こんにちは。大阪で「赤ちゃんの頭のかたち外来」をおこなっている、いわた脳神経外科クリニックです。

 

赤ちゃんの頭のかたち、気になりませんか?

 

  当クリニックでは、乳児のヘルメット治療を行っています。「頭のかたちが気になる」という親御さんからのご相談は日常茶飯事ですが、時々、「私の頭のかたちも見てもらえますか?」というご質問をいただくことがあります。

こういったご質問、結構あるんです。大人になった今、自分の頭のかたちについて、ふと気になることありませんか?赤ちゃんの頭のかたちは将来に大きく影響を与えることがあります。思いもよらない関連性が大人になってから出ているかもしれません。

今日はその「頭のかたち」の意外な話を掘り下げてみたいと思います。

 

 

 

赤ちゃんの頭のかたちと脳の発達はセットで考えよう

 

 まず、赤ちゃんの頭のかたちって、ただの「見た目」だけの問題ではありません。乳児期には、頭蓋骨(ずがいこつ)の形が脳の発達に直結していると言っても過言ではありません。

例えば、「頭蓋縫合早期癒合症(ずがいほうごうそうきゆごうしょう)」という疾患があります。これは頭蓋骨(ずがいこつ)の縫合部分が通常より早く閉じてしまう病気で、脳が十分に成長できなくなるリスクを伴います。この場合、形を整えるだけでなく、脳の成長を確保するために手術が必要になることもあります。

一方、比較的軽度なケースである「位置性斜頭症(いちせいしゃとうしょう)」は、寝かせる向きのクセによって頭が片側に平たくなってしまう状態です。この場合、頭のかたちを矯正することで、見た目だけでなく脳の成長にも良い影響を与えることが期待できます。

 

 

 

成人の頭のかたちって脳に影響するの?

 

 成人の頭のかたちが脳にどれくらい影響するのか、気になりますよね?

私たち脳神経外科専門医の立場から言うと、「頭のかたちが脳に直接影響することはほぼない」と考えられています。

成人の脳はすでに成長を終えているため、外傷(がいしょう)や骨腫瘍(こつしゅよう)などの特殊なケースを除けば、頭蓋骨の形が健康に大きな影響を与えることはありません。

でも、最近の研究でちょっと面白い結果が出たんです。

それは、成人の頭蓋形態(ずがいけいたい)が脳血管障害(のうけっかんしょうがい)と関連している可能性があるということです。

この研究では、日本人を対象に行われた調査で、頭部CTを用いて頭蓋形態と疾患の関係性を調べています。

その結果、もやもや病という脳の血管が狭窄(きょうさく)する病気の患者に、斜頭(頭が左右非対称になる傾向)が見られたそうです。

 

 

 

もやもや病と頭のかたちの意外なつながり

 

 「もやもや病」って聞いたことありますか?

この病気は脳内の主要な血管が徐々に狭くなり、脳梗塞(のうこうそく)や脳出血(のうしゅっけつ)の原因になる疾患です。

比較的若い世代に発症することが多く、日本でも注目されている病気の一つです。

この病気では、脳内の血流が減少するため、頭蓋骨の外側を走る血管(例えば顔面や骨膜を栄養する血管)が補償的に活発になります。

この血流の左右差で、頭蓋骨の厚さや形態が変わってしまい歪み(ゆがみ)が生じるのではないかと、論文では述べられています。つまり、もやもや病が頭のかたちに影響を及ぼし、それがまた疾患の診断や特徴の一つとして使えるかもしれない、というわけです。

 

 

 

 

頭のかたちは生まれた時代でも違う?

 

 頭のかたちは「時代の影響」もあるんです。こちらは驚きますよね。

同じ研究では、生まれた年代によって頭蓋形態に差があることも明らかにされました。

例えば、1920年代〜1950年代に生まれた日本人では、後頭部が平らになる「絶壁(ぜっぺき)」の傾向が顕著だったそうです。

 

なぜでしょう?

これは、当時の育児スタイルが影響していると考えられています。

この時代、赤ちゃんは畳(たたみ)の上に薄い布団を敷いて寝かせるのが一般的でした。この環境が後頭部(こうとうぶ)の平坦化(へいたんか)を促していたのです。

しかし、1960年代以降、ベビーカーや柔らかいマットレスの普及で頭蓋形態が改善されるようになってきました。

ところが、1990年代になると再び変化が訪れます。

乳幼児突然死症候群(SIDS)(にゅうようじとつぜんししょうこうぐん)のリスクを減らすため、仰向け寝(あおむけね)が強く推奨されるようになり、再び後頭部が平らになる傾向が増えたのです。

 

 

ご家族の頭のかたちも一緒にチェックしてみませんか?

 

 今回お話ししたように、頭のかたちには「乳児期の寝かせ方」「成人後の疾患」「生まれた時代」といった、さまざまな要因が絡み合っています。

赤ちゃんの頭のかたちを気にする親御さんは多いですが、「私の頭のかたちも少し気になる」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。

当クリニックでは、乳児の頭のかたちの矯正治療(ヘルメット治療)を専門に行うだけでなく、ご家族の頭蓋形態についても気になる点があれば一緒にお答えできればいいなと考えています。

例えば、頭蓋形態に関する健康リスクがあるかどうか、あるいは乳児期の影響がどれくらい残っているかなど、丁寧に診察します。

 

まとめ:頭のかたちから健康を考える

 

 頭のかたちは単なる「見た目」だけでなく、健康や育児環境を反映する重要な指標です。乳児期の頭蓋形態がその後の成長や健康にどのように影響するか、また成人後の疾患との関連性については、まだ研究途上の部分も多いですが、新たな発見が続いています。

もし赤ちゃんの頭のかたちで気になることがあれば、そして「私の頭のかたちも一度見てほしい」と思ったら、ぜひご相談ください。

当クリニックは、皆さんの健康を支えるお手伝いをしたいと考えています。

 

当院では治療結果に基づく信頼性の高いケアを提供しております。赤ちゃんの頭のかたちについて気になる方、まずはお気軽に当院までご相談ください。

 

 

参考文献

Nagaishi M, et al. Sci Rep. 2021.Sep 2;11(1):17616.

https://www.nature.com/articles/s41598-021-97054-4

 

 

お子様のあたまのかたちが気になる方はこちらから簡単に計測してみてください。

 

 

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この記事を書いた先生のプロフィール

医師・医学博士【脳神経外科専門医・頭痛専門医 ほか】
脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。脳卒中予防に重点をおいた内科管理や全身管理を得意としています。
脳の病気は、目が見えにくい、頭が重たい、めまい、物忘れなど些細な症状だと思っていても重篤な病気が潜んでいる可能性があります。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

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