こんにちは。大阪で「頭痛外来」をおこなっている、いわた脳神経外科クリニックです。

 

GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)は、もともと2型糖尿病や肥満治療薬として開発されましたが、近年の研究により、これらの薬が脳神経疾患を含む幅広い健康分野での可能性を秘めていることが明らかになってきました。今回は、脳神経外科クリニックとして注目すべきGLP-1RAの新たな効果をご紹介します。

 

 

 

GLP-1とは?

 

 GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)は、腸から分泌されるホルモンで、インスリン分泌の促進や食欲抑制など、体の代謝を調整する重要な役割を果たします。GLP-1RAは、このホルモンの働きを強化する薬剤で、糖尿病や肥満治療に用いられていますが、それ以上に注目すべき効果が次々と発見されています。

 

 

 

脳への効果:神経保護と認知機能の改善

 

近年、GLP-1RAが脳に及ぼす以下のようなポジティブな効果が報告されています。

 

  • 神経保護効果
    GLP-1RAは、神経細胞の炎症を抑制し、細胞死を防ぐ働きが期待されています。この作用は、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患の進行を抑える可能性があるとされています。

  • 認知機能の改善
    初期の研究では、GLP-1RAが脳の認知機能を改善する可能性が示されています。特に、糖尿病患者において認知症リスクが低下するとのデータもあります。

 

心臓や腎臓にも良い影響

 

 GLP-1RAは脳への影響だけでなく、心臓や腎臓にも以下のような有益な効果をもたらします。

 

  1. 心臓保護効果
    GLP-1RAは、虚血性心疾患後の心機能を保護し、心血管イベント(心臓発作や脳卒中)のリスクを低減します。

  2. 腎臓保護効果
    腎機能を改善し、慢性腎臓病(CKD)の進行を抑えることが期待されています。

 

 

なぜ脳神経外科クリニックが注目するのか?

 

 脳神経外科領域では、認知症や神経変性疾患の予防・治療が重要な課題となっています。GLP-1RAは、その抗炎症作用や神経保護効果を通じて、これらの疾患に対する新しい治療選択肢となる可能性があります。

当クリニックでは、最先端の治療情報をもとに、患者さんに最適な治療法を提案しています。GLP-1RAのさらなる研究成果が期待される中、関連する情報を随時お届けしてまいります。

 

 

 

まとめ

 

 GLP-1受容体作動薬は、糖尿病や肥満の治療にとどまらず、脳、心臓、腎臓といった重要な臓器の健康維持にも多くの可能性を秘めています。特に神経疾患への応用は、今後の研究によって新たな展開が期待されています。当クリニックでは、患者さん一人ひとりに寄り添い、最新の治療情報を活用してサポートしてまいります。

 

参考

The benefits of GLP-1 drugs beyond obesity Glucagon-like peptide–1–based medicines have weight loss–independent actions  

 

 

 

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この記事を書いた先生のプロフィール

医師・医学博士【脳神経外科専門医・頭痛専門医 ほか】
脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。脳卒中予防に重点をおいた内科管理や全身管理を得意としています。
脳の病気は、目が見えにくい、頭が重たい、めまい、物忘れなど些細な症状だと思っていても重篤な病気が潜んでいる可能性があります。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

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