めまいや吐き気を同時に感じてしまうと、日常生活にも大きな支障が出てしまいます。単なる疲れや一時的な不調かと思っていても、実は大きな病気が潜んでいることもあり、早めの対処が必要となるケースも少なくありません。

本記事では、めまいや吐き気にお悩みの方に向けて、主な原因や具体的な対処法、そして病院へ行くべきサインを詳しく解説します。ぜひ最後までご覧いただき、日常生活の改善や症状の緩和にお役立てください。

めまいと吐き気の基礎知識

めまいと吐き気は、どちらも普段の体調管理と深く関わりがあります。ここでは基本的な定義や、感じ方の違いを押さえておきましょう。

めまいとは何か

めまいとは、身体がぐるぐる回っているように感じたり、立っていられないほどフラフラしたりする症状を指します。耳の奥にある平衡感覚を調整する器官や、脳の一部が何らかの影響を受けることで発症します。

途中でめまいが急に起こり、そのまま転倒してしまうリスクもあるため注意が必要です。さらに、めまいは一度生じると不安感を増幅させやすい特徴もあり、精神的なストレスにつながることがあります。

特に回転性のめまいが続く場合は、耳鼻科や脳神経外科での精密検査を検討しましょう。

吐き気とは何か

吐き気は、胃のむかつきや嘔吐を引き起こす不快な感覚です。消化器系だけでなく、自律神経や内耳との連動も深く関与していて、ひどくなると嘔吐を伴うこともあります。

食べ過ぎや飲み過ぎ、乗り物酔いなどの一時的な要因で起こることもありますが、長引く場合は何らかの病気が隠れている可能性も考慮する必要があります。日常的に繰り返すようであれば、専門医の受診が推奨されます。

とくに朝起きたときの吐き気が頻繁にある場合は、生活リズムや食事タイミングにも目を向けると良いでしょう。

関係性と注意点

めまいと吐き気は相互に影響を与え合っていることがあります。例えば、強いめまいが身体のバランスを崩すと、その刺激で吐き気が増すことがしばしばあります。逆に吐き気が先に生じ、体力が奪われてフラつきを感じるケースもあります。

両方の症状が頻繁に起こる場合は、耳や脳、そして自律神経など複数の要因が重なっている可能性があります。無理に動き回らず、必要に応じて休息をとることで悪化を防ぐことが大切です。

もし日常生活に支障をきたすほどの症状に悩まされているなら、早期の医療機関受診を検討しましょう。

めまいと吐き気の主な原因

ここからは、めまいと吐き気の主な原因について解説します。原因を知ることで、どのように対処すべきか、また受診すべき診療科はどこなのかが見えてきます。

メニエール病によるめまいと吐き気

メニエール病は、内耳にあるリンパ液が異常に増加する「内リンパ水腫」が原因とされる病気です。回転性のめまいが数分から数時間続くうえ、難聴や耳鳴りが同時に出現することが特徴です。

症状が激しいと、めまいの最中に立っていられず嘔吐してしまう場合もあります。日常生活で突発的に発作が起こることが多いため、早めの診察と治療方針の確立が大切です。

もし耳鳴りと回転性めまいを繰り返すなら、耳鼻科で内耳の状態を詳しく調べてもらいましょう。

脳腫瘍による症状

脳腫瘍は、頭蓋内に発生する腫瘍が脳を圧迫し、めまいや吐き気を引き起こす深刻な疾患です。急に立てないほど強いめまいが起こり、激しい頭痛とともに嘔吐を伴うケースも珍しくありません。

手足のしびれや視野の欠損など、神経系の症状が併発することがあるため、早期発見と適切な治療が極めて重要です。脳神経外科や脳神経内科での精密検査が整備されているため、違和感を覚えたら医師に相談しましょう。

特に慢性的な頭痛と吐き気が続く場合は、一刻も早く検査を受けることをおすすめします。

自律神経失調症の影響

自律神経失調症は、自律神経のバランスが崩れることで多様な症状を引き起こします。ふらつきや動悸、耳鳴り、そして吐き気がしばしば見られる症状です。精神的なストレスや生活リズムの乱れが影響していることが多く、長期的に続くケースも少なくありません。

軽度のめまいや吐き気は、深呼吸や水分補給によって一時的に緩和できる場合があります。しかし根本的な解決には、生活習慣の見直しやストレスマネジメントが重要となります。

