片頭痛患者における日常生活の支障とは?

 


片頭痛の治療を積極的におこなわず、放置することで悪化し、1カ月あたりの頭痛が増えるほど生活の質が低下することが言われています。
特に頭痛発作が月の半分を超えると、頭痛がない日も倦怠感があったり、頭痛が起こるかもしれないことへの不安、めまいや耳鳴り、閃輝暗点など、多くの症状が出てQOLが低下いたします。

 

これまでの片頭痛治療は頭痛の痛みにフォーカスして治療されてきましたが、片頭痛は発作と発作間欠期の両方に支障があるという認識が高まっております。頭痛のある日がどんどん増えると、発作間欠期の支障がより重症になることが知られている。発作のある時はもちろん、発作間欠期の生活も含めて患者をみていくのが重要であると言えます。

 

 

 

 

 

 

 

片頭痛発作がない時に関する片頭痛患者と医師への意識調査

 

調査結果ポイント
【「片頭痛発作がない時」の支障の実際】
片頭痛発作がある時のみならず、“ない時も” 8割近い患者が支障を抱えている 

患者の75%が、何らかの「片頭痛発作がない時」の困りごと/支障を抱えていると回答しました。
「片頭痛発作がある時」に困りごと/支障を抱えている患者83%と近しい結果に。

患者の2人に1人は、「片頭痛発作がない時」でも「頭痛が起きないように頭痛の原因を避けるようにして行動」、「頭痛が起こると仕事・学校・家事などで迷惑をかけるかもしれないと不安になったり、頭痛が心配で家事や仕事を制限する」などしている。

 

 

 

「片頭痛発作がない時」の支障に関する医師と患者のコミュニケーション
「片頭痛発作がない時」の支障を、患者の半数は医師に伝えていない

片頭痛発作がある時」の日常生活への影響について主治医に話している患者61%なのに対し、「片頭痛発作がない時」の影響を話している患者46%に留まる。

患者が「片頭痛発作がない時」の不満や支障について医師に伝えていない理由は、「医師に伝えても状況は変わらないだろうなと思う(伝えても無駄だろう)」が1位。

患者が片頭痛治療薬に対し期待したこと/期待できると思うことの上位は、片頭痛発作時の「効果」に関することで、「片頭痛発作がない時」の支障に対する改善効果については、そもそも期待していない。

 

 

「もっと改善したい」気持ちや日常生活への支障も“伝えてほしい医師”と、“伝えていない患者”のギャップが浮き彫りに

「欲を言えばもっと改善したい」気持ちを患者から積極的に伝えてほしい医師6割近いのに対し、「伝えている」患者は3割にとどまり、7割が積極的には伝えていない。

「日常生活における片頭痛による影響や変化を些細な事でもなるべく報告してほしい」医師が5割以上であるのに対し、「報告するようにしている」患者は3割にとどまり、7割が報告していない。

 

 

 

「片頭痛発作がない時」の支障に関するコミュニケーションは、「主治医への信頼度」や患者の「満足度」につながる

「片頭痛発作がない時」の支障の全てまたは一部について医師に伝えている患者は、伝えていない患者よりも、「主治医への信頼度」、「主治医とのコミュニケーションの総合的な満足度」、「現在の治療に対する満足度」の全てにおいて高い傾向にあった。

<調査概要>
・調査主体:日本イーライリリー株式会社      
・実査:株式会社 社会情報サービス
・調査手法:インターネット調査
・調査地域:日本全国
・監修:品川ストリングスクリニック 理事長・院長 山王 直子 先生
    富永病院 頭痛センター 副センター長  團野 大介 先生 
    仙台頭痛脳神経クリニック 院長 松森 保彦 先生

 

 

この結果からもわかるように片頭痛発作がない時の日常生活への支障についても、積極的にコミュニケーションを取っていただくことが大切になります。

片頭痛治療も大きな治療変革が起きており、頭痛を治せる時代に来ていると感じております。是非、適切な治療を受ける為にも、自らの支障について一度考えていただき医師に伝えてみましょう。

 

 

 

 

 

片頭痛におけるメタ認知とは?


頭痛があるときの仕事や学校、家事などへの直接的な支障。
頭痛がないときの「予定を立てられない」などの間接的な支障。
このように片頭痛という慢性疾患は、日常生活への支障が「頭痛がない」ときも含め、広範囲にわたるのが特徴です。
あなたにあった治療をするためには、頭痛があるときだけでなく、頭痛がないときも含めて、支障全般を評価する必要があるため、医師はあなたの現状を詳しく知りたいと思っています。

 

 

「私の頭痛」「My Headache」とは?


My headache affect my work or school at times when I do not have a headache.


