この記事で分かること

  • 「絶壁頭」とは何か(医学的には短頭症。赤ちゃんにとても多い頭の形)
  • 絶壁になる原因と、まれに隠れる病気との見分け方
  • 【セルフチェック】うちの子は絶壁? 上から・横から見るポイント
  • 自宅でできる予防・対策(タミータイム・向き変えなど)
  • 「手遅れ」になる前の時期と、絶壁が治るのかどうか(治療の選択肢)

※赤ちゃんの頭の形には個人差があります。気になる場合の最終判断は専門医にご相談ください。

「お風呂上がりに頭を拭いていたら、後頭部が平らなことに気づいた」「上から見ると、なんだか頭が横に広い気がする」――赤ちゃんの絶壁頭が気になって、この記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、赤ちゃんの絶壁(後頭部が平らな状態)はとても多く、決して「うちの子だけ」ではありません。そして、軽度であれば自宅でのケアで整っていくことも多い一方、程度によっては早めの対応が望ましいケースもあります。本記事では、脳神経外科専門医の立場から、絶壁頭の原因・セルフチェック・自宅でできる対策・治療の選択肢までを、やさしく整理します。

本記事は赤ちゃんの頭の形(絶壁頭・短頭症)に関する一般的な医療情報の提供を目的としており、診断や治療効果を保証するものではありません。頭の形の評価や治療の要否は、月齢・程度・原因によって個別に異なります。気になる症状がある場合は、必ず専門医にご相談ください。


目次



「うちの子、絶壁かも?」と気になったら、まずはご相談ください。大阪市城東区・京阪「野江」駅徒歩4分/生後3ヶ月から、3Dスキャナーで頭の形を客観的に計測します。

 

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1. 絶壁頭(短頭症)とは?赤ちゃんに多い頭の形

「絶壁頭」は、後頭部全体が平らで、頭を横から見たときに後ろがストンと落ちて見える状態を指す通称です。医学的には短頭症(たんとうしょう)と呼ばれ、頭を上から見ると前後が短く、左右に広い形になります。なお「絶壁頭」は医学用語ではなく、あくまで一般的な呼び方です。

赤ちゃんの頭の変形は、大きく3つのタイプに分けられます。

  • 短頭症(絶壁):後頭部全体が左右対称に平らになる
  • 斜頭症:後頭部の片側だけが平らになる(向き癖が影響しやすい)
  • 長頭症:頭の前後が長く、横幅が狭い

そして、こうした頭の変形は赤ちゃんにとても多くみられます。日本人の健常な乳児を3Dスキャナーで調べた研究では、短頭症の割合は生後3ヶ月で約21%、生後6ヶ月で約22%、向き癖などによる斜頭症は生後3ヶ月で約58%にのぼると報告されています(宮林ほか, 2023)。つまり、頭の形が気になる赤ちゃんは決して珍しくないのです。「うちの子だけ」と思い詰める必要はありません。



2. 絶壁頭になる原因

絶壁頭(短頭症)は、やわらかい赤ちゃんの頭蓋骨に、外からの圧力が長くかかることで生じます。主な要因は次のとおりです。

  • 仰向け寝:乳幼児突然死症候群(SIDS)予防のため仰向け寝が推奨されており、その結果として後頭部に圧がかかりやすい
  • 向き癖:いつも同じ方向を向く癖があると、その部分が平らになりやすい
  • 出産時・胎内の環境:分娩時の圧力や、初産・多胎などで生まれる前から圧を受けているケース

大切なのは、頭の形の変形は育て方が悪かったからではないということです。むしろ、SIDS予防のために正しく仰向けで寝かせている結果として起こりやすい、現代の安全基準の副次的な現象でもあります。ご自身を責める必要はありません。

まれに「病気」が原因のことも。頭の変形の中には、ごくまれに「頭蓋骨縫合早期癒合症」という、頭の骨のつなぎ目が早く固まる病気が隠れていることがあります。向き癖による変形とは原因も対応もまったく異なるため、まずこの病気でないかを確認することが大切です(詳しくは「赤ちゃんの頭のゆがみの原因は?頭蓋骨縫合早期癒合症を徹底解説」をご覧ください)。



3. 【セルフチェック】うちの子は絶壁?

