アジョビは片頭痛(偏頭痛)の予防薬として当院でも使用実績が増えてきていますが、頭痛薬をたくさん飲んでしまう人や、片頭痛発作の回数が多い重症度の高いような人にも効果があるという最新データがイタリアから届き、日本でも注目度が上がっています。

 

本コラムでは、この最新データについて詳しく解説します。

 

イタリアにおける高頻度の反復性及び慢性片頭痛患者に対するアジョビの有効性と安全性

 

アジョビが処方された患者

 

・高頻度の反復性片頭痛患者:HFEM(1カ月あたりの片頭痛日数が8~14日)

・慢性片頭痛患者患者:CM(1カ月あたりの頭痛日数が15日以上

 

<効果を解析した患者群>

少なくとも48週間アジョビによる治療を行った片頭痛患者130例

 

<有害事象を解析した患者群>

アジョビを1回以上投与したことのある片頭痛患者533例

 

 

アジョビの投与方法

 

アジョビを4週間に1回1本打ち(225㎎)、又は12週間に1回3本打ち(675mg)で投与しています。

 

 

アジョビの効果

 

 

 

<片頭痛日数>

 

・高頻度の反復性片頭痛患者(1カ月あたりの片頭痛日数が8~14日)

48週後に1カ月あたりの片頭痛日数が平均で6.4日減少しています。

 

・慢性片頭痛患者(1カ月あたりの頭痛日数が15日以上)

48週後に1カ月あたりの頭痛日数が平均で14.5日減少しています。

 

いずれもアジョビを投与することで、有意に効果があった結果です。

さらにHIT-6、MIDAS(日常生活の支障度)、NRS(痛みの重症度)でも効果がみられています。

 

 

<急性期治療薬の服用回数>

 

・高頻度の反復性片頭痛患者(1カ月あたりの片頭痛日数が8~14日)

48週後に急性期治療薬の服用回数は平均で6回減っています。

 

・慢性片頭痛患者(1カ月あたりの頭痛日数が15日以上)

48週後に1カ月あたりの頭痛日数が平均で16.5回減っています。

 

いずれもアジョビを開始することで、有意に頭痛薬の服用回数が減っています。

 

 

<薬剤の使用過多(MOH)が改善した患者>

 

 

アジョビを開始して、12週間後には91.4%の患者さんで薬剤の使用過多が改善しています。

48週間後には、96.6%の患者で薬剤使用過多が改善したという効果がでています。

 

 

<慢性片頭痛から反復性片頭痛へ移行した患者>

 

アジョビを開始して、12週間後には87.8%の患者さんで慢性片頭痛が改善して、反復性片頭痛に移行しています。

48週後には、93.8%の患者で慢性片頭痛が改善したという効果です。

 

 

さらに、このデータでは片頭痛患者全体(n=130)や高頻度の反復性片頭痛患者(n=49)、慢性片頭痛患者(n=81)だけでなく、精神疾患を有する片頭痛患者(n=43)、薬剤の使用過多(MOH)併存の慢性片頭痛患者(n=62)、精神疾患を有する薬剤の使用過多(MOH)併存慢性片頭痛患者(n=23)でも片頭痛日数の変化を見ていますが、同じように効果があったことが報告されています。

 

 

アジョビの有害事象

 

この試験での有害事象の発現率は533例中、3.9%(21/533)で、投与中止になった患者はいませんでした。報告された有害事象は脱毛症(0.2%)、性欲減退(0.2%)、吐き気(0.2%)、倦怠感(0.4%)、月経困難症(0.4%)、注射部位反応(1.1%)、便秘(1.5%)でした。

有効性を解析した130例での有害事象の発現率は7.8%(6/130)で、性欲減退、吐き気、倦怠感、月経困難症、注射部位反応、便秘がそれぞれ0.7%ずつ報告されています。こちらも投与中止になった患者はいませんでした。

 

 

結論

 

アジョビの1年間の効果を検証したところ、頭痛日数や急性期治療薬の減少に加えて、重症度の高い急性期治療薬を飲み過ぎてしまう人や、1ヶ月に15回以上の頭痛症状に悩む慢性片頭痛患者にも効果があったことが示されました。

 

 

院長のココがPoint!!

 

このデータのすごいところは片頭痛のなかでも比較的、症状が重いとされている「頭痛薬を飲み過ぎる方々」や、「1ヶ月に15日以上頭痛症状に悩むような方々」でもアジョビの効果がでているところです。またそのような患者さんに投与しても、副作用の問題で中止になる患者さんがいなかった点もPointです。

 

 

当院には「頭痛薬を飲んでも効果がない」、「1ヶ月に何日も頭痛症状がでて困っている」という相談で来られる方々が、毎日のようにいらっしゃいます。しかし、残念ながらそのような人で、アジョビという治療薬の存在を知っている人はあまりいません。当院にお越しいただければ、診断から治療方針に加えて、頭痛ナースから生活面の指導までていねいにご説明させていただきます。

アジョビの話を少しでも聞いてみたいと思ったら、気軽にお越しください

 

 

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「頭痛薬が効かない!?対処方法を頭痛専門医が解説」

片頭痛治療薬アジョビ~いまの頭痛薬で効果がない人への贈り物~

 

論文情報

Barbanti, P. et al.: NeurolTher. 2024; 13(3): 611-624..

Assessing the Long-Term (48-Week) Effectiveness, Safety, and Tolerability of Fremanezumab in Migraine in Real Life: Insights from the Multicenter, Prospective, FRIEND3 Study | Neurology and Therapy (springer.com)

 

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この記事を書いた先生のプロフィール

医師・医学博士【脳神経外科専門医・頭痛専門医 ほか】
脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。脳卒中予防に重点をおいた内科管理や全身管理を得意としています。
脳の病気は、目が見えにくい、頭が重たい、めまい、物忘れなど些細な症状だと思っていても重篤な病気が潜んでいる可能性があります。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

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