はじめに
「タトゥーが入っているとMRI検査を受けられない」という話を聞いたことはありませんか？
最近では、若い世代を中心にタトゥーをファッションの一部として取り入れる人が増えています。しかし、健康診断や病気の検査でMRI検査が必要になったとき、タトゥーが影響するのか不安に思う方も多いでしょう。
今回は、「いわた脳神経外科クリニック」院長・岩田亮一がタトゥーとMRI検査の関係について詳しく解説します。
MRI検査とは？
MRI（磁気共鳴画像）検査は、強力な磁場と電波を使って体内の断層画像を撮影する検査です。
放射線を使用しないため、身体への影響が少なく、脳や内臓、関節などの詳しい画像を得ることができます。
しかし、体内に金属があると影響を受ける可能性があり、検査の可否を慎重に判断しないといけません。
タトゥーがあるとMRI検査は受けられないの？
「タトゥーがあるとMRI検査を受けられない」というのは、完全に正しいわけではありません。
タトゥーのインクに含まれる金属成分（酸化鉄など）が、MRIの磁場や電波に反応して熱を帯び、火傷のリスクを引き起こす可能性があるため、医師の判断が必要になります。
また、以下のような方もMRI検査を受ける際に注意が必要です。
- ペースメーカーなどの植込み型医療機器を使用している
- 人工内耳を使用している
最近では、MRI対応の医療機器も増えていますが、検査を受ける前に医師に相談することが大切です。
タトゥーの何が問題なの？
タトゥーのインクに含まれる金属成分が、MRIの磁場やRF波（ラジオ波）によって加熱し、火傷のリスクを引き起こす可能性があります。
特に、濃い色のタトゥーやループ状の図柄は影響を受けやすいため、注意が必要です。
また、タトゥーの大きさやデザイン、使用されているインクの種類によってもリスクが異なります。
例えば、黒や赤などの濃い色のインクには金属が多く含まれる傾向があり、特に注意が必要です。さらに、古いタトゥーでは使用されているインクの成分が不明な場合があり、MRI検査を受ける前に医療機関での確認が重要です。
対策
- タトゥーの有無や施術時期、インクの種類を医師に伝える
- 検査中に熱を感じた場合、すぐに中断できるよう準備する
- 検査前後に肌の状態をチェックする
患者自身が事前にタトゥーの種類や施術時期を医師に伝えることが、安全に検査を受けるための重要なステップとなります。
アートメイクの場合は？
アートメイクは主に眉やアイライン、リップなどに施されるものですが、使用するインクの金属含有量が少ないため、MRI検査には影響が少ないとされています。
ただし、アイラインなど目元にリング状に施されたデザインでは、電磁波により誘導電流が発生し、局所的に熱が生じることがあります。
検査中に目を閉じることで、リスクを軽減できる場合があります。
また、近年では金属フリーのアートメイクインクが登場し、MRI検査時のリスクが低減されています。
しかし、過去に施術されたアートメイクには金属が含まれている可能性があるため、検査前に施術したクリニックに確認することが推奨されます。
結局、MRI検査は受けられるの？
タトゥーやアートメイクがある場合でも、MRI検査を受けることは可能です。
ただし、病院や医師の判断によって対応が異なるため、事前に相談が必要です。
一般的に、MRI装置のメーカーはタトゥーやアートメイクのある方への検査を推奨していませんが、検査の必要性が高い場合は、十分な説明と同意を得た上で検査が行われることがあります。
まとめ
タトゥーがあるからといって、必ずしもMRI検査が受けられないわけではありません。
ただし、タトゥーの成分やデザインによって火傷のリスクがあるため、医師と診療放射線技師に相談し、事前に適切な対策を講じることが必要です。
検査を安全に受けるためにも、タトゥーやアートメイクがあることを事前に自己申告し、医療機関と連携することをおすすめします。
参考文献
1)William A, AJR 2000;174:1795-1795.
2)Tope WD,Shellock FG, JMRI 2002;15:180-184.
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