こんにちは。大阪で「頭痛外来」をおこなっている、いわた脳神経外科クリニックです。

 

 慢性的な片頭痛に悩む方にとって、新しい治療の可能性について知ることは非常に重要です。今回は、全米頭痛財団のポッドキャスト「HeadWise」から、リンゼイ・ワイツェル博士と頭痛医学の専門家フレッド・コーエン医師がGLP-1アゴニストの可能性について語った内容をご紹介します。

 

GLP-1アゴニストとは?

 

この薬の主な作用

 

肥満と片頭痛の関係

 研究によると、肥満は片頭痛を悪化させるリスク因子であるとされています。特に、慢性片頭痛に進行するリスクを高める要因となります。その背景には、肥満による慢性的な炎症状態が関与しています。脂肪組織から放出されるサイトカインやC反応性タンパク質が炎症を引き起こし、それが神経の炎症を悪化させる可能性があるのです。

また、片頭痛を「神経の炎症状態」と捉えることで、炎症が片頭痛の原因のひとつであることが理解できます。睡眠、食事、ストレスと同様に、肥満も片頭痛の要因となり得るのです。

 

減量が片頭痛に与える影響

 

 肥満を解消することで片頭痛の負担が軽減されるというデータも存在します。ただし、それが直接的な結果であるかは明確ではありません。適切な片頭痛治療と併せて体重を減らすことで、片頭痛の重症度が軽減されることが多いようです。

例えば、肥満手術を受けた患者が減量に成功し、片頭痛の頻度や重症度が改善された事例があります。この改善がすべて体重減少によるものではないかもしれませんが、少なくとも部分的には関係していると考えられます。

特発性頭蓋内圧亢進症(IIH)とGLP-1

 特発性頭蓋内圧亢進症(IIH)は、頭痛を伴う脳圧の異常状態です。この症状は肥満の女性に多く見られることが知られています。研究はまだ初期段階ですが、GLP-1アゴニストによる体重減少がIIHの有病率を低下させる可能性があるとされています。

IIHの主な危険因子として、肥満や出産適齢期の女性であることが挙げられます。体重をコントロールすることで、この症状の改善が期待できるかもしれません。

 

GLP-1アゴニストの片頭痛治療への可能性

 

 GLP-1アゴニストが片頭痛に直接作用するという証拠はまだありませんが、一部の研究では興味深い結果が報告されています。これらの薬が中枢感作現象に関与する受容体に影響を与える可能性があることが示唆されているのです。

例えば、オピオイド系薬剤の乱用による慢性疼痛に対して、GLP-1アゴニストが有効であるとの報告があります。このことから、片頭痛における慢性的な痛みや炎症にも効果をもたらす可能性が考えられます。

処方と注意点

 GLP-1アゴニストは、もともと糖尿病や減量治療のために処方される薬です。片頭痛治療のために直接処方されることはありませんが、肥満やその他の健康問題を抱える患者にとって有用である可能性があります。

乱用のリスクについても注意が必要です。この薬を服用する場合は、必ず医師と相談し、適切な指導を受けるようにしましょう。

 

まとめ

 

 GLP-1アゴニストは片頭痛の直接的な治療薬ではありませんが、肥満や慢性的な炎症状態を改善することで片頭痛の負担を軽減する可能性があります。また、新しい研究により、この薬の疼痛経路への作用が注目されており、今後の治療法としての可能性が期待されています。

片頭痛に悩む方は、ライフスタイル全般を見直しながら、医師と相談して適切な治療法を探ることが大切です。この記事が新しい視点を提供し、片頭痛との向き合い方に役立てば幸いです。

 

 

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この記事を書いた先生のプロフィール

医師・医学博士【脳神経外科専門医・頭痛専門医 ほか】
脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。脳卒中予防に重点をおいた内科管理や全身管理を得意としています。
脳の病気は、目が見えにくい、頭が重たい、めまい、物忘れなど些細な症状だと思っていても重篤な病気が潜んでいる可能性があります。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

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