頭痛と吐き気が同時に起こったときには、命に危険のある重篤な病気の可能性があります。
現在頭痛と吐き気がある方は「頭痛と吐き気があるときのチェックシート」を利用してください。症状が当てはまる方は、今すぐに病院を受診してください。
頭痛と吐き気が出る病気にはさまざまな種類があります。このコラムでは、命に危険がある頭痛(二次性頭痛)と慢性的に起こる頭痛(一次性頭痛)について紹介します。
5分ほどで読めるコラムですが、体調が悪いときにはムリをせずに休息してからご覧ください。
頭痛と吐き気があるときのチェックシート
・突然、激しい頭痛が起こったとき
・頭痛の症状が悪化しているとき
・めまいや嘔吐もあるとき
・物が二重に見えるとき
・手足や顔などが動きにくい(麻痺)と感じるとき
・ひきつけ(けいれん)が起こったとき
・話しにくさを感じるとき
・頭がぼーっとするとき
・発熱があるとき
このような症状があるときには、重大な病気が原因で頭痛と吐き気が起こっているのかもしれません。
症状に当てはまる方は、今すぐに119番通報をして救急車を呼んでください。
頭痛と吐き気が出る怖い病気
病気が原因で起こっている頭痛のことを「二次性頭痛」と呼びます。ここでは頭痛と吐き気が原因で起こる病気について代表的なものを紹介します。
<脳卒中|くも膜下出血>
・代表的な症状
突然の激しい頭痛、吐き気・嘔吐、めまい、意識がなくなる、物が二重に見えるなど
・くも膜下出血の特徴
コブのようにふくらんでいる血管(脳動脈瘤)が、突然破裂することで出血を起こす病気です。治療が遅れると症状が悪化して命を落とす危険性が高くなり、後遺症のリスクもある非常に怖い病気です。
<脳卒中|脳出血>
・代表的な症状
頭痛、嘔吐、意識がなくなる、体の片側に麻痺が出るなど
・脳出血の特徴
脳にある血管が破れて、脳の中に出血が出ている病気です。治療によって命の危険がなくなったとしても、後遺症を残すリスクが高い病気です。
<脳卒中|脳梗塞>
・代表的な症状
頭痛、吐き気、手足や顔などが動かしにくい、しびれがある、言葉が出ない、ふらつくなど
・脳梗塞の特徴
脳の血管が詰まったり細くなったりすることで、脳に酸素や栄養が送られなくなる病気です。
※脳卒中(くも膜下出血、脳出血、脳梗塞)は治療が遅れると命の危険が高くなり、後遺症も残りやすくなる病気です。気になる症状があったときは速やかに治療を受けましょう。
<脳腫瘍>
・代表的な症状
頭痛、吐き気・嘔吐、けいれん、目のかすみ、体の片側に麻痺が出る、言葉が出ないなど
・脳腫瘍の特徴
脳にできる腫瘍です。脳そのものに腫瘍ができるタイプと、他の場所にできたがんが転移して脳に腫瘍ができるタイプに分類されます。良性と悪性があり、良性の場合は手術をせずに経過を見ることもあります。
<髄膜炎>
・代表的な症状
頭痛、嘔吐、発熱、首が曲げにくい、ぼーっとするなど
・髄膜炎の特徴
脳と頭蓋骨の間にある髄膜と呼ばれる部分に、細菌やウイルスが感染して炎症が起こる病気です。ウイルス性髄膜炎は治りやすく後遺症も残りにくい病気ですが、細菌性髄膜炎の死亡率は高く、後遺症も起こりやすい病気です。
つらい頭痛や怖くない頭痛の種類
病気が原因ではなくても、つらい頭痛(一次性頭痛)が起こることもあります。命の危険がないような怖くない頭痛でも、つらい頭痛が続いているときには病院で治療を受ける必要があるかもしれません。
<偏頭痛>
・代表的な症状
ズキンズキンとした痛み、頭の片側に起こる痛み、たまに吐き気がする、めまいがする
光や音によって症状が悪くなる、臭いが気になる、体を動かすのがつらいなど
・偏頭痛の特徴
三叉神経と呼ばれる部分が刺激を受けて、血管の拡張や炎症が起こって頭痛がする病気です。女性の場合、月経と関係して症状が出ることもあります。
<群発頭痛>
・代表的な症状
片側の頭痛、目に痛みや充血などが出る、鼻水や鼻づまりが出る、まぶたが下がる
1日に何度も症状を繰り返すなど
・群発頭痛の特徴
目の奥にある動脈が拡張して炎症やうっ血が起こる病気です。目の多くにある三叉神経に影響が出るため、頭痛以外にも目や鼻に症状が出やすくなります。とくに睡眠中に起こることが多く、痛みによって目が覚めることもあります。
頭痛の予防法と対処法
ここでは頭痛が起きたときの対処法や、頭痛が起こらないための予防法について紹介します。
定期的な検査を受ける
脳の病気が気になる方は、脳ドックを受けてみましょう。脳ドックは、MRI検査などを使って脳に関係した病気を早期に発見できる健康診断です。通常の健康診断ではわからない病気についても発見できる可能性があります。
他の病気を治療する
脳卒中は高血圧や脂質異常症、糖尿病、不整脈、メタボリックシンドロームなどが影響して起こる病気だと言われています。現在脳に病気がない方もこれらの病気を放置していると、将来的に脳卒中の起こる危険性が高くなります。面倒くさいからと放置せずに、適切な治療を受けるようにしましょう。
頭痛について記録する
緊張型頭痛や偏頭痛では、光や音の刺激、天気の影響や温度差などで頭痛が起こることもあります。どのようなときに頭痛が起こりやすいのかを把握できれば、頭痛が起こりやすい環境を避けやすくなります。いつ、どのようなことをきっかけにして、どのような頭痛が起こったのかを記録するように心がけましょう。
頭痛が関係している病気は、命の危険がある緊急性の高いものから慢性的なものまでさまざまな種類があります。頭痛の原因は脳だけに限りません。大阪府大阪市にある当院では脳の状態だけではなく、全身の症状を確認してから一人ひとりの症状やお悩みにあわせた頭痛治療をしています。頭痛の症状が気になる方はお気軽にご相談ください。
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