頭痛薬が効かない原因とは?

  頭痛の種類と頭痛薬

 

頭痛は大まかに分けて「緊張型頭痛」「片頭痛」「群発頭痛」などがあり、それぞれに適した薬が異なります。例えば、緊張型頭痛には抗不安薬や抗うつ薬が、片頭痛にはトリプタン系の薬や新しいタイプの抗CGRP製剤が効果的です。そのため、自己判断で市販薬を選んでいると、頭痛の種類に合っていない薬を使用してしまい、効果を感じられないことがあります。

 

 頭痛薬の使用方法

 

頭痛薬は、頭痛が始まったらすぐに飲むことが大切です。痛みが強くなってからではなく、頭痛の初期症状が出た段階で飲むことで、効果的に痛みを抑えることができます。また、適切な量を飲むことも重要で、必要以上に多量に飲むと逆に頭痛が悪化する「薬物乱用性頭痛」を引き起こす危険性があります

 

 

 頭痛の原因

 

頭痛の原因が身体の他の病気である可能性もあります。例えば、クモ膜下出血など脳の病気や高血圧・甲状腺疾患などの内科的な疾患、歯科疾患、眼科疾患などが原因で頭痛が起こることがあります。このような場合、頭痛薬を飲んでも根本的な原因が解消されないため、頭痛が改善されないことがあります。

 

以上の理由から、頭痛薬が効かない場合は、頭痛の種類を正しく診断してもらい、適切な薬を選び、正しい使用方法で飲むことが大切です。また、長期間にわたり頭痛が続く場合や頭痛の性質が変わった場合は、医療機関に相談することをおすすめします。

 

 頭痛の種類とそれぞれの特徴

頭痛はその原因や特徴により、大きく分けて「一次性頭痛」「二次性頭痛」に分類されます。

 

 一次性頭痛

一次性頭痛は頭痛自体が主な症状であり、特にそれが引き起こされる明確な原因が見つからないものを指します。代表的な一次性頭痛には「緊張型頭痛」、「片頭痛」、「群発頭痛」などがあります。

「緊張型頭痛」は最も一般的な頭痛で、頭全体が締め付けられるような鈍い痛みが特徴です。ストレスや長時間の同じ姿勢が引き金となることが多く、痛みは比較的軽度から中度です。

「片頭痛」はズキンズキンと拍動性の痛みが特徴で、吐き気や光・音への過敏さを伴うことがよくあります。発作的に起こり、数時間から数日間続くことがあります。

「群発頭痛」は非常に激しい痛みが特徴で、眼の周囲や顔の一側に突然現れます。発作は短時間ですが、その間はほとんど動けないほどの強烈な痛みが続きます。

 

 二次性頭痛

二次性頭痛は他の病気が原因で頭痛が起こるもので、脳腫瘍、脳血管障害、脳炎、副鼻腔炎、高血圧などが原因となることがあります。特に頭痛が急に始まり、激しい痛みが続く場合や、他の症状(めまい、視覚障害、高熱など)と一緒に頭痛が起こる場合は、直ちに医療機関を受診する必要があります。

 

 

 頭痛薬の正しい使用方法

 

頭痛薬の正しい使用方法は、その種類や症状により異なります。まず、どんな薬でも指示された量と時間を守ることが基本です。過剰な摂取は副作用を引き起こす可能性があります。また症状が改善しない場合には適切な診断と治療のために医療機関で相談しましょう

 

 市販の頭痛薬

 

市販の非ステロイド性抗炎症薬(イヴ)やアセトアミノフェンなどの一般的な頭痛薬は、頭痛が始まった初期段階で服用することが推奨されます。これらの薬は痛みを和らげる作用がありますが、痛みがピークに達してから服用しても効果は限定的です。

 

 医療機関で処方する頭痛薬

 

片頭痛の場合、トリプタン系の薬が処方されることがあります。これらの薬もまた、片頭痛の初期症状が現れた段階で服用することが最も効果的です。トリプタン系の薬は脳の血管を収縮させ、痛みを和らげる作用があります。

 

頭痛薬を長期間、頻繁に使用すると、「薬物乱用性頭痛」を引き起こす可能性があります。薬物乱用性頭痛は、頭痛薬の使用を中止すると一時的に頭痛が悪化する状態を指し、この状況から抜け出すためには医師の指導のもとで薬の使用を段階的に減らすことが必要となります。

 

頭痛薬を服用する際は、空腹時よりも食後の方が胃への負担が少なくなります。また、水やぬるま湯と一緒に服用し、アルコールと一緒に服用することは避けましょう。

頭痛が頻繁に起こる場合や、頭痛薬を服用しても改善しない場合は、医療機関に相談することをおすすめします。

 

 抗CGRP製剤

 

抗CGRP製剤は、主に片頭痛の治療に用いられる新しいタイプの薬物で、近年の神経科学の進歩により開発されました。CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は、脳内の神経伝達物質で、痛みの伝達や血管の拡張などに関与しています。特にCGRPは、片頭痛の発症に深く関わっていると考えられています。

抗CGRP製剤は、CGRPやその受容体に作用し、その活性化を阻害することで、片頭痛の予防や症状の軽減に寄与します。具体的には、CGRPが血管の拡張や炎症反応を引き起こすことを抑え、痛みの伝達を防ぎます。これにより、頭痛の発生を予防し、既に発生した頭痛の痛みを和らげることが可能となります。

抗CGRP製剤は、片頭痛の頻度や重症度が高い患者や、他の治療法が効果を示さない患者に対して特に有用とされています。また、従来の片頭痛治療薬と比較して副作用が少ないという特徴もあります。これにより、長期的な治療においても患者の生活の質を維持しながら、片頭痛の頻度や強度を減らすことが可能となります。

