前頭部に痛みを感じるとき、ズキズキとした激しい痛みで日常生活に支障が出ることがあります。この症状は、単なるストレスや疲れだけでなく、多くの病気が関係している可能性があります。
この記事では、片頭痛や群発頭痛、三叉神経痛、副鼻腔炎、帯状疱疹、薬の副作用といった主な原因から、脳腫瘍や脳血管障害、髄膜炎、もやもや病などの危険な病気の可能性、さらには受診の目安と日常生活での対策について、わかりやすく解説します。
前頭部がズキズキする頭痛の原因
前頭部に現れるズキズキとした痛みは、それぞれの頭痛の性質によって原因が異なります。ここでは、日常的な頭痛としてよく見られる症状と、その要因を説明します。
片頭痛による症状
片頭痛は、頭の片側や前頭部に拍動性の痛みを感じることが多く、痛みが4時間から72時間続く場合があります。発作に伴い吐き気や嘔吐、光や音、においに敏感になることもあり、時にはキラキラした閃輝暗点が現れることもあります。
この痛みは、日常生活に大きな影響を及ぼすため、規則正しい生活を心がけるとともに、症状が変化する場合は早めに医療機関を受診することが、日々の生活への影響を軽減するために重要です。
群発頭痛
群発頭痛は、非常に激しい痛みが目の周囲から前頭部や側頭部にかけて現れ、1回の発作が15分から180分続くことがあります。1日に複数回発作が起こるため、生活の質が著しく低下することがあります。
また、目が充血したり涙が出たり、鼻づまりや発汗などの症状が伴う場合もあり、急激な症状の出現に注意が必要です。こうした症状は早急な対策が必要であるサインです。
三叉神経痛
三叉神経痛は、顔の一部、特に前頭部や頬、顎に急に鋭い痛みを感じる病気です。食事や歯磨き、洗顔などの日常動作が引き金になることが多く、痛みは数秒から数十秒で消失します。
一瞬の激痛であっても繰り返し生じると苦痛となるため、症状の変化を見逃さずに対策を講じることが求められます。実際に継続的な症状の変化を見逃さずに記録することが大切です。
副鼻腔炎二伴う頭痛
副鼻腔炎は、ウイルスや細菌の感染により、前頭洞に炎症が起こることでおでこや眉間に鈍い痛みを引き起こします。鼻づまりや膿のような鼻水、頭部の重だるさなども同時に現れることが特徴です。
これらの症状は、慢性化すると日常生活に大きな支障をきたすため、早めの治療が推奨されます。
帯状疱疹による痛み
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化することにより、皮膚に赤い発疹や水ぶくれとともに、頭部や顔に激しい痛みが現れる病気です。発疹が出る前の段階で痛みだけが先行する場合もあり、見逃しやすい症状です。
特に高齢者や免疫力が低下している方では症状が重くなるため、違和感がある場合は速やかに対策を講じる必要があります。もし症状が現れたら早めの医療相談をお勧めします。
薬の副作用
薬による副作用としての頭痛も、前頭部にズキズキとした痛みを引き起こす原因の一つです。特に狭心症治療薬の硝酸薬や、鎮痛薬の過剰使用による薬物乱用頭痛は、自己判断で中止するのではなく、必ず医師と相談して対処することが大切です。
正しい薬の使用方法と適切な服薬管理が求められますので、日頃から注意を払うことが必要です。適切な使用は健康管理の基本です。
前頭部のズキズキとした痛みが示す危険な病気
前頭部がズキズキする痛みは、すぐに収まる軽度の頭痛で済む場合も多いですが、重大な病気が原因となっていることもあります。ここでは、見逃してはならない危険な病気について詳しく解説します。
脳腫瘍二伴う頭痛
脳腫瘍は、急激な発症は少なく、痛みが徐々に強くなっていく傾向があります。特に朝起床時に痛みが強く、その後徐々に和らぐ場合が多く見られます。
また、原因不明の吐き気や嘔吐、視力の低下、手足のしびれ、言葉の出にくさなどの神経症状が伴うこともあり、疑わしい症状が続く場合は検査が必要です。こうした症状の場合は必ず専門医の受診を検討してください。
脳血管障害の危険な頭痛
