帯状疱疹ワクチンには2つの選択肢があります。どちらを選ぶべきか?
その答えは、信頼できる臨床試験データの中にあります。本稿では、2つの大規模研究を基に、客観的な事実からあなたに最適なワクチン選びをサポートします。
なぜ今、2種類のワクチンがあるのか?
かつて、帯状疱疹を予防するワクチンは「弱毒生ワクチン(ビケン®)」しかありませんでした。このワクチンは、水ぼうそうの予防にも使われる伝統的なタイプで、帯状疱疹の発症率を約半分に、後遺症である帯状疱疹後神経痛(PHN)を約67%減少させるという画期的なものでした(Oxman MN, et al. 2005)。
しかし、高齢者では効果が落ちる点や、免疫力が低下した方には使えないという課題がありました。
その課題を克服するために開発されたのが、新しい技術を用いた「不活化ワクチン(シングリックス®)」です。このワクチンは、ウイルスの成分の一部だけを使うことで安全性を高めつつ、強力なアジュバント(免疫を強める物質)を加えることで、高齢者でも極めて高い予防効果(発症予防97.2%)を実現しました(Lal H, et al. 2015)。
この開発の歴史が、効果や安全性、価格が異なる2つの選択肢が生まれた背景です。だからこそ、私たちはそれぞれの特性をデータで正しく理解し、自分にとって最適な選択をする必要があるのです。
データが示す、3つの判断基準
論文データを基に、ワクチン選びの重要なポイントを3つに絞って解説します。
よくあるご質問
はい、接種をお勧めします。50歳以上の日本人はほぼ100%が水ぼうそうウイルスの抗体を持っていますが、帯状疱疹を抑えるために重要な「細胞性免疫」は、年齢とともに自然に低下していきます。ワクチンはこの低下した免疫力を再び高め、帯状疱疹の発症を予防する効果があります。
ワクチンの種類によって異なります。
- シングリックス®: 接種後11年経過しても約80%という高い有効性を維持していたとの長期追跡データが報告されており、効果は長期間持続すると考えられています。
- ビケン®(生ワクチン): 効果は時間とともに低下する傾向が報告されています。ある研究では、接種後5~8年で有効性が30%以下になったとされています。
いいえ、使えません。シングリックス®は帯状疱疹の予防専用に開発されたワクチンであり、水痘(水ぼうそう)の予防効果は確認されていません。水痘の予防には、承認された弱毒生水痘ワクチン(ビケン®など)を接種する必要があります。
はい、接種が推奨されます。帯状疱疹は一度かかっても、数%の確率で再発することがあります。再発ピークは3~11年後。最後の発作から再発まで2か月の事例もありました。
再発予防のためにも、ワクチン接種は有効です。帯状疱疹の症状が治まってから、医師に接種タイミングを相談してください。

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参考文献
- Dooling KL, et al Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices for
Use of Herpes Zoster Vaccines. Morb Mort Weekly Rep 2018 (帯状疱疹ワクチンの接種時期) - Lal H, et al. Efficacy of an Adjuvanted Herpes Zoster Subunit Vaccine in Older Adults. N Engl J Med 2015; 372:2087-2096. (シングリックス®に関する論文)
- Oxman MN, et al. A Vaccine to Prevent Herpes Zoster and Postherpetetic Neuralgia in Older Adults. N Engl J Med 2005; 352:2271-2284. (ビケン®の基になったワクチンに関する論文)
- Shiraki K, Herpes Zoster and Recurrent Herpes Zoster. Open Forum Infectious Diseases 2017. (再発についての論文)
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