ご家庭でも、頭の形の傾向はある程度チェックできます。赤ちゃんが起きているときに、やさしく確認してみましょう。

おうちでできる絶壁セルフチェック

  • 上から見る:頭を真上から見て、前後が短く・左右に広い丸(横長)になっていないか
  • 横から見る:後頭部がストンと垂直に近く落ちていないか(丸みが少ない)
  • 左右差:片側だけ平らになっていないか(斜頭症を併発していないか)
  • 耳の位置:左右の耳の前後のズレがないか

頭の形を数値で表す指標に「CI(頭の横幅 ÷ 前後の長さ × 100)」があり、この値が大きいほど前後が短い=絶壁傾向ということになります。ただし、ご家庭での目視やメジャーでの計測は誤差が大きく、正確な判定は難しいのが実際です。「気のせいか、考えすぎか」で迷ったときは、3Dスキャナーによる客観的な計測を受けると、数値ではっきりと現状がわかります。

なお、スマートフォンの写真で頭の形のゆがみの目安がわかる測定アプリもあります(いずれも医療機器ではありません)。手軽な確認には役立ちますが、正確な評価と「病気が隠れていないか」の確認は、3Dスキャナーと専門医の診察が必要です。

セルフチェックで「平らさが強い」「左右差がある」「だんだん目立ってきた」と感じる場合は、一度専門医に相談する目安と考えてください。


セルフチェックで気になった方へ。3Dスキャナーで「いまどのくらいか」を数値でご確認いただけます。

 

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4. 自宅でできる予防・対策

軽度の絶壁であれば、日々のちょっとした工夫で整っていくことが期待できます。今日から無理なく始められる方法をご紹介します。

今日からできる対策

  • タミータイム(うつ伏せ遊び):起きていて目を離さない間に、1回1〜2分から開始。慣れたら1日数回、合計10〜15分程度を目安に。後頭部にかかる圧を減らせます。
  • 向きを変える工夫:いつもと反対側から声をかける、おもちゃやメリーの位置を入れ替えるなどで、向き癖の偏りを和らげます。
  • 抱っこ・縦抱きの時間を増やす:起きている時間は、寝かせきりにせず抱っこの時間も取り入れます。

ドーナツ枕などの「頭の形を整える枕」について:絶壁の改善効果がはっきり確認されているわけではなく、月齢によっては窒息のリスクもあるため、使用には注意が必要です。導入前に医師に相談しましょう。なお、仰向け寝そのものはSIDS予防のために大切です。やめる必要はありません。

これらのケアは軽度の変形や予防に向いた方法です。すでに変形が強い場合は、セルフケアだけでは十分に整わないこともあります。次の章で「様子を見てよい時期」について整理します。



5. 放っておいて大丈夫?「手遅れ」になる前の時期

「そのうち自然に治るのでは」と様子を見たくなりますが、ここはタイプと程度によります。軽度の変形は自然に改善することが多い一方、重度の場合は事情が異なります。

国内の研究では、生後4〜8ヶ月時点で重度のゆがみが認められた赤ちゃんを3ヶ月後に再評価したところ、約7割(66%)が依然として重度のままだったと報告されています(加藤ほか, 2023)。つまり、重度では「様子見」だけで改善しにくいということです。

さらに、赤ちゃんの頭の形には「整えやすい時期」があります。

時期 頭蓋の状態 考え方
生後3〜6ヶ月 骨がやわらかく成長が速い セルフケアや治療の効果が出やすい時期
生後7ヶ月〜 成長がゆるやかに 対応の効果は徐々に出にくくなる
1歳ごろ〜 頭の形がほぼ確定 形を整えるのは難しくなる

※ 上記は一般的な目安です。実際の判断は月齢・程度により個別に異なります。

「もう少し様子を見よう」と迷っているうちに、整えやすい時期が過ぎてしまうことがあります。手遅れになる前に、気になるなら早めに現状を数値で把握しておくと安心です。診察の結果、自然改善が見込まれる軽度であれば、その旨を明確にお伝えし、ご自宅でのケアをご案内します。