脳血管障害では、突発的に起こる激しい頭痛が特徴です。特に脳出血やくも膜下出血では、急な片麻痺や言語障害、視力障害などが見られるため、発症直後の対応が命に関わる重要なポイントとなります。
急激な症状が現れた場合は、直ちに救急外来を受診する必要があります。迅速な対応が命を救うことに繋がります。
髄膜炎の初期症状
髄膜炎は、細菌やウイルスの感染が原因で、頭痛とともに発熱、吐き気、頸部の硬直などの症状が現れます。初期には風邪に似た症状のため軽視されがちですが、症状が進行するとけいれんや意識障害といった深刻な状態になることがあります。
早期発見と治療が重要なため、症状に心当たりがある場合は速やかに医療機関で診断を受けることが求められます。
もやもや病のリスク
もやもや病は、内頚動脈の末端部が狭くなることで、脳への血流が十分に届かなくなる病気です。これにより、特に朝方に頭痛が現れ、手足の脱力や言語障害など神経症状が同時に生じることがあります。
疑わしい症状がある場合は、専門医による検査を受けることが推奨されます。もし症状に心当たりがあれば速やかに医療機関を受診してください。
前頭部に頭痛がある時の受診の目安
頭痛の症状がいつもと違う、または急激に変化した場合には、適切なタイミングで医療機関を受診することが大切です。ここでは、症状を見ながら受診するケースと、すぐに受診が必要な場合の目安について解説します。
様子を見ながら受診するケース
以前から片頭痛の既往がある場合、いつもの痛みの範囲内であれば、急を要さないこともあります。しかし、前頭部の痛みが続くとともに鼻づまりが現れる場合や、頭部や顔に発疹が出た場合は、副鼻腔炎や帯状疱疹の可能性があるため、定期的な診察を受けることがおすすめです。
また、痛みが軽度で長引く場合は、頭痛ダイアリーをつけ、どのような状況で症状が起こるか記録しておくと良いでしょう。自分の状態を客観的に把握するためには記録をしっかりと残すことがポイントです。
すぐに受診が必要なケース
一度も経験したことのない激しい痛みが急に起こった場合、また体の片側にしびれが生じたり、言葉がうまく出ないといった症状が現れた場合は、脳出血やくも膜下出血などの脳血管障害が疑われます。さらに、視力低下や意識障害が伴う場合には、非常に危険な状態である可能性があります。
こうした症状が現れた場合は、一刻を争うので、夜間・休日に関わらず直ちに救急外来を受診する必要があります。
日常生活でできる前頭部頭痛対策
毎日の生活習慣を見直すことで、前頭部にズキズキとした頭痛の発生を予防することができます。ここでは、日常で実践しやすい対策をいくつかご紹介します。
以下の点に気を付けると、頭痛の頻度や強さが軽減される場合があります。
- 十分な睡眠と栄養バランスのとれた食事、適度な運動を心がけ、規則正しい生活習慣を維持する。
- アルコールやカフェインの過剰摂取を控え、女性の場合はホルモンバランスにも配慮する。
- リラクゼーションや趣味の時間を持ち、ストレスを適切に解消する工夫をする。
- 長時間のデスクワークやスマートフォンの使用後には、首や肩のストレッチや軽いマッサージで血行を促進する。
- 市販の鎮痛薬を安易に使用しすぎないよう注意し、症状が改善しない場合は必ず医師に相談する。
- 頭痛が起こるタイミングや内容を記録する頭痛ダイアリーをつけ、医療機関での診断に役立てる。
まとめ
本記事では、前頭部にズキズキとした痛みが生じる頭痛の原因について、片頭痛や群発頭痛、三叉神経痛、副鼻腔炎、帯状疱疹、薬の副作用などの一般的な原因から、脳腫瘍や脳血管障害、髄膜炎、もやもや病といった危険な病気の可能性まで、幅広く解説しました。
また、受診の目安や日常生活での対策についても説明しておりますので、自分の症状に心当たりがある方は、早めに専門医に相談し、正しい診断と対処方法を確認してください。
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