当院ではアジョビエムガルディアイモビーグの3製剤の豊富な使用経験があります。

 

 

 

 

 頭痛薬が効かない時の対処方法

 

頭痛薬が効かない場合には、リラクゼーションテクニック、ストレッチング、適度な運動、十分な睡眠、バランスの良い食事、水分補給などを実施しましょう。これらの生活習慣の改善は、頭痛の予防だけでなく、一度起きてしまった頭痛の緩和にも役立ちます。

頭痛が続く場合や、頭痛が日常生活に影響を及ぼす程度に悪化する場合は、頭痛専門の医師に相談しましょう。

 

 ストレスや生活習慣が頭痛に与える影響

 

 ストレスと頭痛

 

ストレスや生活習慣は頭痛に大きな影響を与えます。ストレスは体全体に影響を及ぼし、特に自律神経系に作用して頭痛を引き起こすことがあります。ストレスが原因で起こる頭痛には緊張型頭痛があり、長時間の集中や緊張からくる筋肉のこりが頭痛を引き起こすことがあります。詳細は片頭痛とストレスの関係に記載しております。

 

 生活習慣と頭痛

 

生活習慣も頭痛に影響を与えます。睡眠不足や過剰な睡眠、不規則な生活リズム、適度な運動不足、不健康な食事などは頭痛を引き起こす可能性があります。特に睡眠は体を回復させ、ストレスを軽減する重要な要素であるため、睡眠不足は頭痛の一因となり得ます。

また、飲酒やカフェインの摂取も頭痛に影響を与えることがあります。アルコールは脱水症状を引き起こし、脳の血管を拡張させることで頭痛を引き起こします。カフェインもまた頭痛の引き金となり得ます。カフェインは初めは痛みを和らげる効果がありますが、過剰摂取や急なカフェイン摂取の中断は頭痛を引き起こすことがあります。

規則正しい生活リズムを保つ、健康的な食事を心掛ける、適度な運動を行う、十分な休息をとるなどが基本的な対策となります。また、リラクゼーションテクニックやマインドフルネスなどを活用することでストレスを管理し、頭痛の発生を抑えることができます。

 

 頭痛を予防するための生活習慣の改善策

 

〇 過度なアルコールやカフェインの摂取は頭痛を引き起こす可能性があります。適度な摂取を心掛けましょう。

〇 栄養バランスの取れた食事を摂りましょう。体の機能を正常に保つことができます。特に、血糖値の急激な上下は頭痛を引き起こす可能性があるため、小分けにしてこまめに食事を摂ることがおすすめです。

〇 睡眠不足は頭痛の一因です。一日に7~8時間の睡眠を心掛け、就寝時間と起床時間を一定にすることで、生体リズムを整えましょう。

〇 適度な運動は血流を良くし、ストレスを減らす効果があります。特に有酸素運動は頭痛予防に有効とされています。

〇 ストレスは頭痛を引き起こす大きな要因です。リラクゼーションテクニックやマインドフルネス、ヨガなどを取り入れ、ストレスを適切に管理しましょう。

〇 長時間のパソコン作業や読書は目の疲れを引き起こし、それが頭痛につながることがあります。適度に休憩を取り、視力を保つためのケアを心掛けましょう。

〇 脱水症状が頭痛を引き起こすことがあります。こまめに水分補給を行いましょう。

 

これらの生活習慣を改善することで、頭痛の発生を予防し、健康的な生活を送ることができます。ただし、これらの予防策が全ての頭痛に効果的とは限らないため、頭痛が続く場合やひどい頭痛が起こる場合は、医療機関を受診することが重要です。

また、当院では頭痛ナースが生活習慣についてアドバイスいたしますので、ご相談ください。

 

 

 頭痛専門医への相談の重要性

 

頭痛は多くの人が経験する一般的な症状であり、多くの場合は一時的なもので、特に深刻な健康問題を示すものではありません。しかし、頭痛が頻繁に起こる、または非常に強い痛みを伴う場合、専門医に相談することが重要です。

頭痛専門医は、頭痛の原因を詳しく診断し、適切な治療法を提供します。頭痛は多種多様で、その原因も様々です。一次性頭痛(片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛など)、二次性頭痛は、それぞれ特徴と治療法が異なります。特に、頭痛が他の病状から来ている二次性頭痛の場合、その背後にある病状を適切に診断・治療することが必要となります。

頭痛専門医は、頭痛の症状に対する最新の治療法や薬物についての知識が豊富です。市販の頭痛薬が効かない場合や、頭痛が日常生活に大きな影響を与えている場合、専門医に相談することでより効果的な治療法を見つけることができます。また、生活習慣の改善やストレス管理など、薬物治療だけでないアプローチを提案することもあります。これらは頭痛の予防や、頭痛が起こった時の対処法として有効です。

頭痛が頻繁に起こる、頭痛の強度や性質が変わった、頭痛が日常生活に影響を及ぼす、市販の薬が効かないなどの症状がある場合、頭痛専門医への相談をおすすめします。専門医は頭痛の原因を的確に診断し、あなたの症状に最適な治療法を提供します。

 

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この記事を書いた先生のプロフィール

医師・医学博士【脳神経外科専門医・頭痛専門医 ほか】
脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。脳卒中予防に重点をおいた内科管理や全身管理を得意としています。
脳の病気は、目が見えにくい、頭が重たい、めまい、物忘れなど些細な症状だと思っていても重篤な病気が潜んでいる可能性があります。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

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