起立性調節障害(OD)てんかんは、特に若年層に多い神経系の疾患であり、一部の症状が似ているため正確な鑑別診断が必要です。

ここでは、これらの疾患を正しく見分け、適切な治療を行うために考慮すべきポイントとその重要性について解説します。

 

鑑別診断の重要性

 

 

起立性調節障害てんかんは、症状が似ていることからしばしば混同されることがあります。しかし、両者は発症の背景や治療法が異なり、誤診が行われると適切な治療が遅れる可能性があります。たとえば、起立性調節障害は生活習慣の改善や薬物療法が効果的ですが、てんかんには抗てんかん薬の使用が必要です。誤った診断が行われると、治療効果が得られないだけでなく、症状が悪化するリスクも高まります。

 

 

鑑別診断のポイント

 

 

発作の種類と頻度

  てんかん発作は、特定の誘因がなくても突然起こることが多く、数秒から数分間続きます。意識消失やけいれんを伴うことが多いのが特徴です。一方、起立性調節障害の症状は体位の変化、例えば立ち上がったり長時間立っている際に誘発されることが多く、意識消失はあってもけいれんはほとんど見られません。

 

意識状態の違い

 

てんかん発作後には、意識が混濁したり、発作中の記憶が曖昧になることがよくあります。一方、起立性調節障害では一時的な意識消失が起きても、すぐに意識が回復し、記憶の混乱はありません。

 

診断検査


起立性調節障害は、心拍数や血圧の変動が特徴的で、心電図ホルター心電図で確認できます。これに対し、てんかんの診断には脳波検査が有効で、発作中または発作間欠期に脳波の異常が見られることが多いです。また、起立試験は起立性調節障害の診断において、血圧や脈拍の変動を測定するために使用されます。

 

症状の持続性と誘因

てんかん発作は突然始まり、短時間で終了することが多いのに対し、起立性調節障害は長時間の立位や立ち上がりで症状が悪化し、数分間持続することがよくあります。

 

 

 患者の年齢や背景

 

てんかんは小児期から思春期にかけて発症することが多いのに対し、起立性調節障害は思春期の若年層で多く見られ、心理的ストレスや生活習慣が発症に関わることがあります。また、起立性調節障害は自律神経の発達に伴い、症状が改善する場合が多いです。

 

まとめ

 

起立性調節障害とてんかんの正確な鑑別診断は、患者に適切な治療を行うために非常に重要です。特に、てんかん発作と誤診されることで不必要な治療が行われるリスクを避けるため、心電図や脳波検査などの検査結果を活用し、慎重な診断が求められます。

 

 

 

 

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この記事を書いた先生のプロフィール

医師・医学博士【脳神経外科専門医・頭痛専門医 ほか】
脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。脳卒中予防に重点をおいた内科管理や全身管理を得意としています。
脳の病気は、目が見えにくい、頭が重たい、めまい、物忘れなど些細な症状だと思っていても重篤な病気が潜んでいる可能性があります。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

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