特に精神的なストレスで食欲不振が続くようなら、心療内科や内科も視野に入れましょう。

更年期障害との関連

更年期障害は、女性ホルモンの減少によりさまざまな身体的・精神的症状を引き起こすものです。発汗やイライラに加えて、めまいや吐き気が出ることも少なくありません。女性ホルモンの分泌が乱れることで、自律神経の働きにも影響が出るためと考えられています。

更年期障害を疑う場合は、婦人科をはじめとして耳鼻科や内科など、症状に合わせて専門医に相談できる体制を整えましょう。降圧剤やホルモン補充療法など、適切な治療を行うことで症状を大きく改善できるケースもあります。

もしめまいや吐き気と同時にイライラや冷えなどを強く感じるときは、更年期を疑い受診を検討してみてください。

ストレスがによるめまいと吐き気

強いストレスによって自律神経が乱れ、結果として内耳や消化器系まで影響を受けることがあります。仕事や家事での過度な負担、人間関係の問題などが続くと、めまいや吐き気を生じやすくなるのです。

ストレス性のめまいは、休息や気分転換で一時的に収まることがありますが、本質的にはストレスの根源を減らす努力が必要です。睡眠不足や過度のカフェイン摂取なども、ストレスの蓄積を助長する要因となります。

もし心の疲れからくるめまいが頻繁にあるなら、カウンセリングや心療内科の扉をたたいてみることを検討しましょう。

めまいと吐き気を感じたときの対処法

ここでは、すぐに実践できる対処法を中心に紹介します。症状を感じたときは、まず落ち着いて安全な場所を確保することが肝心です。

安静にする

めまいや吐き気を感じたら、最優先で行うべきなのは身体を安静に保つことです。無理に動き続けると転倒や事故のリスクが高まり、症状も悪化する恐れがあります。

床やベッドで横になり、頭を低くして血流を落ち着かせるとともに、吐き気がある場合は顔を横に向けましょう。30分以上休んでも改善が見られないときは受診を検討することが大切です。

特にめまいが急に強まったときの安静は、症状の進行を抑える重要な手段です。

酔い止めの活用

乗り物酔いと同じ原理で起こるめまいや吐き気には、市販の酔い止め薬を使うことで一時的に緩和できる場合があります。トラベルミンやアネロンなどは内耳や脳の働きを抑制し、症状をやわらげる働きがあります。

ただし、眠気が強く出る薬も多いので、車の運転など危険を伴う作業は控えましょう。また薬を服用する際には、持病がある方や他の薬を飲んでいる方は医師や薬剤師の指示を仰ぐことが望ましいです。

もし急なフラつきに対して酔い止めを使うなら、必ず使用上の注意を確認してください。

静かで暗い環境をつくる

外部からの刺激が強いと、めまいや吐き気をさらに悪化させる可能性があります。家の中であればカーテンを閉めて光を遮り、テレビや音楽をオフにして静かな状態を保ちましょう。

暗くした部屋で横になると、耳や脳への余計な負担を減らすことができます。アイマスクを使うのも有効手段ですので、適度な温度や湿度を保ちながら休息をとるようにしましょう。

とくに光や音に敏感なときは、なるべく刺激を排除して休むことが改善への近道です。

医療機関を受診する

症状がひどい場合や長引くときは、医療機関への受診を早めに検討しましょう。耳の異常や脳疾患が疑われる場合、耳鼻科や脳神経外科で正確な診断を受けることが欠かせません。

更年期障害やストレスが原因として考えられるときは、婦人科や心療内科など、専門の診療科との連携が大切です。症状の経過や頻度をメモしておくと、医師に状況を伝えやすくなります。

もし症状が多面的に現れているなら、複数の診療科を併せて検討してください。

日常でできる予防

めまいや吐き気を少しでも防ぎたい方は、日々の生活習慣を整えることが大切です。ここでは、すぐに取り組める予防策を紹介します。

生活習慣の改善

不規則な生活リズムは、自律神経の乱れを引き起こす主要因の一つです。起床時間と就寝時間をなるべく一定に保ち、夜更かしや長時間のパソコン・スマートフォン利用を避けるようにしましょう。

