こんにちは。大阪で「頭痛外来」をおこなっている、いわた脳神経外科クリニックです。

 

 

肥満女性で多い「特発性頭蓋内圧亢進症」とは?

 「毎日のように続く頭痛やかすみ目、耳鳴りなどで悩んでいませんか?」
それはもしかすると、「特発性頭蓋内圧亢進症(とくはつせいずがいないあつこうしんしょう)」という病気の可能性があります。この病気は、特に肥満気味の女性で発症しやすいとされています。この記事では、その症状や原因、診断、治療について詳しく解説します。

 

特発性頭蓋内圧亢進症とは?

特発性頭蓋内圧亢進症は、頭の中の圧力が高まる病気で、約10万人に1人が発症します。

特に妊娠可能年齢の女性に多く見られますが、肥満の若い女性では発症率が通常の20倍にもなると言われています。

 

主な症状

症状が進行すると視力を失うリスクもあるため、早期の診断と治療が重要です。

 

特発性頭蓋内圧亢進症の原因

 

 

この病気の正確な原因は解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。

 

静脈洞(じょうみゃくどう)の狭窄

 

 脳から血液を排出する静脈洞が細い場合、血液の流れが滞り、頭蓋内圧が高くなることがあります

 

肥満

 

 腹部の過剰な脂肪により、胸部の圧力が増し、脳への血液流れが悪化することがあります。

 

薬剤やビタミンの影響

 

 テトラサイクリン系抗菌薬やビタミンAの過剰摂取も発症の引き金になる場合があります。

 

診断方法

 

特発性頭蓋内圧亢進症は、以下の手順で診断されます。

 

身体診察と症状の確認

 

視力や視野の検査を行い、眼球の奥が腫れている(乳頭浮腫)か確認します。

 

画像検査

 

MRIやCTを使って、腫瘍や他の器質的病変がないか調べます。また、脳血管撮影で静脈洞の状態を確認します。

 

腰椎穿刺


髄液の圧力を測定し、成分を分析します。髄液圧が高い場合、この病気が疑われます。

 

治療方法

 

特発性頭蓋内圧亢進症の治療は、頭蓋内圧を下げることを目的としています。

 

薬物療法

 

  • アセタゾラミドやトピラマート:髄液の量を減らし、頭の圧力を下げます。
  • 痛み止め:頭痛の緩和に使用されます。

 

体重管理

 

肥満が原因の一つと考えられるため、体重を10%減らすだけでも症状が改善することがあります。

 

腰椎穿刺

 

髄液を抜いて一時的に圧力を下げる方法ですが、長期的な効果は限定的です。

 

 手術

 

  • 視神経鞘開窓術やシャント術で頭蓋内圧を下げます。
  • 静脈洞の狭窄が原因の場合、ステント術を行うことがあります。

 

定期的な視野検査

 

視力や視野障害を早期に発見し、視力を守るための検査を継続します。

 

まとめ

特発性頭蓋内圧亢進症は、早期発見と適切な治療で視力障害の進行を防ぐことが可能です。特に肥満が関与している場合、体重管理が重要です。毎日のように続く頭痛や視力の異常を感じたら、すぐに医師に相談してください。

当院では、特発性頭蓋内圧亢進症の診断や治療を行っています。気になる症状があればお気軽にご相談ください。

 

 

 

 

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この記事を書いた先生のプロフィール

医師・医学博士【脳神経外科専門医・頭痛専門医 ほか】
脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。脳卒中予防に重点をおいた内科管理や全身管理を得意としています。
脳の病気は、目が見えにくい、頭が重たい、めまい、物忘れなど些細な症状だと思っていても重篤な病気が潜んでいる可能性があります。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

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