。

通常、両側性から頭全体に痛みが生じ、肩こりなどの緊張に伴い締めつけ感のある頭痛です。目の疲れやめまい、耳鳴り、吐き気などを伴う場合もありますが、嘔吐することはありません。

重苦しい痛みが特徴で、運転をよくする方やパソコンを長時間使用する方に多くみられます。

 

 

群発頭痛

群発頭痛は年に数回、片目の奥で1~2ヵ月ほどの激痛が続きます。夜中に突然目覚めることや、毎日同じ時間帯に発生することがあります。

群発頭痛は、片頭痛緊張型頭痛と異なり、男性に多いといわれています。

 


代表的な頭部の神経痛として、以下の3種類があります。


三叉神経痛 … 顔の片側に突然現れ、食事や歯磨き、会話などによっても生じることがあります。「顔面神経痛」と呼ばれています。
舌咽神経痛 … 咽頭や舌の痛み、不快感を引き起こし、長期間続くことがあります。
後頭神経痛 … 急に後頭部に痛みが生じますが、自然に治ることが多いです。

 

 

 

鎮痛剤の使い方

いつもと同じような頭痛がたまに起こり、鎮痛薬などでコントロールできるようであれば心配はないでしょう。

ただし片頭痛や群発頭痛は痛みが強い場合が多く、目安として月に10日以上鎮痛薬を飲んでいると、薬が少しずつ効かなくなることがあります。また鎮痛薬を常用することによって、頭痛がひどくなっている可能性も考えられます。日常生活に支障をきたしている場合は、医療機関の受診がおすすめです。

 

 

 

怖い頭痛(二次性頭痛)

普段の頭痛とは痛みが違う、日を追うごとに痛みがひどくなる頭痛などの場合は「怖い頭痛」である可能性があります。

代表的な「怖い頭痛」には、以下のようなものがあげられます。

 

 

くも膜下出血

くも膜下出血に伴う二次性の頭痛は、突発的に起こる激しい痛みが特徴で吐き気を伴うことが多いです。また、意識を消失することもあります。脳動脈瘤というくも膜下腔内の血管のコブが破裂し、血液が漏れ出ることで発症します。緊急入院によって手術や脳浮腫の軽減などが行われます。くも膜下出血は早期発見、治療を必要とします。


くも膜下出血は適切な病院に行かなければ命に危険が及びますが、大学病院などの大きな病院は予約が取りにくく、患者さまがたらい回しになること場合があります。

実際に、受診する病院を探している間に亡くなってしまうケースがあることも事実です。

 

いわた脳神経外科では、多くの病院と連携があり、予約が取りやすいため、危険な状態に陥る前に適切な処置が可能です。まずは当院へご相談ください。

 

慢性硬膜下血種(まんせいこうまくかけっしゅ)

頭部を打撲した後、数週間~数ヶ月にわたって徐々にひどくなる頭痛です。

吐き気などを伴うことが多く、脳のすき間と頭蓋骨を内側から覆っている硬膜との間に血腫ができることで生じると考えられます。

 

脳腫瘍(のうしゅよう)

脳や脊髄に生じる細胞増殖によって起きる腫瘍のことで、通常、頭痛は数ヵ月~数週間と少しずつ強くなることがあり、頭がぼお~っとすることがあります。

視力障害や吐き気、言語障害や知覚障害、けいれんなどを伴う場合は、MRI検査やCT検査が行われます。

 

脳動脈解離(のうどうみゃくかいり)

脳血管の中で、動脈の外側の層と内側の層の間に生じる解離を指し、脳の後方へ向かう血管にできることが多いです。片頭痛や後頭神経痛と頭痛の症状が似ているため、検査ではじめて判明する場合があります。頭痛のほかに、めまいや麻痺、けいれんや意識障害などを伴うことがあります。

肩こりと間違われやすく「ただの肩こりかな~」と思っていても、実は脳動脈解離であったなんて可能性もあります。

 

肩こりや首こりから来る頭痛に関しては、こちらの記事で詳しく解説しております。

 

その他

上記以外にも、低酸素血症、髄膜炎、高血圧、眼、耳、鼻、歯、口腔の病気に関する頭痛が起きることがあります。

 

 

診断と検査

頭痛の診断として、くも膜下出血などで生じる二次性頭痛を除外することもっとも大切です。
二次性頭痛の場合は命に関わるため、早期の発見・治療を進める必要があります。
まずは「頭痛が始まった時期」「他の症状の有無」「既往歴などの問診」を丁寧に行ったうえで、場合によっては以下のような検査を行います。
 
● MRI検査
● CT検査
● 頭部レントゲン
● 心電図
● 血液検査
 
当院では、他の医療機関のMRI検査で異常がないと診断された患者さまにも、しっかりと状態を確認したうえでお悩みを解消する治療をしています。
 
 
 

怖い頭痛(二次性頭痛)のときは早めに受診を…!!

