耳の後ろが痛いのはなぜ?原因をチェック

 

「耳の後ろがズキズキする」「触ると痛い」「急にピリッとした痛みが走る」——こんな症状に悩んでいませんか?

耳の後ろの痛みには、いくつかの原因が考えられます。単なる疲れや寝違えのような一時的なものから、帯状疱疹(たいじょうほうしん)や後頭神経痛(こうとうしんけいつう)といった治療が必要なケースまでさまざまです。痛みの原因によって対処法も異なるため、症状の特徴をしっかり把握することが大切です。

 

ここでは、耳の後ろが痛くなる主な原因について詳しく解説していきます。

 

耳の後ろが痛むときに考えられる主な病気

 

耳の後ろの痛みは、大きく分けて「リンパの腫れ」「神経痛(しんけいつう)」「感染症(かんせんしょう)」「顎関節症(がくかんせつしょう)」などが原因として考えられます。

 

✔ 痛みの種類と考えられる原因

✅ ズキズキ・ジンジン痛む → リンパの腫れ、感染症

✅ ピリピリ・電気が走るような痛み → 後頭神経痛、帯状疱疹

✅ 押すと痛い・腫れを伴う → リンパ節の炎症

✅ 顎を動かすと痛む → 顎関節症

 

痛みの出方によって、どの病気の可能性が高いのかがある程度わかります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

 リンパ節の腫れが原因のケース|風邪・感染症との関連

 

耳の後ろにはリンパ節があり、風邪や細菌感染によって腫れることがあります。たとえば、扁桃炎(へんとうえん)や咽頭炎(いんとうえん)があると、リンパが反応して痛みを伴うことがあります。

 

✔ こんな症状があればリンパの腫れが原因かも?

✅  風邪をひいている、または最近ひいたばかり

✅  発熱がある

✅  耳の後ろを押すと腫れやしこりを感じる

✅ 痛みがジンジンと響く

 

ほとんどの場合、風邪が治るとともに痛みも改善します。ただし、リンパの腫れが長引いたり、どんどん大きくなったりする場合は、耳鼻科や内科を受診しましょう。

 

後頭神経痛が原因のケース|ピリッとした痛みの正体

 

後頭神経痛は、首の後ろから頭にかけて走る「大後頭神経」「小後頭神経」が刺激されることで発生します。痛みは突然、ピリッと電気が走るように出るのが特徴です。

 

✔ こんな症状があれば後頭神経痛の可能性あり!

☑ 急にピリッとした痛みが走る

☑ 片側だけ痛むことが多い

☑ 長時間同じ姿勢を続けた後に痛くなる

☑ ストレスや疲れが溜まっている

 

デスクワークが多い人や、首・肩に負担がかかる生活をしている人に起こりやすいです。ストレッチや温めることで楽になることもありますが、頻繁に痛む場合は脳神経外科やペインクリニックを受診し、必要に応じて神経ブロック注射などの治療を受けましょう。

 

 帯状疱疹の可能性|初期症状を見逃さないで!

 

「耳の後ろがピリピリする」「触るとチクチクする」……もしこんな違和感があれば、帯状疱疹の可能性があります。帯状疱疹は、過去にかかった水ぼうそうのウイルスが再活性化することで発症し、皮膚に赤い発疹や水ぶくれが出るのが特徴です。

 

✔ 帯状疱疹を疑うポイント

☑ ピリピリ・チクチクする痛みがある

☑ 片側だけに痛みが出る

☑ 発疹や水ぶくれが出てきた

☑ 強い疲労やストレスがある

 

帯状疱疹は早めに治療を始めることで、重症化や後遺症を防ぐことができます。発疹が現れたらすぐに皮膚科や内科を受診し、抗ウイルス薬を処方してもらいましょう。痛みが長引く場合は「帯状疱疹後神経痛」に移行する可能性もあるため、適切な治療を受けることが大切です。

 

顎関節症が原因の場合|耳の後ろの痛みと関係する?

 

意外に思うかもしれませんが、顎関節症でも耳の後ろに痛みが出ることがあります。これは、顎の動きをコントロールする筋肉や神経が耳の周囲ともつながっているためです。

 

✔ こんな症状があれば顎関節症の可能性あり!

☑ 口を開けるとカクッと音がする

☑ 硬いものを噛むと痛い

☑ 長時間ガムを噛んだ後に痛みが増す

☑ 歯ぎしりや食いしばりの癖がある

 

顎関節症の場合、歯科や口腔外科を受診すると、マウスピースや噛み合わせの調整などの治療が受けられます。また、ストレスや食生活の見直しも大切です。

 

 耳の後ろが痛いときにやるべきこと

 

「耳の後ろが痛いけど、病院に行くべき?それとも様子を見ても大丈夫?」と迷うこともありますよね。原因によっては自然に治る場合もあれば、早めの受診が必要なケースもあります。そこで、まずはセルフチェックを行い、自宅でできる対処法と受診すべき診療科について詳しく解説していきます。

 

セルフチェック|受診の目安と痛みの特徴

 