朝に頭痛や幅吐があり、寝込んでしまい学校に行けないことがあると思います。
学校に連絡し、欠席することを連絡しますよね。


その後鎮痛剤などを内服し、頭痛が消失しても、「私の頭痛」のせいで学校を休んだと認識すると思います。

学校に行ってまた頭痛発作が起きたらどうしよう。学校で吐くのは怖い。しんどくなった時にすぐに休めるかな。学校は騒々しいので、また頭痛発作が起きるのではないか。顔色が悪い状態で学校に行ったらみんなが心配しないかな。病人扱いされるのも嫌だ。行っても勉強に集中できないのではないか。


以上のように頭痛がなくても、「私の頭痛」が学校に影響を与えることがあるわけです。頭痛を知覚し、学校を休むというのが、「認知」になります。
メタ認知とは片頭痛という病気のせいで学校を休んだことを認知すること」になります。
まずは、頭痛という病気が、痛みだけでなく日常生活や社会生活に影響を与えていることを、患者さん、家族、医療従事者がメタ認知することが重要になります。


MIBS4は、メタ認知することを手助けするツールになります。
「私の頭痛」「My Headache」を、メタ認知してみましょう。

 

 

 

 

 

 

片頭痛発作間欠期の負担スケール MIBS-4

 

 

 

質問項目


① 頭痛がない時に、私の頭痛が仕事または学校に影響をあたえた。

頭痛がない時でも、片頭痛に関連した身体症状があったり、頭痛が起こることを心配したりして、前向きに頑張りたいと思うことが、できないなど、頭痛が仕事や学校生活に何らかの影響を与えている状態です。
※めまい、立ちくらみ、倦怠感、光過敏、音過敏など


② 頭痛が起こるかもしれないために、私は人付き合いやレジャー活動を計画することに不安を感じた

③  頭痛が起こっていないときに、私の頭痛は私の生活に影響を与えた。

頭痛が起こっていないときに、頭痛を誘発すると感じる因子を気にしながら生活している状態です。
※頭痛を誘発すると感じているような食べ物、飲み物、香りの強いもの、天気など。


④頭痛が起こっていないときに、私の頭痛のために、無力感を感じた。

 

 

 

MIBS4は、4つのカテゴリーで評価されます。


スコア0:支障なし

→今後も定期的にチェックをして、頭痛が日常生活にどのような影響を与えるかを知っておくことをお勧めします。


スコア1-2:軽度

→頭痛が起こっていない時に、頭痛が日常生活に影響を与えていることはあまりないようですが、対処法や旧正規治療薬のを見直すことができます。


スコア3-4:中等度スコア

→頭痛が起こっていない時でも、頭痛が日常生活に何らかの影響を与えているようです。
対処法や旧正規治療薬の見直しに加え、予防治療を検討しましょう。


スコア5以上;重度

→頭痛が起こっていない時でも、頭痛によって仕事や学校、人付き合いなどの大切な活動が妨げられたり、無力感を覚えたりすることがあるようです。
対処法や級正規治療の見直しに加え、予防治療が推奨されます。

 

 

 

 

【片頭痛の発症予防薬エムガルティが発作間欠期の支障に与える効果について】

 

 

Changes in migraine interictal burden following treatment with galcanezumab: Results from a phase III randomized, placebo-controlled study
Headache. 2023;63:683-691.

 


片頭痛における発作間期における負荷が、エムガルティにてどのように変化があるかを解析した論文です。
この研究は、エムガルティとプラセボ(薬)を自検化して、その効果を検証したものです。


治療期間中に発作間欠期の状態を評価しています。
患者さんは、自分が、エムガルティ投与群かプラセボ(擬似薬)群かはわかりません。
また、試験に参加した患者さんは、2-4種類の片頭痛予防薬でも改善しなかった片頭痛になっています。
また最初の3か月は、ランダムでエムガルティとプラセボ(修業)に分類されていますが、3か月後は、全員にエムガルティを投与し、その後の3か月間の状況を評価しています。
エムガルティ投与群では、投与1か月後においてプラセボに比して有意にMIBS4スコアの改善を認めています。また、盲検期間終了後は、プラセボで効果がなかった患者さんにおいても MIBS4スコアの改善を認めています。患者さんの背景に関わらず誰にでも効果があると言えます。

 

 

 

 

 

片頭痛のある人に適切な医療の実現を

 

今回は『メタ認知で頭痛を治す』というテーマで解説しました。

 

当院では”頭痛専門外来”をおこなっており、閃輝暗点のある片頭痛を含む様々な種類の頭痛に対し、エムガルティをはじめとしたCGRP製剤など、頭痛をしっかりと治すために最新治療の提供に注力しています。エムガルティ(CGRP製剤)の処方実績では大阪で1位・全国で3位の実績を誇っており、患者さんが新たな治療に触れる機会損失にならないよう、早期治療・早期改善に努めています。

 

頭が痛くてやっとの思いで病院やクリニックに行ったのに、「市販でも買えるようなロキソニンを処方されて終わり」といった経験はありませんか?

当院では様々な薬を使って効果判定をしながら、次の選択肢を提案することで”頭痛難民”の患者さんを救うべく日々診療をしております。

 

あなたも『頭痛から卒業』を目指して一緒に治療しませんか?

 

 

 

 

 

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この記事を書いた先生のプロフィール

医師・医学博士【脳神経外科専門医・頭痛専門医 ほか】
脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。脳卒中予防に重点をおいた内科管理や全身管理を得意としています。
脳の病気は、目が見えにくい、頭が重たい、めまい、物忘れなど些細な症状だと思っていても重篤な病気が潜んでいる可能性があります。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

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