6. 絶壁は治る?治療の選択肢

「絶壁は治るの?」という疑問にお答えします。対応は程度によって変わります。

  • 軽度:前章のセルフケア(タミータイム・向き変えなど)で自然な改善が期待できます。
  • 中等度〜重度で改善が乏しい場合ヘルメット治療という選択肢があります。

ヘルメット治療は、赤ちゃんの頭に合わせて作ったオーダーメイドのヘルメットを1日約23時間着用し、赤ちゃん自身の自然な頭の成長を、平らな部分の方向へ誘導する治療です。締めつけて形を変えるものではなく、国内の報告では頭の大きさ(頭囲)の成長抑制や脳の発達への悪影響は報告されていません。

▼ ヘルメット(baby band)紹介動画(約150秒)

※ 装着イメージや構造がわかる紹介動画です(当院取り扱いブランドの一例)。動画が表示されない場合はこちら(Vimeo)からご覧ください。

ただし、ヘルメット治療には「本当に必要か」「後悔しないか」「費用や医療費控除はどうなるか」など、知っておきたいことがたくさんあります。ヘルメット治療を詳しく検討したい方は、こちらの記事で専門医が整理しています「ヘルメット治療は後悔する?必要ない?効果・後遺症・費用を専門医が解説」



7. 大人の絶壁頭は治せる?髪型での付き合い方

「自分自身がずっと絶壁で悩んできた」という大人の方も少なくありません。結論からお伝えすると、大人になると頭蓋骨はすでに固まっているため、ヘルメット治療のように頭の形そのものを変えることはできません。ヘルメット治療は、骨がやわらかい乳児期だからこそ可能な方法だからです。

大人の絶壁との付き合い方

  • 髪型でカバー:トップにボリュームを出す、後頭部にレイヤーを入れて丸みを演出するなど、美容師に相談すると印象が変わります。
  • 気にしすぎない:絶壁(短頭症)は主に見た目に関わるもので、健康や脳の働きへの影響は基本的にありません。

また、髪のボリュームや薄毛そのものが気になる場合は、頭の形とは別に、髪へのアプローチも選択肢になります。当院では女性の薄毛(FAGA)のご相談や栄養面のサポートも行っています(詳しくは「髪を太くする栄養素と食べ物|女性のための食習慣ガイド」をご覧ください)。

そして、ご自身が絶壁で悩んでこられた方にこそ知っていただきたいことがあります。お子さんの絶壁は、骨がやわらかい今ならまだ間に合う可能性があります。大人になってからでは変えられない頭の形も、生後3〜6ヶ月のうちであれば、セルフケアや(必要に応じて)ヘルメット治療で整えられることがあります。「自分と同じ思いをさせたくない」と感じたら、早めに専門医へご相談ください。



8. 大阪・城東区の当院の対応/よくある質問

いわた脳神経外科クリニックの「赤ちゃんの頭のかたち外来」では、生後3ヶ月からご相談を承っています。脳神経外科専門医が診察し、まず頭蓋骨縫合早期癒合症などの病気が隠れていないかを確認したうえで、3Dスキャナーで頭の形を客観的に計測します。必要がなければ「必要ない」と正直にお伝えし、ご自宅でのケアをご案内します。累計500例以上の経験をもとに、お子さまに合わせた対応をご提案します。


外来・アクセス情報

  • 対応月齢: 生後3ヶ月〜
  • 所在地: 大阪市城東区成育2丁目13番27号
  • 最寄駅: 京阪本線「野江」駅 徒歩約4分/JRおおさか東線「JR野江」駅 徒歩約7分
  • 診療時間: 月〜木 9:00〜19:00(昼休みなし・通し診療)/金・土 9:00〜12:00(午前のみ)※日・祝・金土の午後は休診

Q1. 赤ちゃんの絶壁は自然に治りますか?

A. 軽度であれば、タミータイムや向きを変える工夫などで自然に整っていくことが多いです。一方、重度の場合は様子見だけでは改善しにくいという報告があり、程度の見極めが大切です。

Q2. セルフチェックだけで判断できますか?