耳の後ろが痛むとき、原因によって症状が異なります。まずは以下のポイントを確認して、どのタイプの痛みに当てはまるかをチェックしてみましょう。

 

✔ 痛みの特徴と考えられる原因

✅ 発熱がある、喉の痛みや咳がある → 風邪や感染症の可能性

✅ 痛みと同時に発疹が出ている → 帯状疱疹の疑い

✅ 片側だけ痛みがあり、ズキズキまたはピリッとした痛み → 後頭神経痛やリンパ節の腫れの可能性

✅ 顎を動かしたときに痛む、口を開けると違和感がある → 顎関節症の可能性

✅ 耳の後ろを押すとしこりのような腫れがある → リンパの腫れや耳下腺炎の可能性

 

✔ こんな場合はすぐに病院へ!

✅ 痛みが強く、日常生活に支障がある

✅ 痛みが3日以上続いている

✅ 発疹や水ぶくれが出ている

✅ 耳の後ろが大きく腫れ上がっている

✅ めまいや難聴、顔のまひがある

 

痛みが一時的なものなら様子を見るのもアリですが、上記の症状がある場合はすぐに病院を受診してください。

 

自宅でできる対処法|痛みを和らげる方法

 

症状が軽い場合は、無理に病院へ行かなくても、日常のケアで改善することがあります。以下の方法を試して、痛みを和らげましょう。

 

① 痛みの種類に応じたケア方法

🔹 後頭神経痛・筋肉のこわばりが原因のとき

 → 温める(蒸しタオルやカイロを活用)

血行を良くすることで、神経や筋肉の緊張をほぐし、痛みを和らげることができます。長時間のデスクワークや姿勢の悪さが原因の場合は、ストレッチも効果的です。

 

🔹 リンパの腫れ・炎症が原因のとき

 → 冷やす(氷枕や冷たいタオルを当てる)

炎症が原因で腫れや痛みがある場合は、冷やすことで炎症を抑えることができます。ただし、冷やしすぎると逆効果になることもあるので、20分程度を目安にしましょう。

 

🔹 帯状疱疹が疑われるとき

 → 刺激を避ける・早めに皮膚科を受診する

発疹や水ぶくれが出ている場合は、患部を触らず、できるだけ刺激を与えないようにしましょう。帯状疱疹の治療は早いほど効果的なので、すぐに医療機関を受診してください。

 

🔹 顎関節症が疑われるとき

 → 硬いものを避ける・食事を見直す

顎の負担を減らすため、硬い食べ物(せんべいやナッツ類)を避け、できるだけ柔らかいものを食べるようにしましょう。また、ストレスが原因で食いしばる癖がある場合は、リラックスする時間を作るのも大切です。

 

② 生活習慣を見直して痛みを予防

✅ スマホやPCの長時間使用を控え、姿勢を意識する

✅ 十分な睡眠をとり、ストレスを溜めない

✅ バランスの良い食事で免疫力を高める

✅ シャワーだけで済ませず、湯船に浸かって血行を良くする

 

軽い痛みなら、これらのケアで自然に回復することもあります。ただし、症状が改善しない場合は早めに受診しましょう。

 

受診すべき診療科は?耳鼻科?脳神経外科?

「どの病院に行けばいいの?」と迷う人も多いですよね。耳の後ろの痛みは原因によって受診すべき診療科が異なります。

 

✔ 受診する診療科の目安

✅ 風邪や感染症が疑われる場合 → 耳鼻咽喉科

✅ ズキッと鋭い痛みがある、後頭神経痛の可能性がある場合 → 脳神経外科

✅ 発疹や水ぶくれがある場合 → 皮膚科

✅ 顎関節症が疑われる場合 → 歯科または口腔外科

 

✔ こんな場合は総合病院や救急外来へ

✅ めまいや吐き気を伴う

✅顔のまひや視界の異常がある

✅痛みがあまりに強く、動くのがつらい

 

このような症状がある場合、脳の病気や神経の異常が原因の可能性もあるため、迷わず病院を受診してください。

 

 Q&A|「耳の後ろが痛い」に関するよくある疑問

耳の後ろの痛みがあると、「これって大丈夫?」「病院に行くべき?」と不安になりますよね。特に、片側だけ痛い場合や長引く痛みは、「もしかして重大な病気かも?」と気になることも。ここでは、耳の後ろの痛みに関して、よくある疑問にお答えします。

 

耳の後ろが痛いときにマッサージしても大丈夫?

