生理中に発生する頭痛の中でも「月経片頭痛(げっけいへんずつう)」は、多くの女性が抱える特有の問題です。この頭痛は、通常の片頭痛と似ていますが、原因や治療方法に特徴があります。また、近年注目されるCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)製剤は、こうした月経片頭痛に対する新たな治療法として高い有効性が示されています。この記事では、月経片頭痛の特徴や片頭痛との違い、CGRP製剤の役割について詳しく解説します。

 

月経片頭痛とは?

月経片頭痛とは、生理周期と関係して起こる片頭痛のことです。特に、月経が始まる2日前から3日目までの間に発生する片頭痛を指し、女性の片頭痛患者の約60%がこのタイプの頭痛を経験しています。

 

通常の片頭痛との違い

 

 

生理中の頭痛の原因

 

ホルモンバランスの変化と頭痛

 生理中の頭痛の主な原因は、エストロゲンの急激な低下です。このホルモンの変化が脳内の神経伝達物質や血管に影響を与え、ズキズキとした痛みを引き起こします。

 

セロトニンの役割

 頭痛と密接に関係する「セロトニン」は、脳内で血管収縮を調整する重要な神経伝達物質です。生理中はセロトニンのバランスが乱れやすく、血管が過剰に拡張し、こめかみのズキズキ感を引き起こします。セロトニンの適切な調整が頭痛緩和の鍵となります。

 

CGRPの影響

片頭痛の引き金となるCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は、血管拡張を促し、神経を敏感にします。生理中の頭痛では、セロトニンとCGRPの相互作用が重要な要因となります。

 

 

CGRP製剤の有効性

 

CGRP製剤とは?

 

CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は、片頭痛発症に深く関与するタンパク質です。CGRP製剤は、この物質の活動を阻害し、片頭痛の発症を抑える新しい治療薬です。これらは予防薬として使用されることが多く、月経片頭痛にも有効性が確認されています。

 

 

 

月経片頭痛への対策

 

 短期予防治療:アマージの使用

「アマージ」(ナラトリプタン)は、月経片頭痛の短期予防に効果的です。生理が始まる1~2日前から服用することで、発作の予防が可能です。

 

 

 

 

低用量経口避妊薬(低用量ピル・OC)と片頭痛について

低用量経口避妊薬(ていようりょうけいこうひにんやく)は、避妊のためにエストロゲンとプロゲスチンを

含むホルモン剤が配合されています。この薬の副作用として、頭痛が挙げられることがあります。

前兆のある片頭痛をお持ちの方の場合、エストロゲンを含む避妊薬を使用すると血栓症のリスクが高まるため、基本的には使用が避けられます。一方、前兆のない片頭痛の方については、年齢や喫煙などの血栓症リスクを慎重に評価した上で服用が可能です。

婦人科を受診する際には、片頭痛の有無を医師に伝えることで、より安心して適切な避妊薬を選ぶことができます。

 

専門医に相談する重要性

 月経片頭痛が生活の質に影響を与える場合や、薬が効果を発揮しない場合は、専門医を受診することをお勧めします。CGRP製剤を含む新しい治療法を提案してもらえる可能性があります。

 

まとめ

 

 月経片頭痛は、ホルモン変化やCGRPの活動が原因となる、女性特有の片頭痛です。通常の片頭痛とは異なる特徴を持つため、適切な予防と治療が必要です。アマージやCGRP製剤といった医薬品の活用、頭痛ダイアリーによる管理、セルフケアを組み合わせることで、症状の軽減や生活の質の向上が期待できます。つらい頭痛にお悩みの方は、一度、「頭痛専門外来」の頭痛専門医に相談し、自分に合った治療法を見つけてみてください。

 

 

おすすめ

 

閃輝暗点がある片頭痛にピルは危険?その理由とリスクを徹底解説

 

40代に起こりやすい頭痛とその対策

 

 

 

あなたも『頭痛から卒業』を目指して一緒に治療しませんか?

 

 

お問い合わせはこちらから


また当院公式LINEにてご質問等をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。

 

 

友だち追加

 

この記事を書いた先生のプロフィール

医師・医学博士【脳神経外科専門医・頭痛専門医 ほか】
脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。脳卒中予防に重点をおいた内科管理や全身管理を得意としています。
脳の病気は、目が見えにくい、頭が重たい、めまい、物忘れなど些細な症状だと思っていても重篤な病気が潜んでいる可能性があります。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

詳しい医師のご紹介はこちら
院長写真