食事も3食きちんと摂ることが基本です。特に朝食を抜くと血糖値が不安定になり、めまいを起こしやすくなる場合があります。食後に適度な休憩をとりながら、胃腸への負担を軽減しましょう。

もし夜更かしと朝食抜きが重なるような生活を続けているなら、まずはリズムの修正を検討するべきです。

ストレスマネジメント

ストレスは自律神経の乱れを加速させ、めまいや吐き気を悪化させる要因となります。運動や趣味を取り入れ、適度に気分転換を図ることが大切です。ウォーキングや軽いジョギングは血行を促進し、気持ちのリフレッシュにも役立ちます。

また、自己流で抱え込まずに家族や友人、専門家に気持ちを聞いてもらうことでストレスを軽減できる場合もあります。カウンセリングを利用するのも1つの選択肢です。

特に定期的な運動でストレスを発散することは、めまいや吐き気を予防するうえでも効果的です。

睡眠と食生活の見直し

質の良い睡眠は、身体を休め自律神経のバランスを整える重要な要素です。寝る前にスマホやパソコンの画面を見る時間を減らし、リラックス効果のある音楽や入浴などを取り入れてみてください。

食生活では、脂っこいものやカフェイン、アルコールの摂取を控えめにするよう意識しましょう。特に暴飲暴食は胃腸に負担をかけ、朝起きたときの吐き気やめまいを引き起こしやすくなります。

もし寝つきが悪い状態と胃のムカつきが重なるなら、一度生活習慣を振り返ることが必要です。

病院へ行くべきサイン

めまいや吐き気がいつまでも続く場合や、症状が急激に悪化する場合は迷わず医療機関に相談しましょう。ここでは、どんなサインが受診の基準になるのかをまとめます。

症状の持続、もしくは悪化

めまいや吐き気が数日から数週間にわたって続く場合は、一時的な不調では済まない可能性があります。単なる疲労や睡眠不足と自己判断して放置すると、見過ごしてはいけない病気を悪化させるリスクがあります。

特に症状が徐々に強くなるようであれば、ただちに専門医に相談することをおすすめします。症状の経緯が詳しく分かるメモなどを持参すると、診察がスムーズになります。

もし数日以上めまいが治まらないなら、必ず早期に専門家の意見を求めてください。

専門医の検査が必要なケース

身体のバランスや耳の状態を調べるためには耳鼻科、脳の状態を確認するには脳神経外科や脳神経内科というように、症状に応じて適切な診療科を選ぶ必要があります。更年期障害が疑われるなら婦人科、ストレスやうつの可能性があるなら心療内科や精神科など、多方面から検査を受けることに意味があります。

特に原因がはっきりしないまま市販薬のみで対処し続けると、本来は早期治療が必要な病気の発見を遅らせる危険性があります。

もし自己判断が難しい症状を抱えている場合は、かかりつけ医にまず相談してから専門医を紹介してもらいましょう。

自己判断を避ける重要性

「少し休めば治るだろう」と油断してしまいがちですが、めまいや吐き気の背後には重大な疾患が隠れているかもしれません。自己流のケアだけでは根本的な原因を見つけにくく、かえって長期化させる恐れがあります。

また、間違った情報をもとに誤った自己治療を行うと、体調を悪化させる危険もあります。インターネットの情報だけに頼らず、専門家の診断や検査をしっかり受けることを強く推奨します。

もし繰り返し強いめまいに襲われるなら、一刻も早く専門の医療機関をたずねましょう。

まとめ

めまいや吐き気という症状には、耳や脳の問題から自律神経やストレスまで、さまざまな原因が考えられます。日頃の対処法や生活習慣の改善で緩和を目指しつつ、必要なときは医療機関を受診することが大切です。

ここまで紹介した内容が、めまいや吐き気に関する不安を解消する一助となれば幸いです。気になる症状があれば、ぜひ早めに医療機関での検査を受け、健康的な日常を取り戻しましょう。

 

 

 

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この記事を書いた先生のプロフィール

医師・医学博士【脳神経外科専門医・頭痛専門医 ほか】
脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。脳卒中予防に重点をおいた内科管理や全身管理を得意としています。
脳の病気は、目が見えにくい、頭が重たい、めまい、物忘れなど些細な症状だと思っていても重篤な病気が潜んでいる可能性があります。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

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