「痛いところをマッサージすれば良くなるかも…」と思う人も多いですが、原因によっては逆効果になることがあります。まずは、痛みの種類によってマッサージしても良いかどうかを判断しましょう。

 

✔ マッサージしても大丈夫なケース

✅ リンパの腫れが原因 → 軽くさする程度ならOK

リンパが腫れている場合、やさしくさすったり温めたりすることで血行が良くなり、腫れが引きやすくなります。ただし、強く押したり揉んだりすると炎症が悪化することがあるので注意が必要です。

 

✅ 筋肉のこわばりが原因(肩こり・ストレス) → 優しくマッサージは有効

長時間のデスクワークや猫背の影響で、首や肩の筋肉がこわばると、耳の後ろの痛みにつながることがあります。この場合、軽いストレッチや首・肩のマッサージは効果的です。

 

❌ マッサージしないほうがいいケース

❌ 後頭神経痛が原因 → 強く押すと悪化する可能性あり

後頭神経痛は、神経が刺激されることで起こるため、強く押したり揉んだりすると痛みがひどくなることがあります。温める程度にとどめ、痛みが続く場合はペインクリニックや脳神経外科を受診しましょう。

 

❌ 帯状疱疹が原因 → 絶対に触らないほうがいい

帯状疱疹はウイルス感染によるものなので、マッサージをすると炎症が広がる可能性があります。また、神経にダメージを与える病気なので、痛みが強い場合は早めに皮膚科を受診してください。

 

結論

✔ マッサージしても良いのは、リンパの腫れや肩こりが原因の場合のみ

✔ 神経痛や帯状疱疹の疑いがあるなら、マッサージは厳禁

✔ 痛みが続く場合は、無理にマッサージせずに病院へ

 

痛みが片側だけの場合、何か特別な病気の可能性は?

「耳の後ろが片側だけ痛いけど、これって普通?」と疑問に思う人もいるかもしれません。実は、片側だけの痛みには、特定の病気が関係していることが多いです。

 

✔ 片側だけ痛みが出ることが多い病気

✅ 後頭神経痛 → 片側にピリッとした鋭い痛みが走る

✅ 帯状疱疹 → 片側にピリピリ・チクチクした痛みがあり、発疹が出る

✅ リンパ節の腫れ → 風邪や感染症が原因で、片側だけ腫れることがある

 

✔ こんな症状があれば病院へ

✅痛みが片側に集中している

✅ ズキズキ・ピリピリとした痛みがある

✅ 発疹や水ぶくれがある

✅ 痛みが3日以上続く、または悪化している

 

特に帯状疱疹の初期症状は、「なんとなく違和感がある」程度のことも多いです。「ちょっとおかしいな」と感じたら、早めに皮膚科を受診しましょう。

 

結論

✔ 片側だけの痛みは、後頭神経痛・帯状疱疹・リンパの腫れが原因のことが多い

✔ 発疹がある場合は帯状疱疹の可能性が高いので、皮膚科へ

✔ 3日以上痛みが続く場合は、迷わず受診を

 

 耳の後ろの痛みが続く場合、何日くらいで病院に行くべき?

「ちょっと痛いけど、もう少し様子を見ようかな…」と思っているうちに、気づけば何日も経っていた、なんてことはありませんか?耳の後ろの痛みが長引く場合、放置してはいけないケースもあります。

 

✔ こんなときはすぐに病院へ

✅ 痛みが3日以上続いている

✅ 痛みがどんどん強くなっている

✅ 発疹や水ぶくれが出てきた

✅ 痛みだけでなく、発熱や倦怠感もある

✅ めまいや顔のまひ、しびれを感じる

 

特に「発疹がある」「顔のまひやめまいがある」といった症状が出た場合、帯状疱疹や脳の病気の可能性もあるため、できるだけ早く医療機関を受診してください。

 

✔ 症状別の受診の目安

🔹 リンパの腫れ・風邪の影響なら → 3日ほど様子を見てもOK

🔹 後頭神経痛が疑われる場合 → 痛みが強くなるなら早めに受診

🔹 帯状疱疹が疑われる場合(ピリピリした痛み+発疹) → 発疹が出たら即受診!

🔹 顔のまひやしびれを感じる場合 → 迷わず救急外来へ

 

結論

✔ 痛みが3日以上続くなら、受診を考えるべき

✔ 発疹が出たら即、皮膚科へ

✔ 顔のまひやしびれがある場合は、緊急で受診!

 

まとめ|耳の後ろの痛みは早めの対処が大切!

耳の後ろが痛む原因には、リンパの腫れ、後頭神経痛、帯状疱疹、顎関節症などさまざまなものがあります。軽いものであれば自宅でのケアで改善することもありますが、3日以上痛みが続く、発疹がある、顔のまひやしびれを感じる場合は、早めに医療機関を受診してください。

 

特に、後頭神経痛や帯状疱疹は放置すると痛みが長引くことがあり、適切な治療が必要です。「もしかして…?」と思ったら、無理に我慢せずに専門医に相談しましょう。

 

当院では、脳神経外科専門医が後頭神経痛や神経の異常による痛みに対応しています。気になる症状があれば、お気軽にご相談ください!

 

 

 

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この記事を書いた先生のプロフィール

医師・医学博士【脳神経外科専門医・頭痛専門医 ほか】
脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。脳卒中予防に重点をおいた内科管理や全身管理を得意としています。
脳の病気は、目が見えにくい、頭が重たい、めまい、物忘れなど些細な症状だと思っていても重篤な病気が潜んでいる可能性があります。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

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