A. 傾向の確認には役立ちますが、目視やメジャーでの計測は誤差が大きく、正確な判定は難しいです。気になる場合は3Dスキャナーで数値を確認すると、客観的な判断材料になります。

Q3. いつまでに相談すればよいですか?

A. 頭の形が整えやすいのは生後3〜6ヶ月ごろで、1歳ごろにはほぼ形が決まります。気になる場合は早めにご相談いただくと、選べる対応の幅が広がります。当院は生後3ヶ月からご相談を承っています。

Q4. 絶壁を治す枕を使えば改善しますか?

A. いわゆる「頭の形を整える枕」は改善効果がはっきり確認されているわけではなく、月齢によっては窒息のリスクもあります。使用前に医師にご相談ください。仰向け寝自体はSIDS予防のため大切で、やめる必要はありません。

Q5. 絶壁を放置するとどうなりますか?

A. 短頭症(絶壁)そのものは、主に見た目に関わるもので、脳の働きや発達に影響が出ることは基本的にありません。ただし重度の場合は自然には整いにくいため、見た目が気になる場合は整えやすい時期に相談しておくと安心です。



まとめ

  1. 「絶壁頭」は医学的には短頭症。生後3〜6ヶ月の赤ちゃんに多く、「うちの子だけ」ではありません(宮林ほか, 2023)。
  2. 主な原因は仰向け寝・向き癖・出産時などで、育て方のせいではありません。まれに病気(縫合早期癒合症)が隠れることがあり鑑別が大切。
  3. セルフチェック(上から・横から・左右差)で傾向はわかるが、正確な判定は3Dスキャナーが確実。
  4. 軽度はタミータイム等のセルフケアで改善が期待。重度は約7割が3ヶ月後も残存(加藤ほか, 2023)。
  5. 整えやすいのは生後3〜6ヶ月。中等度以上で改善が乏しければヘルメット治療が選択肢(詳細は専用記事)。当院は生後3ヶ月から相談可・累計500例以上。

「絶壁かも?」と気づいたいま が、いちばん動きやすいタイミングです。一人で抱え込まず、まずは現状を数値で知ることから始めてみませんか。


お問い合わせ・ご予約


大阪市城東区・京阪「野江」駅徒歩4分のいわた脳神経外科クリニックでは、赤ちゃんの頭のかたち外来(生後3ヶ月〜)を実施しています。脳神経外科専門医による診察と3Dスキャナーでの客観計測から、ご自宅でのケアのご案内、治療が必要な場合のご相談まで対応します。

医療機関名: いわた脳神経外科クリニック/診療責任者: 院長(日本脳神経外科学会 専門医・指導医)/所在地: 大阪市城東区

 

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当院公式LINEにてご質問等もお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。

 

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この記事を書いた先生のプロフィール

医師・医学博士【脳神経外科専門医・頭痛専門医 ほか】
脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。脳卒中予防に重点をおいた内科管理や全身管理を得意としています。
脳の病気は、目が見えにくい、頭が重たい、めまい、物忘れなど些細な症状だと思っていても重篤な病気が潜んでいる可能性があります。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

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参考文献

  1. 宮林寛・長野伸彦・斉藤勝也ほか (2023)「3次元スキャナーを使用した日本人健常乳児早期の頭蓋形状の基準値」日本周産期・新生児医学会雑誌, 59(2), pp.166-173. doi: 10.34456/jjspnm.59.2_166.
  2. 加藤理佐・長野伸彦・森岡一朗 (2023)「新生児・乳児の頭蓋変形」日大医学雑誌, 82(4), pp.203-209.
  3. 厚生労働省 (2024)「医療ニーズの高い医療機器の早期導入に関する検討会(形状誘導ヘルメット 評価資料)」.

免責事項
本記事は赤ちゃんの頭の形(絶壁頭・短頭症)に関する一般的な情報提供を目的としており、診断・治療効果を保証するものではありません。頭の形の評価や対応は月齢・程度・原因により個別に異なります。気になる症状がある場合は必ず専門医にご相談ください。記載のデータは2026年5月時点の情報です。