アジョビは片頭痛(偏頭痛)の予防薬として当院でも使用実績が増えてきています。

イタリアからアジョビを実臨床(リアルワールドデータ)で使った効果が3つ報告されています。薬剤は臨床試験という決められた患者集団での効果を検証します。一方、リアルワールドデータは、日常診療で診ている患者を集めたデータなので、より実際に薬剤を使ったときに近い効果や安全性を検証することが可能と言われています。

 

アジョビの3つのリアルワールド試験(FRIEND試験)の大きな違いは、アジョビを使用している観察期間です。

・FRIEND試験:12週間

・FRIEND2試験:24週間

・FRIEND3試験:48週間

 

今回は24週間(半年間)のFRIEND2試験を紹介していきます

 

FRIEND試験の紹介はこちら

FRIEND3試験の紹介はこちら

 

 

高頻度の反復性及び慢性片頭痛患者に対するアジョビの有効性と安全性:FRIEND2試験

 

 

アジョビが処方された患者

 

・高頻度の反復性片頭痛患者:HFEM(1カ月あたりの片頭痛日数が8~14日)

・慢性片頭痛患者患者:CM(1カ月あたりの頭痛日数が15日以上)

 

<効果を解析した患者群>

 

アジョビで治療完了した片頭痛患者148例

 

<安全性を解析した患者群>

 

アジョビを1回以上投与したことのある片頭痛患者410例

 

※過去にCGRP製剤を使ったことある患者はエントリーされていないので、今回アジョビを初めて使った患者が登録されています。

 

アジョビが使われた患者背景(一部)

 

・平均年齢:47.6歳

・女性割合:79.1%

・慢性片頭痛の発症年齢:16.8歳

・トリプタン反応例;61.5%

 

 

アジョビの投与方法

 

アジョビを4週間に1回1本打ち(225㎎)、又は12週間に1回3本打ち(675mg)で投与しています。ローディングドーズという早期に血中濃度を上げるやり方は実施されていません。

このデータでは148例中98例(66.2%)が4週間に1回1本打ちを選んでいます。

 

 

 

アジョビの効果

 

 

<片頭痛日数>

 

・高頻度の反復性片頭痛患者(1カ月あたりの片頭痛日数が8~14日)

 

アジョビをはじめてから、24週間後の1カ月あたりの片頭痛日数の変化は平均で6.9日減少しています。

 

・慢性片頭痛患者

 

アジョビをはじめてから、12週間後の1カ月あたりの片頭痛日数の変化は平均で14.2日減少しています。

 

 

<急性期治療薬の服用回数>

 

・高頻度の反復性片頭痛患者(1カ月あたりの片頭痛日数が8~14日)

 

24週間後の急性期治療薬の服用回数は平均で8回減少しています。

 

・慢性片頭痛患者

 

24週間後の急性期治療薬の服用回数は平均で15.1日減少しています。

 

いずれもアジョビを投与することで、有意に効果があった結果です。

さらにHIT-6、MIDAS、NRS(痛みの重症度)でも効果がみられています。

 

 

院長のココがPoint!!

 

一見すると、慢性片頭痛患者(CM)のほうがアジョビの効果が強いように見えます。

しかし、もともと慢性片頭痛患者は重症度が高いため、頭痛日数が多く、急性期治療薬の服用回数も多くなりがちです。そのため効果をグラフにすると、変化が大きくなり、効果も強いように見えてしまいます。ただこのデータでは、どちらの患者群でも効果ででていることがPointです。

 

片頭痛日数が半分以上減った人(50%レスポンダーレート)

 

 

・高頻度の反復性片頭痛患者(1カ月あたりの片頭痛日数が814日)

 

片頭痛日数が半分以上減った人(50%レスポンダーレート)は75.0%でした。

4人中3人は、頭痛日数が半分以上減った結果です。

 

・慢性片頭痛患者

 

片頭痛日数が半分以上減った人(50%レスポンダーレート)は72.9%でした。

重症度の高い片頭痛患者さんででも、だいたい4人中3人で頭痛日数が半分以上減っています。

 

 

アジョビの安全性

 

この試験では、24週間で、投与中止になった患者はいませんでした。

410例のうち、10例(2.4%)で有害事象が報告されていて便秘(1例)、注射部位そう痒感(5例)、注射部位腫脹(4例)となっています。

 

結論

 

24週間という半年間、リアルワールドの結果として、速い段階から頭痛日数や急性期治療薬が減って、その効果が続いていることが示されました。過去に頭痛薬で効果がなかったような重症度の高い片頭痛患者でもアジョビの効果があることが示されています。

 

 

当院には大阪のみならず、関西圏から非常に多くの頭痛患者さんが困って来院されます。

「頭痛薬を飲んでも効果がない」、「1日でもはやく頭痛を減らしたい」「少しでも頭痛の日数を減らしたい」と、悩みは人それぞれです。当院にお越しいただければ、診断から治療方針に加えて、頭痛ナースから生活面の指導まで、1人1人のご希望に沿って丁寧にご説明させていただきます。

アジョビの話を少しでも聞いてみたいと思ったら、気軽にお越しください。

 

 

 

 

 

論文情報

Barbanti, P. et al. : J Headache Pain. 2023 ; 24(1) : 30..

Early and sustained efficacy of fremanezumab over 24-weeks in migraine patients with multiple preventive treatment failures: the multicenter, prospective, real-life FRIEND2 study | The Journal of Headache and Pain | Full Text (biomedcentral.com)

 

 

 

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この記事を書いた先生のプロフィール

医師・医学博士【脳神経外科専門医・頭痛専門医 ほか】
脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。脳卒中予防に重点をおいた内科管理や全身管理を得意としています。
脳の病気は、目が見えにくい、頭が重たい、めまい、物忘れなど些細な症状だと思っていても重篤な病気が潜んでいる可能性があります。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

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