大阪市城東区にあるいわた脳神経外科クリニック 院長 岩田 亮一です。
「カナリア外来」という小説をご存じでしょうか?
町の片隅にある過敏症専門の外来で、臭い、音、味など、さまざまな感覚に過敏な患者さんたちを描いた物語です。~周囲に理解されにくいことが一番つらい~そんな患者さんたちに真剣に向き合う医師の姿が描かれています。
この小説のタイトルにある「カナリア」は、炭鉱開発の現場で有害物質の早期発見のために使われた敏感な生き物です。
今回は、小説の中で描かれる「臭い過敏」を切り口に、片頭痛との関係や治療法について解説します。
臭い過敏と片頭痛の関係
私自身も片頭痛持ちで、タバコや強い香水の匂いで頭痛が誘発されることがあります。これは「気のせい」ではなく、片頭痛の随伴症状の一つです。
片頭痛スクリーナーという簡単な質問票があります。以下の4つの質問に回答して、片頭痛の可能性をチェックできます。
片頭痛の原因
片頭痛の原因は目に見えないことが多いですが、最近の研究でその考察が少しずつ考えられています。例えば、以下の逆分子が片頭痛発作の引き金となることが考えられています。
これらの物質を片頭痛患者に投与すると、片頭痛発作が高い確率で誘発されることが報告されています。
参考文献1:A nitric oxide donor (nitroglycerin) triggers genuine migraine attacks.
Thomsen LL, Kruuse C, Iversen HK, Olesen J. Eur J Neurol. 1994 Sep;1(1):73-80.
参考文献2:Calcitonin gene-related peptide triggers migraine-like attacks in patients with migraine with aura.
Hansen JM, Hauge AW, Olesen J, Ashina M. Cephalalgia. 2010 Oct;30(10):1179-86.
参考文献3:PACAP38 induces migraine-like attacks in patients with migraine without aura.
Schytz HW, Birk S, Wienecke T, Kruuse C, Olesen J, Ashina M. Brain. 2009 Jan;132(Pt 1):16-25.
片頭痛は「ただの頭痛」ではない
**世界疾患負担研究(GBD)**では、片頭痛は神経疾患の中で生活に影響を与える疾患の一つとして報告されています。学校生活や仕事、家庭生活においても深刻な影響を及ぼします。
特に注意したいのは、頭痛薬の使いすぎです。慢性化や薬物乱用性頭痛を考慮する可能性があるため、頭痛専門医による診断と治療が重要です。
片頭痛の治療法
小説では、対処療法としての薬が描かれてましたが、現在ではCGRP製剤という新しい治療薬が登場しています。 CGRP製剤は片頭痛の発作を中心だけでなく、発作の頻度を減らしています画期的な薬です。
ただし、費用がかかることが課題です。適切な診断を受けた場合には使用が推奨されます。
小説から見える「片頭痛のリアル」
この小説は、目に見えず、他人には理解されにくい頭痛を丁寧に言語化しています。例えば、次のような描写が印象的です。
これは、臭い過敏が片頭痛を引き起こす様子を見事に表現しています。 また、片頭痛がめまいやふらつきを伴うことも描かれており、現実の患者さんの症状に近いと感じました。
生活環境の整備
片頭痛を含む過敏症の治療では、薬物治療だけでなく、生活環境の整備が重要です。例えば、以下のような予防策を講じると良いでしょう。
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