シプロヘプタジン(ペリアクチン)の効果・特徴

 

シプロヘプタジン(商品名:ペリアクチン)は、抗ヒスタミン作用に加え、抗セロトニン作用を持つアレルギー治療薬です。この薬は、抗セロトニン作用によって脳血管の収縮を抑制し、片頭痛発作の頻度を減少させる効果があります。

 

片頭痛は、セロトニンが過剰に放出されることによって脳血管が一時的に収縮し、その後反動で拡張することで発生します。この過程により、三叉神経や血管周囲で炎症が生じ、頭痛が引き起こされます。

 

シプロヘプタジンは、頭痛発作時におけるセロトニンの過剰な作用を抑制することで、頭痛の予防効果が期待されています。

 

 

小児片頭痛にシプロヘプタジンが有効 ~併存疾患との関連~

 

はじめに

 

 片頭痛は、小児から思春期にかけての子どもたちに見られる一般的な頭痛疾患です。日常生活に大きな影響を与えることがあり、家族全体の生活の質にも影響します。シプロヘプタジンという薬剤を用いた小児片頭痛治療の有効性と、併存疾患の影響について解説します。

 

小児片頭痛と予防的治療の必要性

 

 小児片頭痛の治療では、まず非薬物療法(生活習慣の改善やストレス管理など)が推奨されます。しかし、これらの方法が十分な効果を示さない場合、薬物療法が検討されます。従来から用いられる予防薬には、アミトリプチリントピラマートなどがありますが、薬剤ごとの有効性や副作用のリスクが課題とされています。

 

研究結果の概要

 

 日本国内で実施された小児片頭痛患者を対象とした研究では、シプロヘプタジン治療を受けた155名のデータを分析しました。

 

主な結果

  • 全体の**68.9%**が治療に反応(片頭痛の頻度が50%以上減少)。
  • 併存疾患がない患者の効果は76.6%と高い成功率。
  • 神経発達障害(50.0%)や起立性不耐症(45.5%)が併存する患者では有効性が低下。

 

副作用

  • 副作用の発生率は21.3%、最も多いのは眠気(16.8%)。
  • 重篤な副作用は少なく、安全性が高いと評価されています。

 

併存疾患の影響

片頭痛に併存しやすい疾患として、**注意欠如・多動症(ADHD)自閉スペクトラム症(ASD)といった神経発達障害、そして起立性不耐症(OI)**が挙げられます。これらの疾患を持つ患者では、シプロヘプタジンの効果が低下する傾向があることが確認されました。

 

起立性不耐症とは?

 

 起立性不耐症は、自律神経系の機能不全により、立ち上がる際にめまいや動悸が生じる疾患です。片頭痛患者の中でも頻繁に見られる併存症状ですが、治療において追加の配慮が必要です。

 

 

 

結論と今後の展望

 

 シプロヘプタジンは、小児片頭痛に対する有効で安全な治療法のひとつです。特に併存疾患のない患者において、高い治療効果が期待できます。一方で、併存疾患がある場合は、治療の効果が低下する可能性があるため、患者ごとの特性に合わせた治療計画が重要です。

当院では、小児片頭痛に対して最適な治療を提供するため、患者さん一人ひとりの症状や背景に合わせた診療を行っています。お子さまの片頭痛でお困りの場合は、ぜひご相談ください。

 

 

 

 

 

参考文献
本記事の内容は、以下の研究に基づいています。
Shimomura et al., Cyproheptadine Treatment in Children and Adolescents with Migraine: A Retrospective Study in Japan

 

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この記事を書いた先生のプロフィール

医師・医学博士【脳神経外科専門医・頭痛専門医 ほか】
脳外科医として関西医大で14年間勤務。大学時代は、脳腫瘍や脳卒中の手術治療や研究を精力的に行ってきました。脳卒中予防に重点をおいた内科管理や全身管理を得意としています。
脳の病気は、目が見えにくい、頭が重たい、めまい、物忘れなど些細な症状だと思っていても重篤な病気が潜んでいる可能性があります。
即日MRI診断で手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、ただの頭痛ではなく脳の病気であり治療が必要です。メタ認知で治す頭痛治療をモットーに頭痛からの卒業を目指しています。
院長の私自身も頭痛持ちですが、生活環境の整備やCGRP製剤による治療により克服し、毎日頭痛外来で100人以上の頭痛患者さんの診療を行っています。我慢しないでその頭痛一緒に治療しましょう。

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