二次性頭痛が疑われるサインとして、「頭痛の診療ガイドライン2021」では以下の症状をあげています。

該当する場合は、医療機関の受診をおすすめします。


● 発熱を含む全身症状がある
● がんなどの既往歴がある
● ろれつが回らない、意識障害や麻痺などがある
● 急に頭痛が発症する
● 50歳以降で発症する
● これまでに経験したことのない頭痛
● 姿勢によって変化する
● 咳やくしゃみ、または運動によって起こることがある
● 視力低下がある
● 症状や痛みに進行性がある
● 妊娠中または産褥期である
● 鼻水や涙が出るなど自律神経症状を伴う眼痛
● 外傷後に発症した
● HIVなど免疫系疾患がある
● 新たに薬剤を使用、または鎮痛剤を多く使用している

 
 

頭痛の予防法・対処法

 

規則正しい生活をする

生活リズムの乱れは、慢性的な頭痛を悪化させるおそれがあります。

極度の空腹起床時間の乱れは頭痛を起こすきっかけとなることがあるため、規則正しい生活を送るようにしましょう。

また適度な運動も血行促進につながり、頭痛の予防になると考えられます。

 

目を労わる・筋肉をゆるめる

長時間にわたってパソコンやスマートフォンを使用することは、目を疲れやすくし、頭痛を招く原因になります。

また同じ姿勢を長時間続けると、筋肉が凝り固まり、頭痛を引き起こしやすくなると考えられます。

適度に休憩を取るようにしましょう。

 

症状が起きた状況をメモする

一次性頭痛の中でも片頭痛緊張型頭痛の場合、頭痛にパターンがみられることがあります。

片頭痛の場合は、光の刺激温度差なども頭痛を引き起こすきっかけとなることがあり、頭痛が起きた状況を記録していくことによって、頭痛の規則性を見つけられる可能性があります。どのような状況で頭痛が生じやすくなるか把握できれば、予防につながるでしょう。

 

ストレスを解消する

ストレスによって頭痛が生じることがあります。

リフレッシュできるストレス解消法を見つけ、ストレスを溜めすぎないようにしましょう。

 

過度なアルコール摂取、喫煙を控える

過度なアルコール摂取喫煙は、頭痛の原因になる場合があります。飲酒や喫煙は控えめにしましょう。

 

注射で予防する

片頭痛の原因にはたらきかける注射薬が存在します。

月に1回の注射で、頭痛の程度や頻度が改善される可能性があるため、気になる方は医療機関に相談してみましょう。

 

 

頭痛のよくある質問

こめかみに頭痛が起きるのはなぜですか?

片頭痛や緊張型頭痛で起きることがあります。
片頭痛は気温気圧の変化など、緊張型頭痛は肩こりストレスなどが原因とされています。
 

片頭痛は治りますか?

片頭痛は治療できます。
まずは食生活の見直し適度な運動睡眠時間の確保ストレス解消など、生活習慣の改善が大切です。
片頭痛の治療は薬物療法が基本となりますが、片頭痛の症状や重症度などによって、医師と相談の下、決定されます。
 

片頭痛と緊張型頭痛の違いはなんですか?

片頭痛は脳などの血管拡張や炎症によって引き起こされ、突然起きることが多いです。
一方、緊張型頭痛は首こり肩こりによる筋肉の緊張により生じることが多く、長時間にわたって続く傾向があります。
 

一瞬、刺さるような頭痛がするのはなぜですか?

神経痛の場合、顔面や頭に電気が走るような痛みが生じることがあります。
動脈解離脳腫瘍などで引き起こされる場合があるため、注意が必要です。
 

頭痛に吐き気が伴うのはなぜですか?

吐き気がするほど、頭痛が重症であると考えられます。
片頭痛の場合、三叉神経が関係していますが、痛みを生じる過程で脳幹が刺激されて吐き気が起きるといわれています。
 

在宅勤務になった頃から頭痛が悪化した気がしますがなぜですか?

