眼の奥が痛むという症状が現れると、目の病気を疑いますが、実際に目の奥には脳や血管、神経などが存在します。そのため眼の奥が痛む背景には、多岐にわたる疾患や病態が関わっている可能性があります。そこで、本記事では頭痛専門医の視点から眼の奥が痛む原因について解説します。

 

 

眼の奥が痛む症状は、その背景にある病態を正しく把握し、適切な治療を受けることが重要です。早期の対応が、症状の改善につながることを覚えておきましょう。

 

二次性頭痛

  • 副鼻腔炎
  • くも膜下出血
  • 下垂体卒中
  • 内頚動脈海綿静脈洞ろう
  • 眼窩内腫瘍、炎症
  • 視神経炎
  • 緑内障

 

一次性頭痛

  • 群発頭痛
  • 片頭痛
  • VDT症候群(眼精疲労)

 

眼の奥が痛くなる原因とは?-早期の診断と適切な治療が重要です

 

眼の奥が痛むと感じたことがある方は少なくないでしょう。この症状は、さまざまな原因が考えられ、場合によっては深刻な疾患の兆候であることもあります。この記事では、眼の奥が痛くなる主な原因と、その対処法について解説します。

 

二次性頭痛による痛み

二次性頭痛とは、何らかの疾患が原因で引き起こされる頭痛のことです。眼の奥の痛みが二次性頭痛によるものである場合、以下のような疾患が考えられます。

 

副鼻腔炎

 

副鼻腔炎は、鼻の周囲にある空洞(副鼻腔)が炎症を起こし、膿がたまることで発生します。この炎症が眼の奥の痛みを引き起こすことがあります。副鼻腔炎は鼻づまりや顔面の圧迫感を伴うことが多く、症状が続く場合は耳鼻咽喉科での診察が必要です。

 

 

 

副鼻腔炎を放置していると副鼻腔炎の合併症で、ムコシールという粘液が貯留し、視神経を圧迫し、視力障害を引き起こすので、早期治療が大切です

 

 

くも膜下出血

 

くも膜下出血(くもまくかしゅっけつ)では、目の奥の痛みが生じることがあります。くも膜下出血は、脳内の血管が破れて脳を包むくも膜の下に出血が起こる状態で、非常に重篤な病態です。突然の激しい頭痛が特徴で、「これまで経験したことのない激痛」と表現されることが多く、しばしば「雷鳴頭痛(らいめいずつう)」と呼ばれます。

 

 

この激しい頭痛は、しばしば眼の奥や周囲にも痛みとして感じられることがあります。眼の奥の痛みが急激に発生し、同時に強い頭痛や意識障害、吐き気・嘔吐、視覚障害などの症状がある場合は、くも膜下出血の可能性があり、緊急に医療機関での対応が必要です。

くも膜下出血は早期に診断し、適切な治療を行わなければ生命に関わる危険がありますので、疑わしい症状がある場合は、すぐに救急車を呼び、専門の医師に診察してもらうことが重要です。

 

 

下垂体卒中

 

下垂体卒中(pituitary apoplexy)によって目の奥に痛みが生じることがあります。下垂体卒中は、下垂体腺に急性の出血や梗塞が起こる状態で、緊急性の高い疾患です。症状は突然現れ、特に激しい頭痛が特徴的で、この痛みが眼の奥にまで及ぶことがあります。

下垂体卒中で目の奥が痛む理由は、下垂体が頭蓋内の構造に近接しているためです。下垂体は脳の中央部に位置し、視神経に近い場所にあります。そのため、急激な腫れや出血が発生すると、視神経が圧迫され、眼の奥に痛みを感じることがあります。

 

 

内頚動脈海綿静脈洞ろう

 

内頚動脈海綿静脈洞ろう(ないけいどうじょうみゃくかいめんじょうみゃくどうろう)は、頸動脈と静脈が異常に接続されることで発生する状態です。この状態が眼に影響を与え、眼の奥の痛みを引き起こすことがあります。早期発見が重要であり、治療には神経外科的介入が必要となることがあります。

 

 

眼窩内腫瘍、炎症

 

眼窩内(がんかない)に腫瘍や炎症が発生すると、眼の奥に圧迫感や痛みを感じることがあります。腫瘍の有無や炎症の程度を調べるためには、眼科や脳神経外科での精密検査が必要です。

 

 

 

視神経炎

 

視神経炎は、視神経が炎症を起こすことで生じる疾患で、視力低下や視野の欠損とともに眼の奥の痛みを伴うことがあります。早期の診断と治療が視力の回復に重要です。

 

緑内障

 

緑内障(りょくないしょう)は、眼圧の上昇により視神経が障害される疾患で、進行すると失明のリスクもあります。急性緑内障では眼の奥に強い痛みを感じることがあり、緊急の治療が必要です。

 

一次性頭痛による痛み

 

一次性頭痛は、特定の病気が原因ではなく、頭痛自体が主症状として現れるものです。眼の奥の痛みが一次性頭痛に関連する場合、以下のようなタイプが考えられます。

 

群発頭痛

 

群発頭痛(ぐんぱつずつう)は、眼の周囲や奥に激しい痛みが繰り返し現れる頭痛の一種です。痛みは片側に集中し、非常に強烈なため、生活に大きな支障をきたすことがあります。専門的な治療が必要です。

 

片頭痛

 

片頭痛は、頭の片側に強い痛みを伴う頭痛で、眼の奥にも痛みを感じることがあります。光や音に対する過敏性を伴うことが多く、発作時には静かな場所での休息が推奨されます。

 

 

VDT症候群(眼精疲労)

 

長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用によって、眼精疲労が起こることがあります。目の奥(眼窩)には、筋肉と神経があります。疲労により眼の奥に痛みを感じることがあり、適度な休憩と目のケアが重要です。

 

 

 

 

 

 まとめ

眼の奥の痛みは、さまざまな原因で引き起こされる可能性があります。放置すると症状が悪化する場合もあるため、早期に専門医の診察を受け、適切な治療を開始することが重要です。特に、視力や日常生活に影響が出るような症状がある場合は、早めの対応を心掛けましょう。

 

クリニックでは、眼の奥の痛みや頭痛に対する診察や治療を行っています。気になる症状がある場合は、お気軽にご相談ください。

 

 

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この記事を書いた先生のプロフィール

医師・医学博士【脳神経外科専門医・頭痛専門医 ほか】
脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。脳卒中予防に重点をおいた内科管理や全身管理を得意としています。
脳の病気は、目が見えにくい、頭が重たい、めまい、物忘れなど些細な症状だと思っていても重篤な病気が潜んでいる可能性があります。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

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