長時間同じ姿勢を続けることやストレスの増加によって、頭痛が悪化することがあります。
適度に体を動かしながら仕事をするようにしましょう。
 

後頭部の頭痛が起きるのはなぜですか?

後頭部の頭痛は後頭神経痛、緊張型頭痛、片頭痛などにより起こります。
 

頻繁に頭痛が起きる場合、どのような対処をすればよいでしょうか?

頻繁に頭痛が起きている場合、なんらかの病気が隠れている可能性があります。まずは医療機関へ相談しましょう。受診する場合は、頭痛の症状や日時、食事や睡眠時間などの記録をしておくと、原因が特定されやすいです。
 

子どもが頭痛もちです。適切な対応を教えて下さい。

お子さんから、どのようなときに頭痛が起きるのかを詳しく聞き、記録しておきましょう。
また食事睡眠など基本的な生活習慣の改善、学校や習い事などの生活環境に耳を傾けることも大切です。
 

頭痛は遺伝しますか?

遺伝が関与していることがあり、片頭痛は家族歴がある人は症状が出やすいとされています。小中学生頃から発症し、年齢を重ねるごとに症状がひどくなるといわれています。ただし、遺伝は原因のひとつであり、生活習慣やライフスタイルなども大きく関係していると考えられます。
 

鎮痛薬が効かないときはどうしたらよいでしょうか?

鎮痛薬の使い過ぎは、薬の効果が弱まる可能性があります。
頻繁に頭痛が起きて薬を使用している場合は、食生活の見直し十分な睡眠時間の確保など、生活習慣の改善から始めてみましょう。
頭痛の症状が治まらない場合は、専門医に相談してください。
 

市販薬で対処してよい場合と、注意が必要な頭痛の見分け方はありますか?

以下のような点に気をつけてみましょう。
 

「市販薬で対処してよい場合」

・締めつけられるような軽度な頭痛である。
・基本的に軽度の痛みで、時間とともに治まることが多い。
・痛みのほか、冷えやストレスが関係している可能性がある。
・頭痛がひどい場合でも、めまいや吐き気はあまりない。
 

「注意が必要な頭痛」

突然、激しい頭痛がある。
めまい吐き気を伴い、悪化することがある。
意識がはっきりしないことがある。
脳腫瘍脳卒中などの疾患が可能性として考えられる。
 
 
「注意が必要な頭痛」に該当する場合は、早めに専門医を受診しましょう。
また「市販薬で対処してよい場合」でも、症状が改善しない場合鎮痛薬を頻繁に使用しているなどの場合は、医療機関の受診をおすすめします。
 

頭痛で医療機関を受診する場合、何科に行くべきですか?

いつもと違う頭痛を感じた場合は、脳神経外科などの専門医を受診しましょう。突然頭痛が起きて体を動かすことができない場合には、すぐに救急車を呼んでください。
 
 

頭痛でお悩みの方は、いわた脳神経外科へ

 

頭痛は目に見えない症状であることから軽く見過ごされがちですが、日常生活に影響を及ぼす場合も多く存在します。頭痛には「怖い頭痛」「怖くない頭痛」があり、ほとんどの頭痛は怖くない頭痛となる一次性頭痛に分類されます。片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛がその代表です。一方で怖い頭痛として、くも膜下出血急性硬膜下血腫などがあり、早めに医療機関を受診して治療を受けることが必要となります。
気になる症状がある方は、当院へお気軽にご相談ください。
 
 

片頭痛のある人に適切な医療の実現を

 

今回は『肩こり・首こりからくる頭痛は緊張型頭痛?片頭痛?』というテーマで解説しました。

 

当院では”頭痛専門外来”をおこなっており、閃輝暗点のある片頭痛を含む様々な種類の頭痛に対し、エムガルティをはじめとしたCGRP製剤など、頭痛をしっかりと治すために最新治療の提供に注力しています。エムガルティ(CGRP製剤)の処方実績では大阪で1位・全国で3位の実績を誇っており、患者さんが新たな治療に触れる機会損失にならないよう、早期治療・早期改善に努めています。

 

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当院では様々な薬を使って効果判定をしながら、次の選択肢を提案することで”頭痛難民”の患者さんを救うべく日々診療をしております。

 

 

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